めくれキズと、切りキズ(えぐれ傷)があります。
靴の傷には、主に「めくれ傷」と「切り傷(えぐれ傷)」があります。どちらも、まごうことなき傷であり、人間の皮膚のように自然に治癒はしてくれません。完全に回復させることは不可能ですが、目立たなくするように対処することはできます。
めくれ傷の写真
切り傷(えぐれ傷)の写真
なお、傷に間違われることもある、アッパーの表面につく黒い跡。こちらは、スウェード用の生ゴムを汚れを押し込む感覚でこすっていくと、きれいに消すことができます。ゴムが黒くなってきたら、カットして新しい面を出せば、また使い続けることができます。
めくれキズの対処方法
靴とケア用品の紹介
・クリーナー
・馬毛ブラシ
・スコッチ 皮革用接着剤
・綿棒
・(サフィールのカラー補修用クリーム)
クリーナーで汚れを落とす
めくれた残りの革は、大抵傷の根元に残っています。これをもとのように伸ばし皮革用接着剤で貼ります。めくれた傷革を貼り直す時に接着剤の効きをよくするため、まずは傷を中心にした周りの汚れをクリーナーで落とします。
皮革用接着剤でキズを修復
綿棒で接着剤を傷口につけ、綿棒の反対側で革を閉じて余計な接着剤を落としながら丁寧に貼り付けます。接着剤が固まるまで時間をおきます。
通常のお手入れでなじませる
乾燥させたあとは、乳化性クリームを用いて通常のお手入れを行います。めくれている傷が小さければこれでかなり目立たなくなるものの、まだ気になる場合は傷補修用のクリームで対処しましょう。
Before
After
切り傷(えぐれ傷)の対処方法
・馬毛ブラシ
・色付きクリーム(コロンブスのアドカラーチューブ)
・紙やすり(400番〜1500番程度まで、4枚程度)
・クリーナー
・綿棒
クリーナーで汚れを落とす
めくれ傷同様、傷を中心にした周りの汚れをクリーナーで落としておきます。
紙ヤスリでキズをならす
紙ヤスリをかけて傷とその周囲の段差を目立たなくします。紙ヤスリの番手は400番くらいからかけはじめ、600番→1000番→1500番と徐々に細かくするのがポイントです。最初から細かい番手でも削れることは削れるのですが、傷が深い場合は大変時間がかかるので、番手の大きい方から使用していきましょう。
キズ補修むけの靴クリームを塗る
紙やすりをかけると革の地色が完全に露出するので、その箇所に傷補修に適しているクリームで着色します。クリームを綿棒にとり、傷の周辺を薄くぼかして塗るのがムラなく仕上げるコツです。また、色味は靴に合わせて選び、必要であれば調合するなどして調整しましょう。補修クリームは色が濃く残るので、一度試し塗りをしておきたいところです。
必要があれば、重ね塗りを
補修クリームは乾くと痩せてきてしまうので、乾燥させてみて傷跡がまだ残っているようならば上から重ねていきます。傷補修クリームを塗りすぎてしまった場合は、またサンドペーパーで盛り上がった部分をならしていきます。
通常のお手入れで仕上げる
しばらく放置したあと、乳化性クリームを用いて通常のお手入れを施します。
Before
After
あきらめずに、まずは試してみよう
アッパーが牛革のスムースレザーであれば、傷があったことがわからないほどきれいに対応できます。
スムースレザーであれば上記でほぼ対応が可能なのですが、ガラスレザーなど革の表面が顔料系の塗料や樹脂でコーティングされている靴の場合は、塗料が落ちてしまっていることもしばしば。乳化性クリームだけではすぐに色が落ちてしまうので、塗料系の補修剤を用いることによって再コーティングを施しましょう。
ただ、履きジワが劣化してできたひび割れはこの方法では直せないため、注意が必要です。また、補色クリームは着色力が強いので、色選びは慎重に。心配な場合は、靴修理店に依頼しましょう。
Before
After
終わりに
紙ヤスリはソールのメンテナンスをする際にも使えますし、補修クリームは靴だけでなくレザージャケットや革のカバンにも使うことができます。使いどころを覚えておくと、他に応用しやすい革靴についた傷のリペア。一度試してみてはいかがでしょうか。