輝きのある光沢感が持ち味のコードバン
キングオブレザー、革のダイヤモンドとも称されるコードバン。
コードバンとは、馬の表面の皮膚ではなく、臀部の裏側を丁寧に削っていくと現れる、2mmほどのコードバン層と呼ばれる繊維質の内側の部分にあたります。
一頭の馬から取れる分はごく僅かで、非常に稀少性が高い革です。
牛革の2倍から3倍という強度があるとも言われており、適切にお手入れすれば一生の相棒になります。
最初の質感はマットで光沢はありませんが、1〜2年程するとオイルが染み込み、次第にきめ細やかな光沢と柔らかさが出てきます。
注意点
コードバンは水分に弱いです。
繊維が縦に並んでいる部位をなでつけて鞣されているため、雨に濡れてそのままにしておくと寝ていた繊維が水分で細かく立ち、水ぶくれ状のブツブツが発生してしまいます。
また、ケアを怠ると突然裂けてしまったりします。
だからこそ、メンテナンスが重要な素材と言えるでしょう。
メンテナンス方法
買ってから1年くらいまでは、お手入れをしなくてもツヤが出ているので、柔らかい布で汚れを拭き取るだけで充分です。
ツヤが少なくなって、カサついた状態になってきたら下記のメンテナンスのタイミング。
ポイントは決して強引にではなく、丁寧に施すこと。
また、コードバンはオイルをたっぷりと含ませて鞣されるため、その油分を適切に補給させることも大切です。各社から販売されているコードバン専用クリームを利用するのがおすすめ。
丁寧なメンテナンスによって再び毛足を寝かせることで、輝きを引き出すことができます。
写真手前のブラシが豚毛、奥が馬毛。
用意するのは馬毛のブラシ、柔らかい布、クリーナー液、コードバン専用クリーム。
コシがあり、硬い豚毛のブラシを使うと毛が立ち上がり、表面が荒れる原因となるため、コードバンには必ず柔らかい馬毛のブラシを使いましょう。
また、布は専用のものを使わない場合、30cm四方くらいの大きさに切っておくと扱いやすいです。
シューツリーを入れる
コードバンは深くシワが入るため、適切にケアするためにはシューツリーが不可欠です。
シューツリー を入れることでアッパー(甲革)部分のシワを伸ばし、クリーナー液や乳化クリームが浸透しやすくなります。
ホコリを払い落とす
馬毛のブラシの毛先を使い、埃を払います。
シワやコバの隙間は汚れがたまりやすいため、入念にブラッシングします。
ただし、革に傷がついてしまわないように、あまりゴシゴシ擦らないようにしてください。
ここで軽い汚れを落とすことで、クリーナーの効果を高めることができます。
クリーナーで汚れなどを拭き取る
柔らかい布に液体クリーナーを100円玉程度の大きさに染み込ませます。
全体を拭き、汚れと古いワックスや乳化クリームを取り除きます。
ここもゴシゴシとは擦らず、軽い感覚で拭き取るようにします。
コードバンは起毛を寝かせて仕上げた革のため、強く擦るとクリーナーの水分で再び細かく毛羽立ってしまう恐れがあるからです。
コードヴァン専用乳化性クリームを塗る
乳化性クリームには油分が豊富に含まれており、革にしなやかさを与えます。
片足に対して歯ブラシの半分くらいの量をとり、数カ所に点々と乗せた上で、全体に塗布します。
塗りすぎは革の通気性が失われ、傷む原因になります。
濃色の靴の場合は、油分が失われやすいシワの部分から塗っていきます。
コードバン専用クリームは他に比べ浸透力が高く、表面をなめらかに整える力が強いです。
乳化性クリームには油分が豊富に含まれており、革にしなやかさを与えます。
片足に対して歯ブラシの半分くらいの量をとり、数カ所に点々と乗せた上で、全体に塗布します。
塗りすぎは革の通気性が失われ、傷む原因になります。
濃色の靴の場合は、油分が失われやすいシワの部分から塗っていきます。
コードバン専用クリームは他に比べ浸透力が高く、表面をなめらかに整える力が強いです。
磨く
もう一度馬毛のブラシで円を描くようにブラッシングし、余計なクリームを落としつつ馴染ませます。
柔らかい布に持ち替え、クリームを革にねじ込むように圧力をかけて拭いていきます。
仕上げにワックスを塗り、水で伸ばして照りを出せば完成です。
エイジング(経年変化)という愉しみ
コードバンはメンテナンスをすることで、飴色の光沢を引き出すことができます。
一方で、水に弱く、濡れたままにしておくと水膨れしたり、いきなり裂けてしまうこともあります。
愛着をもって丁寧にケアして、美しいエイジングを愉しみましょう。
ーおわりー
番外編:コードバンのシワを左右対称にするには
シワは履く人ごとの歩き方や骨格によって刻まれるものであり、本来は趣として良いものと考えられています。
しかし、あまりに左右のシワの入り方が違いすぎる場合、強制的にシワをつけて補正する方法があります。
準備するものは、靴と、持ち手部分ができるだけ柔らかい素材でできているペン。
靴を履いた状態でシワを入れたい部分にペンを当て、力を入れてフィットさせます。
そして一気に足を曲げて、そのまま数分間足を固定してから戻すと、ボールペンに沿って表面にシワができているはずです。左右のバランスを見ながら、好みの場所にシワを入れていきます。
この方法で付けたシワは、失敗しても元に戻らないので、自己責任のもとで挑戦してみてください。