鮮やかさ×透明感。しっとりもっちり3色八つ橋
京都の伝統技術を用いた文具ブランド「TAG STATIONERY」。今回は、そこから生み出された一風変わった万年筆インク6色キット「hue 6COLORS」を使って、京都を代表する和菓子の一つ、八つ橋を描いてもらった。もちっとした薄皮からプクッとのぞく餡に、さらりとした表面の粉感。甘くスパイシーなニッキの香りが漂ってきそう。
「京都を代表するお土産といえば……ということで、八ツ橋を選びました。八ツ橋も色々な種類が今はありまして、hue 6COLORSの豊かな色彩を表現するのに適しているかな、と。
八ツ橋を描く上で抑えておきたいポイントは、しっとりとしたもち粉の皮、透けて見える餡、きな粉をまぶした表面のサラサラ感を出すことです。一番コツが必要なところは、『透けて見える餡』のグラデーションを作るところでしょうか。紙が濡れた状態でインクを落としていく『色流し』をうまく使って表現しました。
京都には、10代〜20代の16年間ほど住んでいました。住んでいた頃は、観光名所にも特に興味を持たず、地味な街だなぁ……という印象でしたね。八つ橋もほとんど食べたことがありませんでした(笑)。でも、東京に住み始めてから、会社の同僚が京都のお土産を喜んでくれたことで、だんだん京都を好きになってきました。観光地もお土産も地元の飲食店なんかも、東京にいる今の方が詳しいかもしれません」とサトウヒロシさん。
色の表現は無限大!TAG STATIONERYのご当地インク。サトウヒロシさんのインクレビューとともにご紹介
「hue 6COLORS WRITTING LAB」は、京都草木染研究所の代表・高橋誠一郎さんが考案した6原色を使った混色方法を取り入れ、初心者でも簡単に楽しく色を表現できるキット。
hue 6COLORS WRITTING LAB/ MIX INK KIT[容量10ml×7 うすめ液10ml×1 空ボトル×2 簡易スポイト×1 説明書×1]¥3,300(税込)/TAG STATIONERY
サトウヒロシさんのインクレビュー▶︎hue 6COLORS
「TAG STATIONERYさんのインクは他のシリーズも愛用しています。どの色も少しずつ『原色』からずらして調色されているので、そのまま使っても味わいが出るところが特徴です。
hue 6COLORSも同様に色の基本となる3原色ではなく、原色それぞれ他の2色に寄り添った色、青みの赤(Rb)黄みの赤(Ry)赤みの青(Br)黄みの青(By)赤みの黄(Yr)青みの黄(Yb)の6色に分けた構成となっています。そのため、例えば黄色なら青よりなのか赤よりなのか、と描く時に選ぶことができて、とても描きやすいのです。
そこに加えてニュートラル(N)がまた渋い!作った色に少し加えると彩度が落ちて、『渋み』を出していくことができます。気がつくと和の色が勝手に生まれていく感覚です。
もう一つ、TAGさんのインクの特徴は、水に溶けやすいところでしょうか。僕の絵は水筆でインクをぼかして描いていくことが基本ですので、紙に色を置いてから伸びやすいインクとの相性が良いのです。他のシリーズと同様に、hue 6COLORSも素直に伸びてくれます。このシリーズは『自分で調色できる』ことを前提に設計されているので、各色は同じ色合いのまま伸びてくれます。なので、絵の具に近い感覚で使えるところが一般的な万年筆インクと違うところですね。
オリジナルのインクを作れるインクではありますが、紙の上で混色しながら描いていくことにも適しています。紙を湿らせた状態であれば、違う色のインクを少しずつ落としてその場で混色ができますし、乾かしてから次の色をのせれば下地の色を活かして『インクを重ねた色合い』を楽しめます。色の仕組みを理解しているほど楽しめるインクだと思います」
こちらは「Rb」「Br」「N」を混ぜて作った、ミューゼオ・スクエア編集部のオリジナルカラー。
最後にTAG STATIONERYのPRご担当者様からのコメントをご紹介。
「混色のプロである染織の職人さんは、単純に3原色(赤・青・黄)からではなく、混色に使いやすいベースカラーをあらかじめ用意されているとの事で、hue 6COLORS WRITTING LABは、そのベースカラーを元に6色のインクで構成しています。好きな色のインクを作るという楽しみもありますが、職人のノウハウを活かした混色の基礎を遊びながら学んでいただけるような製品に仕上げています」
TAG STATIONERY
京都の伝統技術を用いた文具ブランド「TAG STATIONERY」。
どの色も少しずつ『原色』からずらして調色しているのが特徴で、そのまま使っても味わいが出る。また、水に溶けやすく、紙に色を置いてから伸びやすいインクとの相性が良い。
hue 6COLORSシリーズは『自分で調色できる』ことを前提に設計されており、絵の具に近い感覚で使えるところが一般的な万年筆インクと違うところ。
文房具を一層楽しむために。編集部おすすめの書籍
万年筆画家・絵本作家のサトウヒロシ氏が 「描くことの楽しみ」をテーマに作った万年筆ラクガキの入門書
万年筆ラクガキ講座
安価で書きやすい万年筆と多彩なインクが数多く登場している今、本誌では基本的な万年筆の使い方や道具の知識、ラクガキの表現方法、上達の快楽を150点以上の図版を交えながら紹介しています。
さらに、万年筆インクカタログ全113色や作品(解説付き)約20点を盛り込んでいます。誰でも描けるシンプルな線や丸がちょっとした技法を加えるだけでユニークな表現になり、そして楽しい作品にもなる。
そんな「万年筆ラクガキ」の楽しい世界にあなたもどうぞ踏み込んでみてください!
定番ブランドの人気色からご当地限定のインクまで、約700色の万年筆インクを掲載!
美しい万年筆のインク事典
「インク沼」という言葉が流行っているほどいま大注目の万年筆インク。
本書は今までになかった初めての「万年筆インク事典」として、基本色の7色(赤・黄・青・緑・紫・茶・黒)のほか、各地方にしか売っていないご当地インクや希少性のあるインクなど、万年筆インクを知り尽くした著者が厳選した約700色のインクを紹介しています。巻頭には基本色の色見本一覧付き。