ご当地インク×万年筆イラストで全国旅気分。万年筆画家・サトウヒロシさんが描く「青森県」編

ご当地インク×万年筆イラストで全国旅気分。万年筆画家・サトウヒロシさんが描く「青森県」編_image

絵/サトウヒロシ
写真/新澤遥
取材・文/ミューゼオ・スクエア編集部

グリッターやラメ入りのキラキラしたカラーペンは学生の頃のお気に入り筆記具だったが、まさか万年筆インクでも楽しめるなんて。いろんなインクを掘っていくと、懐かしいものや新しいものに出会える。

ご当地インク×万年筆イラストで全国旅気分」では、SNSやYoutubeなど多方面で活躍されている万年筆画家・サトウヒロシさんに、全国のご当地インクを使ってその土地の名産品や観光名所などのイラストを描いてもらっている。

今回ご紹介するのは、青森県弘前の「平山萬年堂」。

サトウヒロシさんが描く旅の素敵なワンシーンとともに、作り手の想いを載せて巡るご当地インク旅。いざ行ってみましょう!

りんごの木の下で、シュワシュワ爽やかな「シードル」タイム

青森県弘前にお店を構える、大正2年から続く老舗文具店「平山萬年堂」。今回は、こちらのオリジナルインク「シードルレッド」「シードルグリーン」をご紹介。青森県らしいりんごの木を背景に、インクのイメージになっているりんごで造られたお酒「シードル」を描いてもらった。角度によってラメが輝き、炭酸のシュワシュワ感が思い浮かぶ。
このラメの扱い、いったいどのようにされているのでしょう?

写真/サトウヒロシ

写真/サトウヒロシ

写真/サトウヒロシ

写真/サトウヒロシ

「シードルをテーマとしたインクなので、シードルを……という直球勝負でそのまま描きました。今回は線画をミリペンにして、『シードルレッド』と『シードルグリーン』2色が引き立つような構成にしています。

『シードルレッド』と『シードルグリーン』は、それぞれラメが入ってるんですね。きっとシードルのシュワシュワ感をラメで表現したい、というコンセプトなのかなと思いました。ラメにも色々と種類があるのでしょう。レッドとグリーンでそれぞれ光沢の色が違っていて、そこがオシャレです。

ちなみに弘前には以前出張で何度か行ったことがあります。いずれも冬で大雪でした。駅からホテルまでの数百メートルがなかなか到達できず……降り積もった雪のせいでスーツケースも転がせず、北国の厳しさを体験しつつも夜はじゃっぱ汁を求めて飲み屋街に向かった思い出があります。あぁ、また行きたいなぁ、ヒトリ鍋でしたが幸せな時間を過ごしました」とサトウヒロシさん。

▶︎をクリックすると、絵の制作動画が再生されます

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一つのインクで2度楽しめる「平山萬年堂」のご当地インク。サトウヒロシさんのインクレビューとともにご紹介

お店を目当てに他県から訪れる方もいるという平山萬年堂。100年以上も続く店内には、その歴史を感じる当時から引き継がれているものが置かれており、一歩踏み込むとまるでタイムスリップしたかのよう。お店には今回ご紹介させてもらったインクだけでなく、文房具を知り尽くす店主セレクトの筆記用具が並ぶ。アンティークやデッドストックの万年筆、何十年と前の懐かしいインク瓶などがあるため、どんなに遠くても一度は訪れたい万年筆好きにはたまらないお店なのだ。ほっこりするインスタグラムの投稿には、ファンからのメッセージが寄せられている。

ちなみにオリジナルインクは、この2色の他に「カシスオレンジ」「SAKURA100」もあるのでぜひチェックして。

サトウヒロシさんのインクレビュー▶︎「シードルレッド」「シードルグリーン」

シードルレッド、シードルグリーン[30ml]¥2,000(税別)/<a href="https://www.instagram.com/hirayama_mannendo/" target="_blank">平山萬年堂</a>

シードルレッド、シードルグリーン[30ml]¥2,000(税別)/平山萬年堂

MuuseoSquareイメージ

MuuseoSquareイメージ

「ラメは、放置すると沈殿します。すると、インク1種で描ける表現にいくつかのパターンが作れます。上澄みのインクを使用すればラメのない澄んだ色。沈殿しているインクを拾えばキラキラと輝く色。振って混ぜたインクを使用すれば、満遍なく程よい光を色に施すことができます。ここに、普通の水溶性インクと同様の、『水加減でつくる濃淡』や『スパッタリング』による『色抜き』を加えることで、奥行きのある『シュワシュワ感』が出せるんです。

万年筆以外にも、水筆、ガラス棒、スポイトなど『インクの拾い方』を道具によって変えられるので、遊びがいのあるインクですからぜひ色々と試してみてください」

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最後に、平山萬年堂のご主人からいただいたコメントをご紹介!

「弘前は、日本のシードルの発祥の地と言われています。2020年6月、築100年以上の旧シードル工場が、新しいシードル工房を隣接した『弘前れんが倉庫美術館』として生まれ変わりました。当店のオリジナルインクは、そこで造られるシードルをイメージしたもの。りんご果汁のような色合いに、炭酸をイメージしたラメが入っています。シードルレッドは赤りんご、シードルグリーンは青りんご。ぜひ万年筆インクの書き味とともに、弘前のシードルも味わってみてください」

ーおわりー

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平山萬年堂

お店を目当てに他県から訪れる方もいるという平山萬年堂。100年以上も続く店内には、その歴史を感じる当時から引き継がれているものが置かれており、一歩踏み込むとまるでタイムスリップしたかのよう。お店には文房具を知り尽くす店主セレクトの筆記用具が並ぶ。アンティークやデッドストックの万年筆、何十年と前の懐かしいインク瓶などがあるため、どんなに遠くても一度は訪れたい万年筆好きにはたまらないお店。ほっこりするインスタグラムの投稿には、ファンからのメッセージが寄せられている。

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公開日:2020年12月29日

更新日:2022年6月6日

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ミューゼオ・スクエア編集部

モノが大好きなミューゼオ・スクエア編集部。革靴を300足所有する編集長を筆頭に、それぞれがモノへのこだわりを強く持っています。趣味の扉を開ける足がかりとなる初級者向けの記事から、「誰が読むの?」というようなマニアックな記事まで。好奇心をもとに、モノが持つ魅力を余すところなく伝えられるような記事を作成していきます。

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