プロが教えるワイングラスの洗い方と磨き方

取材日: 2016年2月18日

取材・文/石原たきび
写真/松本理加

プロが教えるワイングラスの洗い方と磨き方_image

愛用しているグラスとは、できるだけ長く付き合っていきたいもの。そのための日々のお手入れや磨き方、さらに欠けた部分の修繕方法までをプロに聞きました。

学生時代からグラスを買って集めていた

MuuseoSquareイメージ
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向かったのは普段使いのシンプルなものから装飾グラスまで豊富なラインナップでグラスを販売している。「グラスファクトリー創吉」。東京・浅草は隅田川沿いにある。話を聞かせてくれたのは、店主の関場吉五郎さん(56歳)。

1階には様々なグラスやバーグッズが所狭しと並んでいる。下世話ながらお値段が最も高いものを聞くと、「バカラの古いグラスで30万円ぐらい」とのこと。また、2階ではグラス面をカットして模様を刻む江戸切子体験も行っている。

一番右ガラスケースにバカラのグラスも並ぶ。

一番右ガラスケースにバカラのグラスも並ぶ。

「デートで体験しに来るカップルもいらっしゃいますし、外国人の観光客も多いですね。このあいだは、友人の誕生日をサプライズで祝うなんていう女性グループもいらっしゃいましたね」

関場さんはこの道に入って28年。学生時代からグラスを買って集めていた。

「ヨーロッパのグラスが多かったですね。完成品は固形ですが、作るときは溶けて水飴状態なので成形は職人さんの瞬間芸。時代ごとにカットや絵付けも違うので奥が深い世界なんですよ」

とはいえ、「日本の飲食店はおそらく世界で一番グラスにお金をかけている」と関場さんは言う。1万円、2万円の商品もたくさん使われているというから、今後は注意して観察してみたい。

MuuseoSquareイメージ

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切子体験にもトライ。下書きの模様に沿って刃を当てて削っていくのだが、綺麗な直線やカーブなど思い通りに削ることの難しさを痛感する。職人ってすごいなぁ。

「箸よりグラスの方が鼻に近いでしょ?」

ワイングラス専用を試してみると洗いもとてもスムーズ。

ワイングラス専用を試してみると洗いもとてもスムーズ。

では、さっそくレクチャースタート。まずは洗い方から。

「柔らかいスポンジを中性洗剤で洗います。さっと汚れを取るイメージで、ぎりぎり我慢できる熱さのお湯で流す。肝心なのは、水垢をつけないために洗ったグラスを水切りかごなどに長時間汚れたままで溜めないこと。ある程度水分を切ったらクロスで拭きあげる。水垢はグラスにとって一番の敵なんです」

グラスごとに形に合わせてスポンジを切って最適な形にすると、尚良いそうだ。

実際にシャンパングラスを拭いてみるがコツをつかむまでが難しい。

実際にシャンパングラスを拭いてみるがコツをつかむまでが難しい。

続いて拭き方。

「うちのオリジナル商品で、マイクロファイバーの上質なクロスを使うのがベスト。吸水性が高いのとケバ付かないのが大きいんです。とくに薄いグラスは内側からの圧力に弱いので、拭くときに割らないためには内側から外側に押さないこと」

一番大事なのはグラス用とお皿用でスポンジを分けることだそうだ。これによって、料理の油分や匂いがグラスに移らない。

「箸よりグラスの方が鼻に近いでしょ? スポンジも良く洗わないと雑菌が繁殖したりカビてしまうんです」

お手入れのアイテムとして、左から平串(市販の平串の先を削ったもの)、ワイングラス用のスポンジ「ゴッシュカップクリーン」。400円(税抜)、深さのあるグラス用のスポンジ(市販の平串にスポンジを結束バンドで固定)。



お手入れのアイテムとして、左から平串(市販の平串の先を削ったもの)、ワイングラス用のスポンジ「ゴッシュカップクリーン」。400円(税抜)、深さのあるグラス用のスポンジ(市販の平串にスポンジを結束バンドで固定)。



関場さんのお勧めする「ぎやまん布マイクロクロス」。75cmサイズは980円(税抜)、 95cmサイズは1,250円(税抜)

関場さんのお勧めする「ぎやまん布マイクロクロス」。75cmサイズは980円(税抜)、 95cmサイズは1,250円(税抜)

スーパードライの登場ぐらいから時代が変わった

さらに、グラスごとの磨き方や欠けた部分の修繕方法も教えてもらった(詳細は記事下)。面白かったのは、「グラスはお酒のブームと連動する」という話。

「昔、居酒屋でビール用に出てくるのは240ccのタンブラー。でも、いまは400ccなどと容量が大きくなっている。アサヒのスーパードライの登場ぐらいから時代が変わったかんじがします」

日本酒も注ぎつ注がれつのお猪口が普通だったのに、最近では1合グラスも主流。「個人の時代」だからだという。

「直近では、テイスティング用のグラスをお求めになるお客さんが増えています。こうしてお酒を楽しむ文化が定着するのは、グラス屋として嬉しいことです」

いやあ、たかがグラス、されどグラスである。愛おしそうに語る関場さんを見ながら、毎日のように触れるグラスをもっと注意深く観察しようと思った取材でした。

《お手入れ》これなら真似できる! ピカピカグラスの磨き方。

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ワイングラスを磨く

①グラスの中奥までクロスを差し込む。クロスは滑りがよいものを使用すること。②右手親指をグラス内側に這わせ、左手でグラスのボディを包み込んで左手を回転させ、グラスを回しながら磨く。台を持って回すと脚が折れることがあるので要注意。③グラスの脚を拭き、④最後に台の部分を拭いて出来上がり。力を入れず、手元を固めて回転させるのがコツ。

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シャンパングラスを磨く

①細くすぼまったV字型のシャンパングラスは、ボウルの底がとがっているため、底までクロスが届かないことも。③先をとがらせた割り箸(あるいは先がとがった市販の平串などでも可)にクロスをかぶせてクロスの角を最深部まで差し込み、くるくると回しながら拭くとよい。また、乾いた筆先もグラスの底の最後の一滴を拭き取るのに使える。

シャンパングラス&ワイングラスの磨き方

《修理》プロにお任せ! グラスの欠けを修理する。

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①お気に入りのグラスが欠けてしまった場合、捨てるのはしのびない。そんな時は、こんなレスキューを。②欠けた部分のすぐ下にマジックでぐるりと線を引く。③精度が500分の1ミリという切子用のグラインダーで水をかけながら粗ずりをする。④次に外面、内面、角の順にさらに細かく削る。全体を磨けばレスキュー完了!背丈が大幅に小さくなった場合は、ナッツやソースを入れたりと用途を少し変えて愛用できる!

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