木考Vol.1 ウォールナット(クルミ)を知る

文/ミューゼオ・スクエア編集部

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こんにちは。ミューゼオ・スクエア編集部の高橋です。チーク、マホガニーと共に世界三大銘木と称されるウォールナット。日本語ではウォールナットをクルミと言います。まっすぐな木目にチョコレート色の心材と明るいクリーム色の辺材のコントラストが美しい木材です。

この記事ではもう少し掘り下げて、ウォールナットが持つ風合いや、どのような歴史を持つのかを紹介します。

ウォールナットにまつわる3つのキーワード

整った木目

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ウォールナットは空に向かってまっすぐ成長する木で、整った美しい木目を持ちます。幹は細く、製材すると濃い色味の心材と淡い色味の辺材があらわれます。チョコレートカラーの心材と、明るいベージュトーンの辺材との独特なマーブル模様のコントラストは、無垢木材ならではの表情です。

美しい経年変化

ウォールナットは色褪せと言われることもあるほど、最初の濃い茶色から徐々に黄味がかった茶色へと変化します。暗褐色のウォールナットは紫外線を吸収することで含有のカテキンやタンニンが酸化し、赤褐色を経由して明るい茶褐色に変化します。また、油分を適度に含んでいるため、使い込むほどにツヤのある光沢となめらかさが増していきます。

高い耐久性

無垢材の場合、広葉樹か針葉樹かで、その耐久性は大きく変わります。木を構成する細胞と細胞の間には、空気が通る隙間が空いていて、その隙間と細胞の割合のことを空隙(くうげき)率と言います。一般的に広葉樹はその隙間は狭く、細胞の密度が高いので木は重くなります。一方針葉樹は密度が低く、空隙率は高く軽くなります。

ウォールナットは広葉樹であり、密度が高く重さがあるので衝撃に比較的強くなっています。

ウォールナットの家具が生まれた背景

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17世紀後半、王政復古によりチャールズ2世がイングランド王として即位します。「陽気な王様」と呼ばれ、社交や芸術を愛した博識ある国王のもと、ウォールナットが家具史上に大きな発展をもたらします。

粘りがあり加工性や接着性に優れるウォールナット材は、当時の家具職人たちに好んで使われました。それまで家具材として多用されていたのはオーク材でした。オーク材に比べると柔らかいウォールナット材を使用することで、より自由で精巧な造形が可能となりました。曲線やねじれを駆使し、「カブリオールレッグ(猫脚)」などの新しい造形が生まれます。ビクトリア様式やロココ様式の家具にはウォルナットが多く使われています。1660年代から1720年までヨーロッパの家具市場では、ウォールナットを使った製品が人気を独占し、「ウォールナットの時代」と呼ばれていたという話もあります。

ミラノ大聖堂の主祭壇を囲む聖歌隊の合唱席にも使われるなど、確かな美しさと耐久性をもって生活を彩ってきました。
また、加工がしやすいため家具やフローリング材をはじめ、その木目の美しさから工芸品や楽器、ライフルの銃床などにも用いられてきました。

ウォールナット豆知識

ウォールナットの産地は北米です。特にインディアナ、オハイオ、ミズーリー、カナダのオンタリオ州から多く出荷されています。

北米産のブラック・ウォールナットはイースタン・ブラック・ウォールナットやアメリカン・ウォールナットとも呼ばれることもあります。古くから家具材として使用されてきた、ヨーロッパ産のヨーロピアン・ウォールナットと比較するとブラック・ウォールナットは色合いが濃く、辺材が少ないのが特徴です。日本でウォールナットと呼ばれる木材は、このブラック・ウォールナットを指すのが一般的です。

ウォールナットは北米の寒い地域で少しずつゆっくりと育つため、奥行き80㎝のウォールナットの一枚板を採る場合には樹齢100年以上の樹木が必要になります。

木が育つ年月が長い分、家具にした時にも長く付き合うことで引き立つ色気があるのかもしれません。

ーおわりー

公開日:2019年5月25日

更新日:2019年10月4日

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ミューゼオ・スクエア編集部

モノが大好きなミューゼオ・スクエア編集部。革靴を300足所有する編集長を筆頭に、それぞれがモノへのこだわりを強く持っています。趣味の扉を開ける足がかりとなる初級者向けの記事から、「誰が読むの?」というようなマニアックな記事まで。好奇心をもとに、モノが持つ魅力を余すところなく伝えられるような記事を作成していきます。

終わりに

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今回はウォルナットについて紹介しました。ウォルナットの持つチョコレートのような深い色合いは、木材の中ではひときわシックでクールな印象になります。経年による変化は非常に緩やかで、くっきりとしたダークブラウンから徐々に、角が取れてベージュのような色合いに近づいていくため、長く愛用していきたい木材の一つです。

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