2020/8/21 過酷が生んだ"白米千枚田"
初版 2020/08/23 06:39
改訂 2022/09/07 12:42
公開日:2020/08/23
平成23年6月、国連食糧農業機関(FAO,ユネスコではありません)の世界農業遺産に認定された"白米千枚田"です。日本海に落ち込む急峻な地滑り地形、季節風が直接吹き付ける過酷な環境、年貢を治めねばなりません。
地滑り地帯は、地下水が豊富なことから水には困りません。白米の土壌は粘り気のある"土坡(どは)"と呼ばれる風化した珪藻土で保水性があります。コツコツと棚田を増やしました。明治時代の絵図から耕地は7995枚が数えられるそうです。それでも年貢が払えません。かつて広がっていた砂浜では揚げ浜式塩田で塩を作りました。今、海岸は侵食されてテトラに、多くの耕地は耕作放棄されて原野に還っています。
地滑り地帯は、またいつ大きく崩落するのかわかりません。この景観を守るため、滑り面に杭を打ったり、影響を及ぼす地下水を抜いたり、荷重を抑えた材料や工法で構造物を造ったり、見えない部分にお金がかかります。