アジア最大のスペシャルティコーヒーイベント「SCAJ2018」で学ぶコーヒー器具最前線!

取材・文・写真/ゴトーアツシ

2018年9月26日から28日にかけ、東京ビッグサイトで行われたスペシャリティコーヒーと最新コーヒー器具の展示イベント「SCAJ2018」を取材しました。
当記事では、AI技術を駆使した最新のハイテク器具から、毎日のコーヒータイムが楽しくなるような拘りの抽出器具まで、コーヒー器具事情の最前線を紹介します。

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コーヒーの未来が見えるかも?最新ハイテクコーヒー器具

有名なバリスタの淹れるコーヒーを自宅でいつでも楽しめたら。自分好みのコーヒー豆を自宅で簡単に焙煎することができたら。コーヒー好きな人々の夢を叶える最新マシンを紹介します。コーヒーの未来が見えてくるかもしれません。

「Drip」by Kalita × bubble lab

bubble labの機械

bubble labの機械

Kalitaと中国北京のスマートライフ企画集団であるdotcom、その開発部門であるbubble labが共同開発した、ハンドドリップを全自動で行うロボット「Drip」。筒状のボディでワンタッチ起動、待機時にはフラット収納できるなど、スタイリッシュで近未来的なルックスとアクションが特徴です。

iPadなどと連動させて、お湯の温度や湯量、抽出時間、注ぐ軌跡などを細かくカスタマイズできます。抽出の仕方をデータ化して残すことができるので、味のブレが少なく、同じ味を安定的に出すことが可能です。

お湯の注ぎ方を手書きで設定できる

お湯の注ぎ方を手書きで設定できる

抽出の仕方をデータ化できることによって、バリスタが新しい味を研究・開発することが容易に。
まだ誰も飲んだことのない味のコーヒーに出会えるかもしれません。

すでに北京の学園都市にてdotcomが運営する先進的カフェ「dotcom SPACE」で実用されている「Drip」。

店内には「Drip」の他にも無数の3Dプリンタが設置され、立体作品や工業製品のプロトタイプなどを出力し続ける、近未来的な空間になっているそう。

「Drip」を導入した実店舗が、来年、日本の原宿でもオープン予定です。

HARIO V60オートプアオーバーSmart7 BT

HARIO社からは、複雑なハンドドリップ抽出を再現するコーヒーメーカーV60オートプアオーバーSmart7 BTを紹介します。ハンドドリップ抽出のオリジナルレシピを作成したり、有名バリスタのハンドドリップ抽出のレシピを自宅で再現することができます。

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本機器はBluetoothに対応。スマートフォン上で湯温・湯量・ドリップスピードなどを細かくをカスタマイズできるので、自分だけのこだわりのハンドドリップレシピを作ることができます。
ハリオ式の抽出レシピも登録されているので、そこから自分好みにレシピを広げていくのも楽しそう。

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いちど作ったレシピはタッチパネル操作だけで再現可能。
忙しい時にも安定して自分好みのコーヒーを楽しむことができます。

お湯が注がれるシャワー部分。お湯を回し入れるハンドドリップの動きを再現する9穴のシャワーヘッドで、コーヒー粉全体に満遍なくお湯をかけることができます。

お湯が注がれるシャワー部分。お湯を回し入れるハンドドリップの動きを再現する9穴のシャワーヘッドで、コーヒー粉全体に満遍なくお湯をかけることができます。

Panasonic The Roast

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Panasonicのブースからは、最新の家庭用焙煎機「The Roast」を紹介します。
世界中から届いた厳選された生豆を、自宅で本格焙煎して楽しむことができる商品となっています。

なかなか馴染みのない行為かもしれない「焙煎」。コーヒー豆を乾煎り(水も油も使わない加熱)することで、豆を乾燥させると共に香りや風味を変化させていきます。

The Roast 焙煎機にセットされた生豆

The Roast 焙煎機にセットされた生豆

焙煎の甘い香りを楽しんだり、煎りたての豆が味わえたり、エイジング(焙煎後に時間を置くことで、豆の味や香りが変化する現象)を管理して味の変化を楽しんだり。

自宅で焙煎を行うことで、新しいコーヒーの楽しみ方が広がります。

豆の煎り加減を3パターンから選んで調整

豆の煎り加減を3パターンから選んで調整

味のバランスをチャートで確認できる

味のバランスをチャートで確認できる

「The Roast」の標準プランであるBasicサービスに登録すると、年間を通して毎月違った産地の生豆が自宅に配送されます。
本機器はBluetoohでスマートフォンやタブレットに接続され、それぞれの豆に合わせた3パターンの焙煎工程(プロファイル)がデータで入手できます。

登録したユーザーに届けられる、コーヒー豆のストーリーを纏めた「ジャーニーブック」

登録したユーザーに届けられる、コーヒー豆のストーリーを纏めた「ジャーニーブック」

豆のプロフィールや産地の情報、味のバランスなども細かく知ることができ、一年間を通して多くのコーヒーの魅力に触れることができます。自宅で気軽に生豆の焙煎から楽しめる時代が、すぐそこまで来ているのかもしれません。

さらに焙煎の世界に深く潜りたい貴方に。「The Roast Expertサービス」が登場しました!

焙煎工程を1℃1秒単位で自分で作成できる新サービスが登場。
詳細はリンクをご覧下さい!

番外編:「コースターとしても使われるハイセンスなセメント素材「SOLIDO typeM」

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素材の自然な性質を生かしたセメント建材「SOLIDO typeM」

生成時にセメントの表面に浮き出る白い生成物、白華(エフロレッセンス)。時間の経ったコンクリート壁などに発生し、痛んだ印象を与えることから嫌われることの多い現象です。ケイミュー株式会社の販売するセメント素材「SOLIDO typeM」はあえてその現象を抑える処理をせず、セメント本来の無垢な質感を生かしています。2018年グッドデザイン賞を受賞した本品は、建材にも関わらずハイセンスなカフェでコーヒーコースターとして使用されるなど、注目の一品です。

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パナソニック株式会社のブースの後ろに「The Roast」と書かれたボードも、ケイミュー株式会社の「SOLIDO typeF」という素材が使われていました。こちらはリサイクルしたコーヒー豆が使われた素材となっています。

平日も、休日も。自宅で楽しめるコーヒー器具

近年は品質の厳選されたスペシャルティコーヒーの豆が広く手に入るようになりました。

でも、自宅で楽しまれる抽出方法は、今も昔もハンドドリップが一般的。たまには変わった淹れ方も試してみては?

本項では会場で紹介されていた、一味違う拘りの抽出器具を紹介します。

サイフォン

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アルコールランプの揺れる炎、コポコポと沸き上がる湯玉。
まるで理科の実験器具のようなサイフォン。
いちどは、喫茶店などで見かけたことがあるのではないでしょうか?

サイフォン式コーヒーは今回のイベントでも各社にフューチャーされていた注目の抽出機器。

理化学ガラスの製造からスタートしたメーカー、HARIO社から発売のクラシカルなサイフォン式抽出器、テクニカを紹介します。

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本商品にはフラスコ・ロート・布フィルター(ネル)・濾過器・アルコールランプ・計量スプーンなどの必要パーツがセットになっていて、あとはお豆とお湯とアルコールを用意するだけ。

これだけ聞くと本当に理科の実験器具のよう!

サイフォン式の原理は、お湯が温められ蒸気に変化した際の、気圧の変化の利用。
味にブレが出にくく、いつも同じ味が出せるのが特徴です。

難しそうに見えて、その仕組みは意外とシンプル。
きっと、コーヒーを淹れる楽しさを再発見できるはず。

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HARIO コーヒーサイフォン テクニカ 3杯用 TCA-3

・サイズ:幅16.0×奥行9.5×高35.0㎝
・重量:0.775kg
・容量:360ml (3杯用)

フレンチプレス

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良質スペシャリティコーヒー豆が広く流通する今日、注目を集めている抽出方法がフレンチプレス。
紙フィルターを使用せずに抽出するため、豆の油分や旨味、個性を100%感じることができるのが特徴です。

フレンチプレス抽出器ではお馴染み。デンマークに本社を置く老舗メーカー、ボダム社のフレンチプレス抽出機器をご紹介します。

宣伝用の巨大なフレンチプレス!

宣伝用の巨大なフレンチプレス!

ボダム社ではフレンチプレスだけで10種類以上の商品を揃えているそう。大きさやデザイン、材質など様々。家のテイストや個人の志向に合わせて購入できるのが特徴です。

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挽いたコーヒー豆をフレンチプレスに入れ、お湯を注ぐだけで抽出できるシンプルさも魅力的。誰でも安定して美味しいコーヒーを抽出することができます。

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フィルターは三層になっており、分解して洗いやすくなっています

フィルターは三層になっており、分解して洗いやすくなっています

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BODUM CHAMBORD フレンチプレスコーヒーメーカー 0.35L

・サイズ:幅11×奥行8×高さ16.8cm
・本体重量:0.32kg
・容量:0.35L

水出しボトル

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HARIO社からはフィルターインコーヒーボトルを紹介します。この商品は手軽に水出しコーヒーを作ることができ、そのまま保存に使えるのが特徴。

水とコーヒー豆だけで手軽に作れる上に、珈琲豆本来の味と香り、滑らかな口当たりを楽しめる水出しコーヒー。

この商品ではコーヒー粉と水を入れて、待つこと8時間で美味しい水出しコーヒーが完成します。前の晩に仕込んでおけば、翌日美味しい水出しコーヒーを楽しめます。

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ボトル内の形状の異なる「水出し茶」に対応したバージョンの商品も展開中。そちらはサングリアやデトックスウォーターを作るときにもおすすめです。

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フィルターインコーヒーボトル

・サイズ 幅 87 × 奥行 84 × 高 300mm
・重量:約500g
・容量:5杯専用

アウトドアのお供。一緒に出かけたくなるコーヒー器具

山頂やキャンプ場、川や海。屋外で飲むコーヒーは格別の美味しさです。
最近は屋外でも拘りの抽出が可能なコーヒー器具が発売されています。
本項では会場で紹介されていた屋外対応の器具を紹介します。

コーヒープレス

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Kalita社とCafflano社のコラボレーション商品「Kalita kompact」を紹介します。キュートな見た目と、アウトドアでも本格的なコーヒーを楽しめる機能性が特徴です。

使い方は非常に簡単で、器具の中に挽いたコーヒー豆とお湯を入れ、3分待つだけ。
あっという間に本格的なコーヒーが完成します。

Cafflano kompactの紹介ムービー

本商品のもうひとつの魅力は、水出しコーヒーをアウトドアで楽しめるというところ。抽出時間は3〜4時間が目安です。朝、出かける前に挽いたコーヒー豆と水を注ぎ、リュックに入れて出掛け先に持っていけば、山や川など、現地で本格的なコールドブリューコーヒーを楽しむことができます。オフィスや出張先に持っていくなど、日常生活でも活躍してくれそうです。

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飲んだ後は、折りたたんでコンパクトに持ち帰ることができる点もスマートです。水筒の様に持ち運ぶことが出来る抽出機器は、コーヒーを楽しむシチュエーションを広げてくれます。専用ケースもお洒落で、持ち運ぶのが楽しくなりそうです。

コーヒー好きならいちどは足を運んでほしい!

自宅のコーヒータイムの楽しみの幅を広げる抽出器具から、コーヒーの未来へ繋がる最新のロボット器具まで。

「SCAJ2018」の会場ではコーヒーに関わるアイテムが百花繚乱に咲き乱れていました。

本記事では紹介していませんが、もちろんスペシャリティコーヒーの豆の紹介や試飲も会場全体で行われており、会場に一歩足を踏み入れるとすぐにコーヒーの香りに包まれます。

アジア最大級のスペシャリティコーヒーイベント。コーヒー好きならいちどは足を運んでみてください!

ーおわりー

キッチンツールを一層楽しむために。編集部おすすめの書籍

豆も、技術も、器具も …。コーヒーの“進化"は日進月歩

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ブリューコーヒーテクニック

コーヒー粉にお湯を注いで透過させて抽出する方法は、ペーパードリップが代表的で、日本ではドリップコーヒーと総称されています。ただ、ドリップコーヒーは和製英語。BREW COFFEEと呼ぶのが通称。スペシャルティコーヒーという香味のすぐれたコーヒーが広まり、抽出する器具と方法も多様化しています。たとえば、ペーパードリッパーにも、フラワードリッパー、ワイヤータイプ、クリスタルドリッパー、ウェーブドリッパー、ドーナツドリッパーなど。この他、金属フィルタードリップ、エアロプレス、クレバーコーヒードリッパーなど。これらの器具別の抽出法を解説します。

一杯のコーヒーに潜んだその歴史を、一緒に辿ってみましょう。

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珈琲の世界史 (講談社現代新書)

カップ一杯のコーヒーの中には、芳醇なロマンに満ちた「物語」の数々が溶け込んでいます。その液体を口にするとき、私たちはその中の「物語」も同時に味わっているのです。コーヒーの歴史を知ることは、その「物語」を読み解くことに他なりません。歴史のロマンを玩味するにせよ、知識欲の渇きを潤すにせよ、深く知れば知るほどに、その味わいもまた深まるというもの。

公開日:2018年12月4日

更新日:2021年5月26日

Contributor Profile

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ゴトーアツシ

編集者、ライター。東京都出身。 古いモノや文化、それに食に関わる事柄が全般的に好き。 好きな言葉は『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』。

終わりに

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HARIOの一杯用サイフォン、ミニフォンの絶妙なサイズ感や、金属とガラスの異素材ミックス感に一目惚れ。アウトドアでも活躍しそうなフレンチプレス器具、家でも本格焙煎可能なPanasonic The Roastまで、片っ端から持って帰りたくなるコーヒーグッズに包まれたイベントでした。全部手に入れたら、コーヒーグッズだけで自分の部屋が埋まってしまいそうです(笑)

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