世界の貯金箱博物館 石山さん インタビュー

取材日: 2015年2月14日

文章/写真:井本貴明

世界の貯金箱博物館 石山さん インタビュー_image

兵庫県にある尼崎信用金庫 世界の貯金箱博物館は、日本で国内において最初の貯金箱博物館です。
日本はもちろん、欧米やアジア、中東など古代から現代まで世界62ヵ国、約13,000点を超える貯金箱が展示されています。
今回はそんな世界の貯金箱博物館の石山さんにお話しを聞かせていただきました。

現在は、世界62カ国から13000点以上の貯金箱があります

館長の石山さん。貯金箱に関して、とても丁寧に説明をして下さいました

館長の石山さん。貯金箱に関して、とても丁寧に説明をして下さいました

Muuseo(以下mso):「世界の貯金箱博物館」の成り立ちを教えてください。

世界の貯金箱博物館(以下石山):昭和45年頃から、尼崎信用金庫の従業員が貯金箱を集めていて、それらを一斉に持ち寄ったら、文化的な資料となる事に気づきました。と言うのも、貯金箱を通して時代の変還を知る事が出来たのです。
当時、尼崎市に「文化の器」を作ろうと言う動きがありまして、貯金箱の博物館を尼崎に作ることにしました。もともと昭和59年に尼崎が街の景観形成を打ち出しまして、地元の人に恩返しをしたいという気持ちもありました。そして、昭和59年4月に「昔の貯金箱博物館」という名称でオープンしました。開館当時は日本の貯金箱600点を展示していました。
平成2年に当金庫創業70周年記念事業の1つとして、改修した建物に移動して「世界の貯金箱博物館」に改称しました。


mso:貯金箱の所有数はどれぐらいになりますか?

石山:現在は、約13000点以上があります。14000点近くあると思います。世界62カ国の貯金箱を展示しています。
日本の昔の貯金箱もたくさん所有しているのですが、実は、日本の昔の貯金箱を集めるのは難しいのです。何故なら、日本の貯金箱はお金を入れる入り口はあるが、出口がない物が多いです。なので、お金を取り出すには貯金箱を壊す必要がありました。壊されずに現存する古い貯金箱を集めるのが大変でした。一方で、ヨーロッパの古い貯金箱は、教会などへの献金目的で作られた物が多く、お金を取り出す出口があるので、壊されずに残っているケースが多いですね。

1階の入り口付近のコーナーにて、世界の62カ国の国旗とその国の代表的な貯金箱を数点づつ展示しています。様々な国の文化的な違いを発見できて大変勉強になりますし、面白いと思います

全て貯金箱の人形で構成されています!日本中の様々な銀行が、独自の貯金箱人形を作っていました

全て貯金箱の人形で構成されています!日本中の様々な銀行が、独自の貯金箱人形を作っていました

mso:コレクションは、どのようにして集めたのですか?

石山:海外に貯金箱コレクターがおられまして、その方もスイスで貯金箱博物館を運営されていました。欧州まで実際に足を運んで、「日本で貯金箱の博物館を開きたいので、コレクションを分けて欲しい」とお願いして、購入をしました。ある程度の数の海外の貯金箱が揃ったので、博物館の名前を「世界の貯金箱博物館」に変更をしました。
その他には、お客様が海外旅行でのお土産として貯金箱を購入されて、当館に寄贈してくださったケースもたくさんあります。また、当社の社員が旅行や出張の際に、現地で貯金箱を購入していました。
そのようにして、貯金箱の数が徐々に増えて行きましたね。


mso:一番古い貯金箱は何になりますか?

石山:日本の貯金箱で言うと、室町時代の壷型の貯金箱が最も古いです。海外でみると、紀元前3世紀の貯金箱もレプリカですが展示しています。


mso:「世界の貯金箱博物館」の展示の特徴を教えてください

石山:館内は12コーナーに分けています。1階を8コーナー、2階が4コーナーです。コーナー毎にテーマをきちんと設定し、お客様が見やすいように心がけています。
そのうち、1階にあるメインコーナーの展示物を毎月変更しています。月によってテーマを変えて展示をしています。
その他には、貯金箱には見えないような面白い貯金箱も展示しています。例えば、江戸時代の壁掛けの貯金箱などがそうです。江戸時代には泥棒対策として、貯金箱に見えないような物に、お金を隠す事が流行していました。
また、実際に動くカラクリ貯金箱も多数あります。実際に目の前で動くところをお見せ出来るので、楽しんでもらえると思います。


mso:世界の貯金箱博物館で、特に見て欲しいコーナーはありますか?

石山:全部見て欲しいです(笑)。
あえて言うのなら、1階の入り口付近のコーナーにて、世界の62カ国の国旗とその国の代表的な貯金箱を数点づつ展示しています。様々な国の文化的な違いを発見できて大変勉強になりますし、面白いと思います。
例えば、フィリピンではココナッツの実で作られた貯金箱があり、アメリカには鉄で作られた貯金箱があります。郷土色がよく出ていますね。一口に貯金箱と行っても、鉄、紙、木、ブリキ、ゴム、ガラス、竹、ヤシの実、ココナッツの実など、様々な素材で出来た貯金箱があります。小学生が社会科見学で当館に見学に来くることが多いのですが、貯金箱を通して、国の文化の違いを学ぶことができます。
形状の観点で言いいますと、圧倒的に豚の形をした貯金箱が世界的に多いです。豚は子沢山ということで、縁起がいいからですね。

貯金箱は歴史とともに動いています。例えば、テレビが登場したら、テレビの貯金箱が登場する。新幹線が開通したら、新幹線の貯金箱が登場する。歴史と共に動いていて、奥が深いのが魅力ですね

戦時中の貯金箱。もの寂しげな雰囲気があります

戦時中の貯金箱。もの寂しげな雰囲気があります

mso:展示方法として工夫している部分はありますか?

石山:毎月、メインコーナーの展示物を変更して、来てくださったお客様が感動して帰ってもらえるように努力しています。現在はリピーターの方の数が増えてきました。メインコーナーの変更された展示物だけを、毎月見に来られる方もいます。
入館料が無料なので、気軽に遊びに来てくれていますね。


mso:石山さんから見る、貯金箱の魅力とは何ですか?

石山:貯金箱は歴史とともに動いています。例えば、テレビが登場したら、テレビの貯金箱が登場する。新幹線が開通したら、新幹線の貯金箱が登場する。戦時中は、兵隊、大砲、戦車などの貯金箱が増えます。そして、「愛国貯金箱」「貯金で示そう愛国心」などの標語が書かれている貯金箱が存在します。時代が経つと、お金を入れると音が鳴ったり、光ったり、動いたりするような貯金箱も出てきました。
歴史と共に動いていて、奥が深いのが魅力ですね。


mso:石山さんのお気に入りの貯金箱はどれですか?

石山:アメリカの貯金箱で、150年前に作られた貯金箱です。アメリカは南北戦争の後には、たくさんの鉄が余りました。その鉄を使って、カラクリの貯金箱を作ったのです。今でも動きますよ。来館されたお客様には目の前で実演もしています。

消費税も上がりましたので、1円玉の大切さをもっと知って欲しいと思います。そして、お金を貯める楽しさを知って欲しいです

七福神の貯金箱。とても縁起がいいですね

七福神の貯金箱。とても縁起がいいですね

mso:「世界の貯金箱博物館」の今後の展開がありましたら、教えてください。

石山:毎月変更している特別展示を、もっと全国的に知ってもらいたいと思います。そして、尼崎という街全体を観光地にしたいですね。
現在は、様々な雑誌媒体に紹介してもらい、海外からもお客様が来て頂いています。国で言うと、ドイツ、中国、カナダ、オーストラリアからのお客様が多いですね。英語での貯金箱博物館の説明書きも用意してありますので、もっと海外からも足を運んで欲しいですね。


mso:特別展の内容で工夫されている点はありますか?

石山:毎月、その月に見合った特別展をしています。例えば、4月であれば春から縁起がいい「招き猫の貯金箱」。6月であれば時計の記念日を迎えるので「時計の貯金箱」。7月、8月は子供が夏休みになるので、1階と2階に「キャラクターの貯金箱」を多く展示します。12月はクリスマスなので、サンタクロースの貯金箱などを特別展として展示しています。1月には十二支の干支の貯金箱を並べています。


mso:企画展の情報はどこで入手できますか?

石山:当館は、「世界の貯金箱博物館」のホームページがあります。そのホームページでは11ヶ月分の特別展の予定が掲載されています。
”世界の貯金箱博物館”で検索すると、ホームページが出てくるので、そこで確認してみてください。


mso:最後になりますが、「世界の貯金箱博物館」に興味がある読者の方に、メッセージがあればお願いします

石山:消費税も上がりましたので、1円玉の大切さをもっと知って欲しいと思います。そして、お金を貯める楽しさを知って欲しいです。ちなみに、アメリカの人は楽しんで貯金箱に貯金をしています。ゲーム感覚で貯金をしている方が多いように思いますね。
日本の人にも、もっと貯金を楽しんで欲しいですね。

ーおわりー

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世界の貯金箱博物館

File

世界の貯金箱博物館

尼崎信用金庫 世界の貯金箱博物館は、日本はもちろん、欧米やアジア、中東など古代から現代まで世界62ヵ国、約13,000点を超える貯金箱を収蔵する、わが国最初の貯金箱博物館。

兵庫県尼崎市西本町北通3-93

06-6413-1163

開館日 火曜日~日曜日、午前10時~午後4時

休館日 月曜日・祝休日(土曜日・日曜日と重なる場合は開館)12月29日~1月5日

*お店に足を運ぶ前に、HomePageで最新の情報を確認することをお勧めします。

Shop

取材ライターが感じたひと言

兵庫県の尼崎市にある「世界の貯金箱博物館」。
誰もが手にした経験がある貯金箱を、世界62国から集める事で、大きなスケールの博物館になっています。
コレクションの中には、実際に動くカラクリ貯金箱や、音がなったり光ったりする貯金箱もあり、中には触れる貯金箱もあります。
館長の石山さんが言う通り、貯金箱は時代の背景を反映しています。江戸時代では、泥棒対策として貯金箱と悟られない物があったり、戦時中はどこか悲しげな雰囲気の貯金箱が多いです。
時代を反映する貯金箱。2020年の東京オリンピックには、どのような貯金箱が登場するのか楽しみですね!
世界の貯金箱博物館は入館料が無料です。ぜひ、気軽に訪れてみてください!

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