葛飾柴又 寅さん記念館 インタビュー

取材日: 2015年1月24日

文章・写真:井本貴明

葛飾柴又 寅さん記念館 インタビュー_image

東京都柴又駅近郊にある葛飾柴又寅さん記念館。
館内には、映画で実際に使用された「くるまや」のセットが撮影所から移設され、実物資料やジオラマ模型、懐かしの映像集なども多数展示されています。。
山田洋次監督をして「日本人の心の故郷」と言わしめた風景とともに、『男はつらいよ』の世界に浸ることができる博物館です。
今回は葛飾柴又寅さん記念館の館長の小嶋さんと広報の横山さんにお話しを伺いました。

寅さん記念館のコレクションは見るだけでなく、出来るだけお客様が触れられる状態で展示をしています

寅さんファンなら誰もが知っている「くるまや」の実際のセットを展示

寅さんファンなら誰もが知っている「くるまや」の実際のセットを展示

Muuseo(以下mso):最初の質問になりますが、葛飾柴又寅さん記念館の成り立ちを教えてください

葛飾柴又 寅さん記念館(以下寅さん記念館):墨田川の氾濫を防ぐ為の”スーパー堤防”を作る際に柴又公園を作りました。その当時、柴又公園の下にはまだ寅さん記念館はありませんでした。
その後、平成8年に渥美清さんが亡くなり、その翌年に寅さんを記念館を作ろうという事になり、柴又公園の下に記念館を作りまして、平成9年に「葛飾柴又寅さん記念館」としてオープンさせました。


mso:葛飾柴又寅さん記念館が展示しているコレクションの特徴を教えてください。

寅さん記念館:「男はつらいよ」で実際に使われていた団子屋 ”くるまや” のセットを、大船撮影所から持ってきました。寅さんファンなら興奮してもらえると思います。
また、寅さん記念館のコレクションは見るだけでなく、出来るだけお客様が触れられる状態で展示をしています。


mso:館長の小嶋さんの目から見て、寅さん記念館の中で特に見て欲しい部分はどこですか?

寅さん記念館:寅さんの生い立ちコーナーですね。「寅さんってどんな人?」っていつも聞かれます。「男はつらいよ」の物語としては、16歳で家出をして、20年後の36歳の時に帰ってきました。「男はつらいよ」は、そこからの物語になります。
映画の中で寅さんは喧嘩っ早くて、少し暴力的な一面もあるのですが、一方で優しい性格だとか、気を使う部分だとか、男だったら誰でも持っている部分を兼ね備えています。
なので、映画を観た人が「俺の性格に似てるな」と共感できるんですね。その辺りの寅さんの生き方や考え方が、自分と当てはまる部分があります。
また、寅さんは気が向いたらふらっと旅に出る。それって、男の人なら誰でも憧れますよね。そして、寅さんは旅から帰って来ると必ずお土産を持ってくる。旅に出たら、旅先で柴又のみんなの事を思い出す。
寅さんはいろいろな性格を持っているのですが、先ほど述べたような、本当の優しさという物を持っている。ぜひ映画を観てもらい発見してほしいです。それらを発見出来たら、誰でもファンになると思いますよ。

柴又帝釈天、帝釈天参道商店街、寅さん記念館を含めて”日本人の心のふるさと”にしたいと思っています

昭和の風情を再現したジオラマコーナー。細かい部分まで精密に作られています。

昭和の風情を再現したジオラマコーナー。細かい部分まで精密に作られています。

mso:葛飾柴又寅さん記念館の展示方法に関して、こだわっている部分はありますか?

寅さん記念館:当館としては、お客様が出来るだけ満足して頂けるように、多くの展示物に触れるようにしたいと思っています。しかし、全ての展示品を触れるようにしてしまうと、貴重な展示品が壊れてしまう可能性がある。そこのギリギリの境界線が難しいですね。
例えば、入り口にある山田洋次監督が実際に使っていたメガホンも触れる事が可能なのですが、その代わり、スタッフの方で常に状態を気にしていますね。
また、柴又帝釈天、帝釈天参道商店街、葛飾柴又寅さん記念館を含めて”日本人の心のふるさと”にしたいと思っています。そのため、寅さん記念館内に、昭和の原風景をジオラマとして展示しています。昭和の風情と人情をコンセプトにしており、来てくださるお客様に、昔懐かしい感覚を味わって欲しいと思っています。来てくださった年配者の方から「本当に来て良かった。ありがとう」って言われます。
最近では、若い女性のお客様が増えていますね。BSで再放送されている「男はつらいよ」の放送を見ている方がファンになり、当館に来てくれています。話を聞くと、寅さんの人柄に惚れる若い女性の方が多いらしいです。現代の若い男性は持っていない人柄だからかもしれませんね。若い人は「男がつらいよ」が好きと言うより、寅さんが好きっていう人が多いように感じます。


mso:寅さん記念館では常設展示以外に、どのような活動、イベントをしてきましたか?

寅さん記念館:寅さんは多くの場所で撮影されたので、様々なロケ地と提携して物産展を開催しました。
例えば、ロケ地となった群馬県の中之条町の方を呼んで、歴史の紹介や物産展を開催しましたね。寅さんファンの方は、そのロケ地のシーンを懐かしんで楽しんでもらい、ロケ地の方は、実際にロケ地へ足を運んでもらえるPRができるので、お互いのメリットになっています。

寅さんのギャグや義理人情、衣装などに注目すると、もっと楽しめると思います

インタビューに答えて頂いた館長の小嶋さん(左)と広報の横山さん。

インタビューに答えて頂いた館長の小嶋さん(左)と広報の横山さん。

mso:少し個人的な質問をさせてください。小嶋さんが一番好きな寅さんシリーズは、何作目になりますか?

寅さん記念館:いっぱいあって悩みます(笑)。
あえて選ぶなら17作目の「夕焼け小焼け」です。太地喜和子さんがマドンナの回ですね。うちのスタッフもみんな好きですね。映画の作品としてストーリーも綺麗にまとまってある。配役の個性であったり、寅さんの良さだったりがしっかり出ていて、義理人情も出ていますね。
あと、32作目の「口笛を吹く寅次郎」もおススメですね。


mso:寅さんシリーズをこれから見始める方は、映画のどのような点に注目すると、さらに寅さんを楽しめますか?

寅さん記念館:寅さんのギャグですかね。映画の所々でギャグを言っています。そのギャグと言うのが、今のお笑いと違って、”笑かそう笑かそう”というのではなく、自然の会話の中で出て来る喜劇としての笑いの要素が散りばめられています。今観ても面白いです。寅さん記念館でもその辺りを紹介しています。
後は人情。義理人情ですね。笑えて泣ける映画の代表格だと思います。寅さん自体は古い映画なのに、現代の人が見ても自然に楽しめるのが不思議ですね。
実際に観て頂くと古臭い感じがしないですし、飽きもなく観られますね。
そして、1作目の寅さんは普通の背広を着ているのですが、2作目から皆さんが知っている格好になります。作品を通して衣装の変化も楽しめます。
ギャグや義理人情、衣装などに注目すると、もっと楽しめると思います。

2015年の秋に「寅さんサミット」を実施します。柴又の街全体でのイベントにしようと思っています

併設されている山田洋次ミュージアム。山田監督の手書きの台本や受賞トロフィー、8mmの映写機などが展示されています

併設されている山田洋次ミュージアム。山田監督の手書きの台本や受賞トロフィー、8mmの映写機などが展示されています

mso:寅さん記念館の今後の展開を教えてもらえますか?

寅さん記念館:今年、2015年の秋に「寅さんサミット」を実施します。寅さんが訪れたロケ地の物産展を一同に集め、それを柴又の街全体でのイベントにしようと思っています。
柴又帝釈天、帝釈天の参道商店街、寅さん記念館が一体になり、全国のロケ地の人を呼びたいと思っています。
定期的な事で言うと、寅さん記念館は3年に1度リニューアルを実施しています。ほんの少し展示を変更するのではなく、大幅にリニューアルをする感じです。
なので、3年前や4年前に訪れた人が来ると「かなり変わったね」という感想を頂きます。前回の3年前のリニューアルでは「山田洋次ミュージアム」を隣接に作り、寅さん記念館内に”あさひ印刷所”のコーナーが出来ました。
今年の12月にも大きなリニューアルがありますので、楽しみにしてください。
今後も、毎回来られる方が飽きないように、内装や展示物を変えていきます。


mso:イベントの情報はどこから入手ができますか?

寅さん記念館:寅さん記念館のホームページから入手できます。また、柴又参道商店街や葛飾区の観光協会などからも入手出来ます。寅さん記念館に電話でお問い合わせをして頂ければ、イベントに関する情報もご回答をします。
定期的なイベントとしては、毎月10日を”寅さんの日”としまして、「くるまや一家」でお出迎えします。私が寅さんのコスプレをしたり、スタッフ全員がコスプレをしてお出迎えさせて頂きます。次回は、2月10日なります。参道商店街の方でも、寅さんの日に合わせて、目玉商品やイベントを実施するので、柴又の街全体で楽しめると思います。


mso:最後になりますが、寅さん記念館に興味がある読者の方にメッセージをお願いします。

寅さん記念館:ぜひ若い人にも、昭和の人情、下町の人情、風情を感じてもらえればと思います。
浅草などは高層ビルが立ち並び、昔の下町から若干変化をしています。しかし、柴又は高層ビルが無く本当の意味で昭和の下町であり、下町の良さが”街”として残っています。
忘れ去られている日本の古き良き素晴らしい点があります。日本のふるさとを感じてもらえると思います。寅さん記念館を含めて、柴又の街全体を楽しんで欲しいですね。

ーおわりー

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実際に山田洋次監督が使っていたメガホンやカッチン。触る事が出来ます。

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寅さん、また旅に出かけるのでしょうか?

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寅さんの小道具も展示。誰もが知っている寅さんの衣装も!

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当時の撮影風景を再現。撮影現場の臨場感が伝わります。

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寅さんが旅に出かける時の、荷物の中身を想定したコーナー。

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縁日を再現したジオラマ。子供の頃の記憶が甦ってきます。

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平日の金曜日にも関わらず、寅さんファンで一杯。

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寅さん記念館の中庭では、寅さんが訪れたロケ先のパネルが見られます。

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山田洋次ミュージアム館内の壁には、監督作品が描かれている。素敵な演出

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帝釈天参道はとても活気がある。柴又は高い建物が無いので空が近く感じます。

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File

葛飾柴又 寅さん記念館

東京都柴又駅近郊にある葛飾柴又寅さん記念館。
館内には、映画で実際に使用された「くるまや」のセットが撮影所から移設され、実物資料やジオラマ模型、懐かしの映像集なども多数展示されている。

また「永遠に未完」という、名誉館長・山田洋次監督の意思を反映して、当館は常に改善・改良を繰り返されてきた。

屋上の柴又公園に上がれば、作品の舞台となった帝釈天や江戸川河川敷も一望できる。
山田洋次監督をして「日本人の心の故郷」と言わしめた風景とともに、『男はつらいよ』の世界に浸ることができる博物館。

東京都葛飾区柴又6丁目22−19

03-3657-3455

4月~9月 平日  AM 9:00~PM 5:30 土・日・祝日  AM 7:30~PM 6:30
10月~3月 平日  AM 9:00~PM 5:30 土・日・祝日  AM 7:30~PM 5:30

*お店に足を運ぶ前に、HomePageで最新の情報を確認することをお勧めします。

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