定番スニーカー「ジャーマントレーナー」の機能美から生まれる普遍的なデザイン

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写真・文/IROZA編集部

スニーカーの中では目にする機会の多いジャーマントレーナー。ドイツ軍のトレーニングシューズとしてうまれ、現在は数多くのスニーカーのデザインのもとになっています。そんな普遍的なデザインはどのように生まれたのでしょうか。今回はホワイト、ブラック、ネイビーの3色のジャーマントレーナーをIROZAのバイヤー坂本さんに紹介していただきました。

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スニーカーの中では、見る機会が多い「ジャーマントレーナー(german army trainer)」。
元をたどるとドイツ軍のトレーニングシューズで、ミリタリーアイテムに分類されます。無駄を省いたミニマルな雰囲気が特徴で、数多くのスニーカー好きから支持されているこのスニーカーをご紹介。

定番のホワイトは、さまざまなブランドでデザインベースとして使用されており、「Maison Margiela(メゾン・マルジェラ)」や「Dior Homme(ディオールオム)」などのコレクションブランドをはじめ、スニーカーブランドなどでも展開されるほど、世界中でベースに採用されています。

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実は色ごとに特徴があったジャーマントレーナー

もとは1970~1990年に旧西ドイツ軍がトレーニング用に使用していたスニーカーが始まりで、スエードとスムースレザーの組み合わせが基本です。

また、当時生産していた工場は、アディダスやプーマなどの生産も行なっており、その当時に作られていたスニーカーを見るとジャーマントレーナーと同じデザインも多々あります。

定番のホワイトのスニーカーに関しては、生産数が多く一般にも出回りやすかったため、民間にも放出されていました。ブラックは、指導者など階級が上の人が履くスニーカーだったという説があり、生産数がホワイトよりも少なく、古着業界でも現在はなかなか見る機会が減っています。

両カラーとも室内用のトレーニングシューズなので、室内で滑らないようにガムソールを採用。またネイビーは、屋外用のトレーニングシューズなので、ソールの形状や素材が異なり、ポコポコ丸が連なるようなデザインの靴底になっています。

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機能美が、長く愛されるデザインの秘密

ミリタリー品は、国の制服ともいえるアイテムであり、実用性に特化されたモノの良さが最大の魅力です。

人間工学に基づき、ファッション性ではなく性能を追求したアイテムは、デザインの一つ一つに理由があり、その究極の機能美が多くのブランドを引き付ける魅力になっています。

もしかしたら最近手に入れたアイテムの中にも、ミリタリーアイテムのデザインを模したものがあるかも知れません。

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知ってなるほど!ジャーマントレーナーQ&A

Q1:スエード&スムースレザーのスニーカーは普段どう手入れすれば良いですか?

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スエードはブラシ、スムースレザーは乾いた布で定期的に汚れを落とします。
その後、それぞれ専用の防水防汚スプレーを利用すると、汚れや水濡れを防いで汚れにくくなります。水濡れに弱いので、雨の日は着用を避けるのがベター。
2日続けて履かない、というのもレザーシューズを長持ちさせる秘訣です。

Q2:ジャーマントレーナーがベースとなった他ブランドの型番を教えてください。

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古くはADIDAS「Samba」、PUMA「Liga」。最近ではタケオキクチ×PUMA「G-トレーナー」、FICOUTURE「CORDURA GERMAN TRAINER」、などなど多種多様です。
ちなみにIROZAでは、以下ブランドのアイテムがあります。
Tomo&Co

Q3:ジャーマントレーナーのスニーカーはどこで入手できますか?

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オリジナルの商品は現在は生産されてないため、入手するにはヨーロッパ系のヴィンテージショップに足繁く通いましょう。古いければ古いほど希少価値が高く、価格にも反映されています。
IROZAでは現行品を取り扱っています。

ジャーマントレーナーをデザインベースにしたスニーカーはたくさんあるので、どこに違いがあるのかを比べてみるのも面白そうですね。

ーおわりー

ワーク・ミリタリー・ストリートを一層楽しむために。編集部おすすめの書籍

決定的な知識の源となる、究極のスニーカーブック

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Sneaker Freaker: The Ultimate Sneaker Book! (Sneaker Freaker Magazine)

2002年のある日、Simon Woody Woodは、無料でスニーカーを手に入れる方法を考えていました。その2週間後、彼はSneaker Freakerのオーナーとなり、その後の人生は一変することに。

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650ページ以上にも及ぶWoodyによる歴史的なディテールやオタクレベルの細かな情報は夢中にさせられるほど。また、100年の歴史を辿りながらスニーカー業界の進化の様子も描かれています。Air Max、Air Force、Adi Dassler、Converse、Kanye、Dapper Dan、Dee Brown、Michael Jordan、Yeezyに加え、Troop、Airwalk、Vision Street Wearなどの貴重なアイテムも多数網羅されています。

スニーカー・ヘッズ必携の一冊!

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スニーカーの文化史 いかにスニーカーはポップカルチャーのアイコンとなったか

ケッズ、コンバース、プーマ、アディダス、オニツカ、ナイキ、ニューバランス、リーボック、ヴァンズ etc…

競技場からストリートへ、ストリートからSNSへ
ライフスタイルとカルチャーの変革を見つめ、誕生から現在までをたどるスニーカー・クロニクル

われわれにとっても最も身近なファンションアイテムであり、誰もが一足は持っているスニーカー。
なぜスニーカーは現代を代表するポップカルチャーやファッションのアイコンになり得たのでしょうか BR>
今日のスニーカー産業はかつてない規模に巨大化しています。
アスリートやセレブと巨額のエンドースメント契約が結ばれ、ハイブランドとのコラボモデルのスニーカーが続々と登場。
そしてスニーカー情報を発信するメディアやSNSは多くの読者を獲得し、「スニーカーヘッズ」と呼ばれるスニーカーファンは、お目当てのアイテムを求めてショップに長蛇の列をつくります。

スポーツウェアとして誕生したスニーカーは、その後ストリートに飛び出し、
カリフォルニアのスケートボーダーやニューヨークのラッパーのアイコンとなりました。
時にはギャングの暴力や暴動の原因となり、世界的な経済論争の中心となり、
スポーツを巨大ビジネスに変えるための探求の糸口となり、ハイファッションのミューズとなったスニーカー。

スニーカーの誕生から現代までの間に、スニーカーは、
スポーツ、ファッション、消費文化、音楽、セレブ、広告、グローバリゼーションの発展に重要な役割を果たしてきました。

本書では、1830年代のゴム底製スニーカーの誕生から現代までの180年に及ぶ壮大なスニーカーの歴史を丁寧に紐解くと同時に、
スポーツやストリートのポップカルチャーの中にスニーカーがどのように浸透し、現在のような巨大産業になり得たのかを解説しています。

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確執がもとで分裂しアディダスとプーマを設立したダスラー兄弟、
妻が作る焼き菓子のワッフルにヒントを得て「ワッフルソール」を生み出し、スポーツの世界を変えてしまったビル・バウワーマン(ナイキ共同創設者)まで、
スニーカーの歴史をつくってきた数々の人物やエピソードを紹介しています。

公開日:2017年7月8日

更新日:2022年4月4日

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