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「製作は自分たちの手の届く範囲で」ウッドファニチャーブランド・CielBleu(シエルブルー)。_image
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「製作は自分たちの手の届く範囲で」ウッドファニチャーブランド・CielBleu(シエルブルー)。

ここ数年、企画から制作、販売までを自分たちで手掛けて発信するアウトドアブランドが急増。ユーザーにより近い目線や立場から開発、製品化を行い、小規模ながら高いクオリティとユニークな視点で大手メーカーとは違ったもの作りを発信している。小規模=〝自宅ガレージからユーザーの手へ〟という例えから「ガレージブランド」と称され、人気を集めている。今回は、アウトドアでも家でも使えるようにと生み出されたウッドファニチャーブランドをご紹介。

取材日: 2017年2月2日

取材・文/小田巻美穂子
写真/佐々木孝憲

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「普段の暮らしでもアウトドアでも使えるものを作りたかった」

今アウトドア愛好家の間では、従来のプラスチックやメラミン、アルミなどといったおなじみの素材ではなくナチュラルな素材を使って作られたアイテムが人気で、そんなアウトドアアイテムをそのままインテリアに取り入れるのがトレンドになっている。中でも丈夫で機能的なウッドテーブルは定番のアイテムだ。

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CielBleu(シエルブルー)、フランス語で〝青い空〟というネーミングでブランドをスタートさせた茨木一綺さん、実加さん夫妻。アウトドアはもちろん、普段も活用できるウッドファニチャーを作っている。

一綺さんはかつてカーエンジニアとして働いており、その縁で今も車関係の仕事を請け負っていたり、シエルブルーを始めてからはファニチャー製作に加え企業や雑誌のアウトドア企画のスタイリングも手掛けるなど、肩書きをひとつにはできない多彩な方。

茨木一綺さん。通称〝ワカ〟。名刺にはファニチャープロデュースを始め、空間プロデュース、ファブリッククラフト、アメリカンカーリペアなどの肩書きも。

茨木一綺さん。通称〝ワカ〟。名刺にはファニチャープロデュースを始め、空間プロデュース、ファブリッククラフト、アメリカンカーリペアなどの肩書きも。

そもそもウッドファニチャーを作り始めたのも、岡山に住んでいた時に実加さんが開いていたお家カフェに必要なものを揃えるためで、その頃は製品にして売り出すことは考えていなかったという。

それでも木材に関しては全国の木材屋を何軒も訪ね歩き、最終的に岡山の木材屋で納得のいく素材を購入。工房を埼玉に移してからも、製材の腕に全幅の信頼を置いている、その時出会った一軒との付き合いが続いている。

茨木実加さん。通称〝アネゴ〟。一綺さんのアイデアや試作品をチェックしてアップデートさせたり、イラストなどのヴィジュアル面を担当。もちろん組み立てと加工の作業も行っている。

茨木実加さん。通称〝アネゴ〟。一綺さんのアイデアや試作品をチェックしてアップデートさせたり、イラストなどのヴィジュアル面を担当。もちろん組み立てと加工の作業も行っている。

「昔からキャンプも楽しんでいたんですが、腰を悪くしていて一般的なキャンプチェアだと立ったり座ったりが辛くて。あと当時のアイテムは角張ったモデルが多くて好みのものがなかったから、じゃあ自分で作ってしまおうかと」

そうして誕生したのが『ディレクターズチェア』だ。その後も友人の要望に応える形でウッドテーブルを製作し始める。

ショールームの入り口。もとは布団屋の店舗だったスペースを活用。中にはショーケースなど店舗の名残もある。

ショールームの入り口。もとは布団屋の店舗だったスペースを活用。中にはショーケースなど店舗の名残もある。

ショールームの隣に作業をする工房を構えている。こちらはもとガレージ。D.I.Y.でフルリフォーム。

ショールームの隣に作業をする工房を構えている。こちらはもとガレージ。D.I.Y.でフルリフォーム。

コンパクトに持ち運べるよう「ロールトップ方式にこだわっています」

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初めて製品として世に出たのは看板商品の『ロールトップテーブル』。ホワイトアッシュ材で作られた天板がロールトップ(巻いて筒状にできる)なのと天板の板間にビーズが挟み込まれていることが特徴だ。小さなテーブルも大きなテーブルも分解ができてあっという間にコンパクトサイズに。

「脚が折りたためたり、天板が半分になったりなどのテーブルは他ブランドからすでにリリースされていたので、自分たちはロールトップにこだわろうと決めました」

現在はテーブルが11種あり、大きさや高さを用途に応じて選べるようになっている。さらにチェアが2種、他にもウォールマグやタープなどもある。

テーブルはこのようにバラバラになる。倉敷帆布で作られた収納ケース付きだ。

テーブルはこのようにバラバラになる。倉敷帆布で作られた収納ケース付きだ。

モデルによっても異なるが、天板の板の幅が微妙に変えられている

モデルによっても異なるが、天板の板の幅が微妙に変えられている

テーブルで分解できる、組み立て式と聞くとガタつきや強度の心配が頭をよぎる人もいるかもしれないが、インテリアファニチャーと比べてもなんら遜色がない。むしろサッとしまえる、すぐに動かせるなど機動力に優れるなどのメリットがある。

ロールトップ方式のローテーブルの組み立ても簡単!

「ユーザーの要望に応える形で進化してきた」

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モノには作り手の想いが入るからと、いつも楽しく作ることを心掛けている。

「友人のために作っていたときから変わらないのですが、本当に使いたい人が大事に使えるモノを目指しています。それから作り手の顔が見えることが大切だと思っているので、加工と組み立て、仕上げまですべて自分たちでやると決めています。手作業は数を稼ぐことができなくて多くの人をお待たせしてしまっていることに関してはすごく心苦しいのですが、じゃあ他の人、たとえば工場とかに任せられるかといったらそうじゃないし、そもそもそうするなら作らないですね」

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ディレクターズチェアひとつとっても作る度に木材の種類や加工方法など細かい部分で何かしらのアップデートがされている。ロゴも少しずつ変化している。

ブランド初期にリリースされた『ロールトップテーブルS-P』はアウトドアユニット・ミジンコとして活躍する、こいしゆうかさんのために作ったモデル。こいしさんは車を使わないキャンプスタイルを提案していたため、丈夫であることに加えて持ち運びのしやすさを第一に考えた。さらにかわいさを出すために板間にカラフルなビーズを挟み込むアイデアもプラス。その後男性陣から欲しいという要望が出てウッドビーズバージョンが誕生する。

ひとり用のテーブル。焚き火をしながらお酒を楽しむときのサイドテーブルとしても重宝する。男性陣からも欲しいという要望が出てウッドビーズバージョンが誕生。

ひとり用のテーブル。焚き火をしながらお酒を楽しむときのサイドテーブルとしても重宝する。男性陣からも欲しいという要望が出てウッドビーズバージョンが誕生。

すぐに使えるよう機動力を最優先に考えられたロールトップではないモデル。サイドにレザーベルトが付いているのが特徴。脚は2段階の高さに調整可能。

すぐに使えるよう機動力を最優先に考えられたロールトップではないモデル。サイドにレザーベルトが付いているのが特徴。脚は2段階の高さに調整可能。

またテーブルサイドにレザーの持ち手が付けられたキャリーテーブルは軽井沢のカフェ、コーヒーハウスシェイカーのオーナー・黒澤さんからの「釣りの時に持ち運びが便利ですぐに使えるテーブルが欲しい」というひとことから生まれたモデル。コーヒーハウスシェイカーはシエルブルーの最初の代理店でもあるそう。

そして最近では海外からの問い合わせも多い。
「うれしいことではあるんですが、現状は修理やメンテナンスとなった場合にやり取りが大変なため、海外への発送は現地で確実なサポートができる目処が立ってからスタートさせたいと思っています」

ガレージをD.I.Y.した作業場でひたすら加工と組み立て作業を行う

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製品だけでもクオリティの高さは実感できるが、加工前の木材に触れるとその違いに驚かされるのと同時にどれだけ手間が掛けられているかがわかる。

「もとが良い木材であることはもちろん、自分たちのこだわりを表現するためには表面を滑らかにする、角を落とす、脚を形作るなどの地道な作業が欠かせないし、それを自分の手で確かめながらだからこそのクオリティだと思っています」

加工前の木材はいわば角材。何百本という木材に、ひたすら磨きの作業を繰り返して組み立てていく。
仕上げのオイルフィニッシュには100%植物油と植物性ワックスを使用した自然塗料を使用し、その後耐候耐水性の高いオイルフィニッシュ工程も追加している。オイルフィニッシュ製品は木の呼吸を損なわないので木は生き続け磨き込むほどに、時間が経つほどに味が出てくるのが特徴だ。

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天板用木材の加工前(左)と加工後。

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表面を滑らかにする作業と焼き印を押す作業。ブランドロゴは最近リニューアル。イラストレーター・ナカオテッペイ氏のデザイン。

「注文の個数を見て、何日までにどの材料が何本必要で……と計算すると一瞬気が遠くなります(笑)。夢中でやっていると時間が過ぎるのもあっという間で、繁忙期は気がついたら夜明け前だったなんてことはよくありますね」

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「コラボは自分たちだけではできないことを形にできる」

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茨木さんの飾らない人柄もあり、やりたいことを他のブランドに相談したり、逆に提案されたりすることも多い。

大手では新富士バーナー社のアウトドアブランド「SOTO(ソト)」からのオファーで同社の「ワンアクションテーブル」のステンレススタンドにシエルブルーの木製天板を合わせた『ミニワンアクションテーブル』をリリース、100台(15,000円)が発売当日に完売した。

「この製品はただ脚をくっつけてただけだろ、なんて言われたりしちゃうんですけどね(笑)。これは本当に手間が掛かっています。100台って大手メーカーからしたら超小ロットですけど、こっちはがんばっても1日にできあがる台数に限りがあるから毎日必死でした」

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『cotton KOKAGE wing』は真夏の炎天下では涼しく快適に楽しめて、焚火や煙突から舞ってきた火の粉にも耐久性のあるタープ。これは生地やその縫製に詳しい「ソトラボ」に相談。「ソトラボ」はガス缶のカバーやチェアの座面張り替え生地などが人気のアウトドアガレージブランドだ。

「アイデアはずーっとあったんですけど、それを形にする技術がなくて。MOSS(モス)やMSR(エムエスアール)を彷彿とさせる、焚き火に強いタープが欲しかったんです。それがコラボで見事に実現しました」

そして最新のコラボアイテムが「バリスティクス」と作った『フロウリッシュ チェア』(2017年4月より販売スタート予定)。
「今となっては新品入手困難な銘品のしっかりと拘ったレプリカを超えたチェアが欲しい、というバリスティクスさんとの雑談から実現したものです」

岡山県で中国地方初の大型アウトドアイベントを開催!

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テーブルの製作に忙しくしている中でも、茨木さんがシエルブルーを通じてできたネットワークを活かし、新たな試みをスタートさせる。それが2017年4月1~2日に行われるアウトドアイベント「Westside Outdoor Festival(https://www.facebook.com/westsideoutdoor/)」。
「東京の近くに住んでいるとアウトドアの情報も最先端でおもしろいモノが次から次へと出てきますが、地方は東京ほどのスピード感はなくて、盛り上がっているとは言い難いんですね。だからまずは地元で自分が体感していいなと思ったモノやコトを共有できるイベントをやってみようと考えました」

毎年、各地で行われるアウトドアイベントにも参加していて、今年は主催イベントを皮切りに毎週末、どこかに出掛けて出店するシーズンが始まる。ユーザーの反応を直接感じられたり、作り手同士で交流できるのもイベントの醍醐味だ。サービス精神旺盛、オープンで柔軟なスタンスの2人の人柄が、多くの人にアウトドアを身近なものになるきっかけを作っている。

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File

「CielBleu」シエルブルー

2010年7月、岡山でスタート。アウトドアから暮らしまでをテーマに、素材、仕上げ、質感、雰囲気にこだわったハンドメイドの木工製品を製作。現在は工房を埼玉県に移し、オリジナルグッズのほかにも多岐に渡るクリエイター、メーカー、ショップとのコラボレーション製品を展開している。

Brand
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CielBleu(シエルブルー)オンラインショップ

実店舗はなく、主に直営サイトでの販売。ほかに「コーヒーハウスシェイカー」(栃木県那須塩原市)、「WILD-1(ワイルドワン)」(多摩・入間・お台場など)は実店舗で購入可能。「ソトソトデイズ」、「カスケードループ」などのオンラインショップでも購入可能。
※工房所在地はプレスルーム(ショールーム)兼オフィスで、リテーラー、各メディア出版関係向けショールームとなっており、一般に向けての開店営業はしていない。

ネットショップのみ

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