僕の会いたい、関西で活躍する本物のクラフトマンたち

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文・写真 / 石見豪

2017年より開始した連載『僕の会いたい本物のクラフトマン』。
大阪で人気のカウンター式の靴磨き店「TWTG」のオーナー兼靴磨き職人である石見豪さんが、関西で活躍して気になる職人(=クラフトマン)を尋ねる本連載。第一回目は、本人自らが語る「職人・石見豪」の紹介、本連載にかける想いを語ってもらいます。

センスとは何か。本物のクラフトマンと会い、その答えを深く探っていく旅の始まり。

MuuseoSquareイメージ

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今回から『僕の会いたい本物のクラフトマン』の連載を担当させていただくことになりました。普段はクローズアップされることが少ない関西圏の職人さんと対談し、皆さんに紹介していきます。

まぁ、かくいう私も職人ですので、同類ならではの目線で探っていきたいと思います。具体的には、出来上がった物ではなく、職人自身にスポットを当てることで、素晴らしい仕事の根源、そのセンスの泉はどこから湧き出ているのかを掘り当てたいと考えています。

さて、ここで少しだけ、私自身について。

靴磨き職人としてのキャリアは4年ほどで、修行期間を含めると足掛け5年になります。
磨いてきた靴の数は、2万4千足。(もちろん、今も増え続けています)フルタイムの仕事に換算すると、一足30分で仕上げるとして、休日なしで毎日8時間磨き続けて6年掛かる数です。実際にこれだけの数を見て、触って、磨いた人は少ないだろうと自負しています。

たくさん磨いたり、染めたりしていると、それぞれの靴の特徴が、自ずとわかってきます。良い靴、すごく良い靴、あまり良くない靴(笑)

良い靴の価値は、フォルムや靴の立体的な構造を司るそれぞれの部位、芯材の入り方や出し縫いのピッチへの配慮、革質といったディテールにこそ集約されていると思いますが、経験からそういった情報が瞬間的に把握できるようになりました。

また、靴をきっかけに、普段からディテールに拘りを感じる物に手が伸びるようになり、今ではすっかり深みにはまっています。

例えば、高級ブランドで全身をコーディネートしても、お洒落だとは限らない。それがファッションの面白さの一つだと思います。

違いは、センスの良さにあり、ディテールに表れるというのが私の持論です。――パンツ丈やサイズ感、靴下の刺し色、ネクタイの素材というように――

だから、私は「本物のクラフトマン」を卓越した技術は当然のこと、センスも兼ね備えている職人と定義します。

では、センスとは何か。

目に見えないからこそ、一概には定義できないその正体を、本物のクラフトマンの方々とのインタビューを通して、より深く探っていきたいと思います。

ーおわりー

MuuseoSquareイメージ

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VASS

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JOHN LOBB

JOHN LOBB

JOHN LOBB

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GAZIANO&GIRLING

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石見さんが磨いてきた革靴の数々。Instagram、Facebookで更新中。

File

The Way Things Go

店主が学生の頃から好きだったという芸術家Peter Fischli & David Weiss(ピーター・フィッシュリとダヴィッド・ヴァイス)が1987年に発表した映像作品のタイトル ""THE WAY THINGS GO""が店名の由来。
日本語では「事の次第」という意味であり、作品自体というよりはむしろ完成に至らせるまでの背景を感じさせる奥行きこそが魅力であると語っている。


「常に最高の結果を提供することは、靴磨き職人として第一の志です。

しかし、磨く技術だけでは不十分で、さらに店構え、職人の所作、装い、会話 を通して、お客様に靴磨きの奥行きを感じていただけるサービスを目指したいと考えました。」


靴磨きが完成品だけでなくプロセスも楽しめる、ワクワクするものになるような体験を提供している。

公開日:2017年1月24日

更新日:2022年6月2日

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