「MUUSEO WORKWEAR SNAP!」 第1回 BESPOKEMAN 金子勝さん

「MUUSEO WORKWEAR SNAP!」 第1回 BESPOKEMAN 金子勝さん_image

文/ミューゼオ・スクエア編集部
写真/佐々木孝憲

各分野のプロフェッショナルの仕事着にフォーカスした連載「MUUSEO WORKWEAR SNAP!」

作業を効率的に行うため、そして自分の美学を貫くため。選びぬかれた仕事着には必然から生まれる美しさが備わっています。これがプロフェッショナルたちのリアルな仕事着。第1回はテーラー「BESPOKEMAN」を営む金子勝さんを紹介します。研ぎ澄まされた仕事の奥行きをお楽しみください!

Tops:ビスポークのジャケット

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「私の制服はディレクターズスーツです。Smith Woollens(スミスウーレンズ)のトラベルスーティングコレクション『Finmeresco(フィンメレスコ)』のブラックでジャケットを仕立てました。『Finmeresco』の中でも、シワになりにくい4PLY生地を使っています。ベストはもちろんシルバーグレーです。主役はお客様なので、本当に黒子に徹するならばディレクターズスーツはありかなと。BESPOKEMANを立ち上げた時から変わらずこのスタイルです」

Bottoms:コールパンツ

「トラウザーズはツータックのコールパンツ(ストライプのトラウザーズ)です。ブレイシーズ(サスペンダー)、インプリーツ仕様にしています。駆け出しのころ、仲の良い銀座のベテラン職人さんから『昔はコールパンツを履いて裁断をしていたんだよ』という話を聞いてから履くようになりました。仕立て屋が履くトラウザーズは汚れやすいのです。採寸の時に膝をついたり、縫製の時にミシンを踏んだり、裁断の時にテーブルに擦れたり。コールパンツは汚れが目立たない上に、ジャケットを羽織ればフォーマルな装いでお客様をお迎えすることができるので愛用しています」

Item:アンティークの裁ちばさみ

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「ロンドンのテーラー『Meyer & Mortimer』で働いていた時のことです。一緒に働いていた人たちはみんな、このような裁ちバサミで仕事をしていたんです。『それはどこで買えるの?』と聞いても『もう売っていないんだよ』『知人から譲ってもらった』と返事が返ってくることがほとんどでした。

ある日アンティークのマーケットに出かけた際、銀食器をメインに扱うお店で1本目の裁ちばさみ(奥)に出会ったんです。オーナーは1830年代のものではないかと言っていました。もし本当ならば約190年前のハサミということになります。即決で購入し、仕事で使えるようにロンドンの研ぎ屋に研いでもらいました。『もう一本でてきたら教えていただけますか』と店主に相談し、数ヶ月後に2本目を購入しました。本当は2本も裁ちばさみは必要ないんですけど、手前のハサミは生地を裁つために、奥のハサミは型紙を切るために使っています。1本目のハサミを持った時に『自分のお店を持つ時にはこのハサミと仕事をするんだ』と誓いました」

ーおわりー

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BESPOKEMAN

ロンドン Savile Row「サヴィル・ロウ」にある英国王室御用達テーラー「Meyer &Mortimer」でビスポークカッターとして勤務していた金子勝氏が2013年に設立したブランド。

ロンドンから帰国したのち、SNSを通じた出張テーラーを開始。2018年5月からは銀座にアトリエを構えている。アトリエではアットホームな雰囲気の中、オーダーした手縫いスーツの制作過程を見ることができる。

ビスポークスーツのほか、スーツの要となる箇所をBESPOKEMANアトリエにて手縫いで製作したパターンオーダーも受け付けている。

公開日:2020年5月27日

更新日:2021年10月20日

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ミューゼオ・スクエア編集部

モノが大好きなミューゼオ・スクエア編集部。革靴を300足所有する編集長を筆頭に、それぞれがモノへのこだわりを強く持っています。趣味の扉を開ける足がかりとなる初級者向けの記事から、「誰が読むの?」というようなマニアックな記事まで。好奇心をもとに、モノが持つ魅力を余すところなく伝えられるような記事を作成していきます。

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