Konica Fマウントレンズ
小西六の最初の一眼レフカメラは1960年に投入された世界最速1/2000秒の高速シャッターをもつKonica Fでした。このときのマウントはコニカマウント,通称,コニカFマウントでした。Konica Fはたいへん高性能でしたが高価でもありました。そのため日本国内ではほとんど売れず,結果としてほとんどが輸出されます。シャッターユニットの合理化などによって1962年のFPのような廉価版のカメラが投入されますが,あまり販売数は改善しなかったようです。1965年にはフランジバックはそのままに大口径化したコニカマウントII,通称,コニカARマウントのAutorexが登場しコニカFマウントはわずか5年でその幕を閉じます。
そのため,コニカFマウントのレンズはあまり多くはありません。35mm F2,同F2.8,50mm F2,52mm F1.4,同F1.8,85mm F1.8,100mm F2.8,135mm F2.8,同F3.5,200mm F3.5,400mm F4.5,800mm F8というラインナップでした。なかでも35mm F2と52mm F1.4,85mm F1.8は当時としては非常に先進的な大口径レンズであったと推察されます。現在,中古市場で見かけるコニカFマウントレンズは52mm F1.8が圧倒的に多く,まれに52mm F1.4や35mm F2.8を見る程度です。それ以外のレンズはおそらくタマ数自体が少なくほとんど見たことがありません。
コニカFマウントのレンズはあまりにもマイナーなためさすがにマウントアダプター全盛のご時世にあってもメジャーどころからはマウントアダプターが発売されていません。そのため,コニカFマウントレンズをミラーレス一眼カメラで使うもっとも合理的と思える方法は,コニカFマウントレンズをARマウントボディに取り付けるためのコニカ純正のマウントアダプタを入手し,市場に豊富に流通しているARマウントレンズ用のアダプターを使うことだと思われます。しかし,この純正アダプタがとてつもなくレアものなうえに,市場に流通しているARマウントレンズ用アダプタの多くとはうまく繋がらない,という二重の罠が待っていて,コニカFマウントレンズを普通に使うことのハードルは異常に高いものがあります。でも,困難であればあるほど,どうしてもなんとかしたくなるものです。悲しい性です。