大人版・秘密基地のためのギアが集結⁉︎ 子供のころからの憧れが詰まったミリタリーファニチャーを特別公開!

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文/石原 たきび
写真/見城 了

バリスティクスの塚原さんには、こだわりの品々を集める癖がある。集めているもののジャンルは多岐に渡るが、どのアイテムにも共通するキーワードは”サバイバル”、“冒険”、“アドベンチャー”。それらのお宝を全4回の連載で特別公開する。初回は、基地や戦地で使われていたというミリタリーファニチャー。時代を経ても色あせない魅力がそこはかとなく漂っています。

写真のアイテムは塚原さんのお宝のほんの一部。倉庫と自宅にはこれ以上の大物(重量級)が眠っているという。

写真のアイテムは塚原さんのお宝のほんの一部。倉庫と自宅にはこれ以上の大物(重量級)が眠っているという。

大人になった今もサバイバルものや冒険ものにワクワク。もの集めは子どものころの遊びの延長上。

ミリタリーファニチャーとは、おもに各国の軍が使用していた家具や調度品のこと。塚原さんは、遊び心や装飾性とは無縁の実用性と機能性に惹かれて、これらを集めている。

「いずれもシンプルで無骨なデザイン。実用本位で全く飾り気のないところが魅力です」

収集にかける情熱は私たちの想像をはるかに超えるものだ。「予備がないと心配で使えないので、気に入ったものは何でも2つ以上買ってしまう」という言葉からも、彼の入れ込み具合が伺える。

「いわゆる“軍モノ”に目覚めたきっかけのひとつは、小学生の時に読んでいた漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』。ちょうどタカラ(現:タカラトミー)から発売されるタイミングで「コンバットジョー」が漫画にも出てきたんです。主人公の両さんが元々GI JOE好きで…という設定でした。それを見て、直感的にかっこいいなと」

生まれ育ったのは栃木県の那須塩原市。家の近くの廃棄物置き場に忍び込んで、がれきの中に秘密基地を作ったり、落とし穴を掘って遊んだりと……。そんな小学生だった。

「お菓子やおもちゃを持ち込んで友達とおしゃべりしたりしていましたね。近所には女子ばかりだったので、男だけの空間が欲しかったんでしょうね」

今の収集も子どものころの遊びの延長上にあるのかと聞けば、「収集しているつもりはないんですよ。ただ、欲しいものを手に入れているだけで、その繰り返しでいつの間にか膨大な量になりました」と笑う。

当然、自宅には収まりきらなくなったので、小さな倉庫を3つ借りている。その倉庫も限られたスペースに押し込むため、内部はジェンガ状態だという。

なお、“軍モノ”を集めているとはいえ、塚原さん自身は戦争や争いごとを嫌う。

「こういうアイテムが好きなのは古着なんかと一緒で、デザイン意図や時代背景、使用状況を思い浮かべるのが楽しいからなんです。収集アイテムに関連する最低限の知識として以外は銃器や兵器類には興味がないですね」

お気に入りの品々を眺める顔つきは、さながら自分の子どもを愛おしそうに見つめる親の表情そのもの。塚原さんにとっては、どれもが苦労して手に入れたかけがえのない“宝物”なのだろう。

File

コンバットジョーとは

写真の左側2列(計7体)がコンバットジョー(ちなみに、右側の青い女性型はコブラの相棒“レディ”、赤いスーツを着たのはご存知の方も多い”コブラ”、その背後に佇む黒い生物はコブラの最後の敵“ブラックソードゼロ” のフィギュアだ)
1984年からタカラ(現:タカラトミー)が展開したミリタリーフィギュアシリーズ。1960年代のオリジナルG.I.ジョーに続くリアルミリタリーアクションフィギュアとして人気を博した。WWIIアメリカ陸軍歩兵、WWIIドイツ陸軍歩兵、現用アメリカ陸軍歩兵、WWIIドイツ軍将校、S.W.A.T、WWIIドイツ戦車兵、カリフォルニア・ハイウェイ・パトロール、コスチュームゴジラの全8種が発売された。

座り心地は二の次。無骨なルックスに惚れ込んだ軍用椅子たち。

塚原さんのコレクションのひとつに軍用チェアがある。主に60年代以降もので、前線基地や駐屯基地などで使用されていたオフィスチェアやフィールドチェアだ。上二つはアルミフレームで軽量、下二つはスチールフレームでずっしりとした存在感がある。いずれも、ここ2、3年で購入したものだ。

別々に購入したアイテムだが組み合わせて使うことも可能。

別々に購入したアイテムだが組み合わせて使うことも可能。

イギリス軍のフィールドチェア。写真上のようにオットマン代わりにもなる。

イギリス軍のフィールドチェア。写真上のようにオットマン代わりにもなる。

こちらもイギリス軍のフィールドチェア。座面が前に傾斜しているのは、緊急時にすぐに立ち上がれるための設計。

こちらもイギリス軍のフィールドチェア。座面が前に傾斜しているのは、緊急時にすぐに立ち上がれるための設計。

米軍のオフィスチェア。基地内で使用していたと思われる。これだけは自宅の書斎でサブチェアとして使用しているという。

米軍のオフィスチェア。基地内で使用していたと思われる。これだけは自宅の書斎でサブチェアとして使用しているという。

米空軍の基地内で使用されていたパイプ椅子。

米空軍の基地内で使用されていたパイプ椅子。

MuuseoSquareイメージ

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防塵、防水仕様の軍用トランク。左は米軍のメディカルケースで樹脂製。薬品や医療用キットなどを入れて運んだと思われ、ヘリコプターからパラシュートで落としても壊れない頑丈な作りになっている。右はドイツのザージェス社製で、50年ほど前のデッドストック。折りたたむとぺったんこになるのが特徴。複数を積み上げてパーテーション代わりにするほか、在庫品を入れて“見せる収納”としても使用している。

MuuseoSquareイメージ

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コットは近年の米軍もの。戦地のベースキャンプや野戦病院などで使われていた。上のベッドトップテーブルも同じく米軍製で、軍病院の入院患者が食事や読書に使用したのではないかという。まだ購入したばかりだが、今後キャンプなどで使う予定とのこと。

File

折りたたみ可能、でもずっしり重いワークテーブル。

60年代から90年代あたりまで米軍で使われていたフォールディングテーブル。前線基地や屋外でのミーティングやデスクワークのための製品だと思われる。

まだまだあるぞ! 塚原さん所有のお宝アイテムたち

今回の撮影では、所有しているものの中から比較的持ち出しやすいアイテムを撮影させてもらった。つまり取り上げたのは氷山の一角、今回残念ながら撮影できなかった重量級のアイテムも写真でちょっとだけご紹介!

米軍US.ARMYフィールド デスク

米軍US.ARMYフィールド デスク

米軍U.S.ARMYPORTABLEMEDICAL デスクグリーン

米軍U.S.ARMYPORTABLEMEDICAL デスクグリーン

米軍G.I.MEDICALINSTRUMENTSTATION 

米軍G.I.MEDICALINSTRUMENTSTATION 

米軍フォールディングコット(折り畳み野戦ベッド)

米軍フォールディングコット(折り畳み野戦ベッド)

写真資料出典元:WAIPER CO.,LTD

ーおわりー

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塚原さんが手がけるブランド「BALLISTICS(バリスティクス)」

ミリタリーとアウトドア、バイク等をテーマにバッグや小物を製作するメーカー。ブランドのコンセプトやデザインも塚原さん自身が手掛けており、軍で実際に使用されている本物のミリタリーファブリックを使用したアイテムが豊富に揃っている。

公開日:2015年11月17日

更新日:2021年12月27日

Contributor Profile

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石原たきび

塾講師、出版社勤務などを経て、現在は雑誌・ウェブ多方面でフリーライターとして活動。趣味は、たき火、俳句、酒。高円寺在住歴13年。編著に『酔って記憶をなくします』(新潮文庫)など。

終わりに

石原たきび_image

塚原さんは「自分はコレクターではない」という。「欲しいものを買っていったら、膨大な量になっただけ」だと無邪気に笑う。が、そして、基本的に気になるものは手に入れて確認するのが優先で必要かどうかは二の次というのが塚原さんのスタイル。“軍モノ”にも関わらず、おだやかな時間が流れる取材でした。

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