デニムに宿したストーリーとともに、アナクロノームの歴史を振り返る

デニムに宿したストーリーとともに、アナクロノームの歴史を振り返る_image

文/ミューゼオスクエア編集部

SPONSORED

次世代へ向けてのニュー・ヴィンテージをコンセプトに、10年、20年、さらにその先に残るモノづくりをしているファッションブランド「ANACHRONORM(アナクロノーム)」。このコンセプトを実現させるための手法の一つとして、2014年までアイテムに架空の物語を持たせていた。

「このジーンズはいつ、どこで、誰が履いていたのだろう」

舞台は1950〜1960年代のアメリカ。1人のバイク乗りが旅で出会う4人の登場人物、ウィリアム、ジャック、ニール、アレン。それぞれが織りなすストーリーに沿って、デニムにリアリティを宿していく。

当時の粗野感を忠実に再現した生地や糸。職人仕事を思わせる膝の擦れ、誰かが愛情をもって繕ってくれたようなパッチワーク……、ダメージ加工1つとっても、まるで履いていた人の人生(ライフスタイル)が浮かび上がってくるようだ。

今回は、そんなアナクロノームがこれまでに生み出してきたデニム製品を軸に、同社の過去から現在までのヒストリーを振り返る。

アナクロノーム10周年記念ブックに掲載されたオリジナル漫画

アナクロノーム10周年記念ブックに掲載されたオリジナル漫画

【アナクロノームの「10年着られるデニム」と体験型付加価値への挑戦】

前回は、アナクロノーム・ディレクターを務める田主智基さんに、ブランドの歩みと現在取り組まれている新たなプロジェクトについて伺った。

2004年 全てはここからはじまった

ユニオンスペシャルのミシンで作られた、13.5ozのセルビッチデニム。燐青銅のドーナツボタンに、特別な洗い加工。アナクロノームのデニムは、ここからはじまった。

初期製作のデニム。ヒゲ、色落ち、汚しなど実際に履き込んだようなリアリティを追求した1本。

2005年〜2009年 リアリティとは何か……

リアリティとは何か? 「本物」という言葉の意味を模索しはじめた。

2005年 ANB-007/η “eta”/6oz/Zimbabwe cotton chambray

2005年 ANB-007/η “eta”/6oz/Zimbabwe cotton chambray

2006年 ANB-030/η II “eta II”/6oz/Zimbabwe cotton chambray

2006年 ANB-030/η II “eta II”/6oz/Zimbabwe cotton chambray

「なぜ半世紀以上も昔のジーンズが、こんなにも説得力と魅力を持つのだろう……」「このジーンズはいつ、どこで、誰が履いていたのだろう。そしてそれはどんな奴だったのだろう」

2007年 ANB-047/τ Ⅲ “tau Ⅲ”/10oz/Indigo herringbone denim

2007年 ANB-047/τ Ⅲ “tau Ⅲ”/10oz/Indigo herringbone denim

2008年 ANB-080/δ Ⅲ ”delta Ⅲ”/10oz/Zimbabwe cotton chambray

2008年 ANB-080/δ Ⅲ ”delta Ⅲ”/10oz/Zimbabwe cotton chambray

「このジーンズは、なぜこんなヤブレ方をしているのだろう。そして誰がこんな風に直したのだろう」「このジーンズを履いていた奴は左利きだったのかもしれない。なぜなら右膝だけがヤブれているから」

2009年 ANB-163/π Ⅷ “pi Ⅷ” USED/13.5oz/Raw selvage denim

2009年 ANB-163/π Ⅷ “pi Ⅷ” USED/13.5oz/Raw selvage denim

リアリティとは何か……

「それは、そのモノ自体が歩んだ軌跡と刻んだ歴史、なのではないだろうか」

2010年 そうして気づいた「本物」の意味

「そうだ!そういうことか……」

架空の人物像を想定し、モノ語りを創ればそこにリアリティが宿るということに思い至った。

2010年 ANB-238/δ Ⅸ ”delta Ⅸ”/10oz/Zimbabwe cotton chambray

2010年 ANB-238/δ Ⅸ ”delta Ⅸ”/10oz/Zimbabwe cotton chambray

作業員が履いていたであろうハードな汚しとペイントを特徴とした1本。

ANACHRONORM「RESTOCK & ARCHIVES」

2014年までにリリースされた製品のデッドストックや復刻品の一部は、こちらをチェック!

2011年〜2013年 物語が走り出す

MuuseoSquareイメージ

MuuseoSquareイメージ

1965年、アメリカ。サンフランシスコから東へ、66号線を旅する1人のバイク乗り。旅中で出会うウィリアム、ジャック、ニール、アレン……、住む場所も仕事も年齢も異なる4人のキャラクターそれぞれのストーリーに沿って、デニムに人物像(リアリティ)を刻み込む。

2011年 Spring & Summer ANR-003/Damaged 5Pocket Denim Pants(Hard Washed)/13oz/Raw selvage denim

2011年 Spring & Summer ANR-003/Damaged 5Pocket Denim Pants(Hard Washed)/13oz/Raw selvage denim

2011年 Autumn & Winter ANR-041/Remaked 5 Pocket Denim Pants/13oz/Raw selvage denim

2011年 Autumn & Winter ANR-041/Remaked 5 Pocket Denim Pants/13oz/Raw selvage denim

「この間、作業中にヤブってしまいゴミ箱に捨てたはずのシャツがクローゼットに戻ってきている。妻が繕ってくれたのだろう。いつもは口うるさい彼女だが、こういうところはかわいい……」

「『そろそろ新しいジーンズを買った方がいいんじゃないか!?』隣でバイクを走らせているゲイリーの叫ぶ声が、耳をかすめていく風の音に混じる」

MuuseoSquareイメージ
2012年 Spring & Summer ANR-058/Damaged Engineer Overalls/10oz/Nep denim

2012年 Spring & Summer ANR-058/Damaged Engineer Overalls/10oz/Nep denim

2012年 Autumn & Winter ANR-064/Remaked Flat Fell Seam Denim Work Shirt/8oz/Selvage denim

2012年 Autumn & Winter ANR-064/Remaked Flat Fell Seam Denim Work Shirt/8oz/Selvage denim

「褐色の大地と鼠色の空を眺めながら、この長い道のりを走り続けてきた……。旅の途中の出来事をこのオーバーオールの繕い跡が思い出させてくれる」

「定期的に襲ってくる睡魔が国道沿いの寂れたDINNERへと導く。あのネオンサインまであと何マイルだろう……。意識がとびそうになった次の瞬間ーーー!! あぁ、またシャツとバイクを直さなきゃならない」

2013年 Spring & Summer ANR-091/Dameged Wide Work Trousers/11.5oz/Selvage nep denim

2013年 Spring & Summer ANR-091/Dameged Wide Work Trousers/11.5oz/Selvage nep denim

2013年 Autumn & Winter ANR-116/Flat Fell Seam W-York 5P Denim Pants/12.5oz/Ultima cotton selvage denim

2013年 Autumn & Winter ANR-116/Flat Fell Seam W-York 5P Denim Pants/12.5oz/Ultima cotton selvage denim

「客のコニーが俺のくたびれたジーンズを指差す。『相変わらず素敵なパンツを履いてんのね』ホクロが印象的な口元からは、可愛らしい声と裏腹に皮肉の効いたジョークが飛び出す」

「新調したばかりのジーンズを履き、作業場の鍵を開ける。ラジオのスイッチをひねると雄弁を振るう大統領の若々しい声が聞こえてくる。それは最後の理想主義を予感させた……」

2014年 物語は終結を迎え、新たなモノづくりが動き出す

これまで架空のキャラクターとストーリーで、デニムにリアリティを宿してきた。物語はここで幕を閉じ、新たなステージへ移る。

2014年 Spring & Summer ANR-150/Remaked Nep Denim Work Jaket/9.5oz/Nep denim、

2014年 Spring & Summer ANR-150/Remaked Nep Denim Work Jaket/9.5oz/Nep denim、

「机の上のスケッチブックを開き、かつて作った椅子たちのデッサンを眺める。この頃はまだ今着ているカバーオールにも袖が付いていたよな……。俄然こみ上げてきた懐かしさに少し戸惑う」

デニムパンツは、あて布に数種類の生地を用いてパッチワーク後に特殊なダメージ加工を施した。

かなりハードなダメージとステッチによるリメイクテクニックを詰め込んだ1本。

ANACHRONORM「RESTOCK & ARCHIVES」

2014年までにリリースされた製品のデッドストックや復刻品の一部は、こちらをチェック!

現在 新たなプロジェクトと愛され続ける服づくり

MuuseoSquareイメージ

2020年、履かなくなったデニムや捨てようとしたTシャツ、忘れかけていたお気に入りの服に手を加え、新たな「何か」に生まれ変わらせるサービス「“UPCYCLE” on YOUR LIFE」をスタート。第一弾では、アーティスト守矢 努氏によるステンシルサービス、第二弾では「柿渋染め」を実施。次回、第三弾では「Your own special denim」REMAKE SERVICEを予定している。

また、現在では、デニム以外のアイテムにも注力。オリジナリティ溢れる柄やデザイン、耐久性に優れた生地は、流行にとらわれることなく、何十年先も愛されていく。

MuuseoSquareイメージ

MuuseoSquareイメージ

2022年 花火柄タック開襟シャツ[AN153]¥28,600(税込)、花火柄ルームイージーショーツ[AN154]¥25,300(税込)

2017SSにリリースしたオリジナルの花火柄を復刻。ベース生地は、レーヨン麻のブロード。今期はBLACKに加えてNATURALの新色が加わった。

シャツの後ろ身頃は前身頃よりも6.5cm長くとり、タックをつまむ事で、パターンでは表現できない立体的なシルエットを作っている。レーヨンのドレープ感に麻の清涼感とドライタッチが掛け合わさり、カジュアルながら上品な風合いに仕上がっている。

ショーツはウエストゴムとスピンドル仕様。ゆったりとしたシルエットと肌触りの良い生地感で、タウンユースにも家でもリラックスしたムードで着用できる。

MuuseoSquareイメージ
File

ANACHRONORM

2004年に創業。『次なる時代の新たなヴィンテージの創造』をコンセプトに、時を超えて伝え残すことのできるモノづくりを目指している。
岡山の地場産業である「デニム」を中心に、加工・エイジング・リメイクの可能性を追求したモノづくりと、そこから派生・発展させたより自由度の高いクリエーションを実現する「AN-LABEL」と、「普遍的なデザイン」「普遍的なもの」を追求しつつ独自の解釈による『New Vintage』を提案し、定番としてリリースする「NORM - LABEL」を展開。

DIVE INTO RELATED STORIES !

公開日:2022年8月15日

更新日:2022年8月20日

Contributor Profile

File

ミューゼオ・スクエア編集部

モノが大好きなミューゼオ・スクエア編集部。革靴を300足所有する編集長を筆頭に、それぞれがモノへのこだわりを強く持っています。趣味の扉を開ける足がかりとなる初級者向けの記事から、「誰が読むの?」というようなマニアックな記事まで。好奇心をもとに、モノが持つ魅力を余すところなく伝えられるような記事を作成していきます。

Read 0%