スーツにもジュエリーをする習慣を。クラシッククロージングとブローチ

スーツにもジュエリーをする習慣を。クラシッククロージングとブローチ_image

取材・文/ミューゼオスクエア編集部
写真/新澤遥

ジュエリーは身につけるだけで、仕事着をオフ仕様にしてくれる。

一時、スーツをより楽しく着るにはどうすればいいか、ということを真剣に考えたことがあった。スーツやジャケットなどの大物が揃ってきて、小物に注目し始めたころだ。

男性でも無理なくつけられるジュエリーがないものかと考えていたところ、スーツのラペルを飾るブローチに行き着いた。大昔は権威の象徴として身につけられていたジュエリーだが、最近はあまりしなくなってきたからだろうか。スーツにもジュエリーをするという習慣があってもいいと思った。

今よく使っているのは、ブリティッシュアンティークとターコイズのブローチ。

ブリティッシュアンティークのブローチはアンティークショップなどで集めている。高価なものではなく、つけてみたい、普段使いできるという視点で選んでいる。

ターコイズはジュエリー職人さんと相談しながら作ってもらった。元々石が好きだったのもあり、集めたものの中から特に気に入ったターコイズを使っている。産地による色味や模様の微妙な違いを楽しめるところが魅力で、コレクター心をくすぐられるのだ。

今回はこの2種類のブローチを紹介していくのだが、どちらも非常に奥が深く、推測のものもあるのでその辺りはご了承願いたい。

時代を感じるブリティッシュアンティークのブローチ

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ブリティッシュアンティークのブローチは、カラーストーンが施されたものやスターリングシルバーの円形デザイン、蝶の羽を使ったものまでさまざま。作られた時代を感じることができるのが魅力だ。

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シトリンというオレンジの石とスターリングシルバーで作られたブローチは、英国の宝石商「チャールズ・ホーナー」の製品。買った当時の話では、1910年代のものだそうだ。
立体的な形状とほのかに色味を取り入れられる上品さが気に入っている。

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8kのゴールドを使用したエレガントなデザイン。国内のアンティークショップで購入したもので、当時流行したビクトリアン時代のものだと思われる。小さな赤い石はおそらくガーネット。

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ジャポニズムをモチーフにした桜の円形ブローチ。素材はスターリングシルバーで、錆びついても味が出るし、磨いても美しい。

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こちらもスターリングシルバーで作られたブローチで、細やかなデザインが美しい。ケルト系キリスト教のシンボル「ケルティッククロス」やエチオピアのキリスト教で使われる「エチオピアンクロス」の影響を受けたものだと思われる。

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モルフォ蝶の美しいブルーの羽が使われたブローチ。英国のジュエリーメーカーT.L.M(Thomas L. Mott)製で、1920年代ごろに作られたものだ。100年も前のものがここまで鮮やかに残っているのが素晴らしい。

希少なターコイズを使ったオーダーメイドのブローチ

サンダーバード以外は全てオーダーメイドのブローチ

サンダーバード以外は全てオーダーメイドのブローチ

冒頭でターコイズは産地で色や模様が変わると書いたが、中でも希少なのがアメリカの特定の鉱山で採れるもの。今はもう閉山されているところもあるが、有名なのはアリゾナ州のビズビーとキングマンだ。

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こちらはビズビーで採れたものだと思われる。緑がかったブルーに、光沢感のあるシルバーの模様が美しい。

Bisbee Turquoise(ビズビー・ターコイズ)

鮮やかな濃いブルーと赤みがかった茶色の模様が特徴のビズビー・ターコイズ。アリゾナ州のビズビーの近くにある鉱山で採れる。1960年代に閉山されていることと、市場に出るのが早かったのもあり、ターコイズの中で最も有名で高価だと言われている。
特に透き通ったブルーにスパイダーウェブ入りは、全体の1%程度と希少で価格も高い。また、煙ったような色合いのスモーキービズビーというタイプもある。

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こちらはおそらくキングマンのブラックスパイダーウェブで、黒の割合が多い蜘蛛の巣のような模様が魅力的だ。

Kingman Turquoise(キングマン・ターコイズ)

アリゾナ州のキングマン北西にある鉱山で、銅と一緒に採掘されているキングマン・ターコイズ。薄いブルーから濃いものまであり、模様は薄茶色や黒っぽいのが特徴。天然で販売されるものは少なく95%はスタビライズド加工されており、キレイに発色しているブルーのものは非常に高価。鉄の化合物を含んで銀色のマトリックスが入っているものはさらに高価で、特にイサカピークという地域から採れるものは最高グレードの評価を得ている。
キングマン鉱山は1970年代に閉鎖されたが、2004年に再開し今も採掘されている埋蔵量の多い鉱山である。

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こちらもキングマンのバーズアイ。ピンズタイプも試したが、フラワーホールにさっと引っ掛けられるこの形状は、落ちにくく、スーツが傷つかなくて一番安定している。

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3点とも友人のジュエリー職人さんにスターリングシルバーで作ってもらった。ターコイズの種類は専門家に見てもらわないとはっきりとしたことは言えないが、あくまでターコイズでラペルを飾るのが目的であるから、細かいことは気にしていない。

小さいながらも上品に輝くブローチが、毎日の仕事着に少しのときめきを与えてくれるのだ。

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公開日:2022年7月11日

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ミューゼオ・スクエア編集部

モノが大好きなミューゼオ・スクエア編集部。革靴を300足所有する編集長を筆頭に、それぞれがモノへのこだわりを強く持っています。趣味の扉を開ける足がかりとなる初級者向けの記事から、「誰が読むの?」というようなマニアックな記事まで。好奇心をもとに、モノが持つ魅力を余すところなく伝えられるような記事を作成していきます。

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