ご当地インク×万年筆イラストで全国旅気分。万年筆画家・サトウヒロシが描く「新潟県」編

ご当地インク×万年筆イラストで全国旅気分。万年筆画家・サトウヒロシが描く「新潟県」編_image

絵/サトウヒロシ
写真/新澤遥
取材・文/ミューゼオ・スクエア編集部

連載「ご当地インク×万年筆イラストで全国旅気分」では、『万年筆ラクガキ講座』の著者で万年筆画家のサトウヒロシさんに、各地のご当地インクを使ってその土地の名産品や観光名所などのイラストを描いてもらっている。

その地域ならではの美しい風景やおいしい食べ物などをイメージして作られる「ご当地インク」。全国47都道府県の制覇を目指して、2022年もコツコツと収集していく。

今回ご紹介するのは、新潟県「文具館タキザワ」のご当地インクシリーズ「雪彩(sessai)」。

サトウヒロシさんが描く旅の素敵なワンシーンとともに、作り手の想いを載せて巡るご当地インク旅。いざ行ってみましょう!

水面に映る清津峡渓谷の絶景にうっとり

150坪の広々とした店内に文房具がずらりと並ぶ長岡店を中心に、新潟県に6店舗を構える「文具館タキザワ」。今回は、同店オリジナルインクシリーズ 雪彩の「火焔型土器(かえんがたどき)」を使って「清津峡渓谷トンネル」を描いてもらった。

1941年に国の名勝・天然記念物に指定された、新潟県十日町市の「清津峡」。中でもフォトジェニックになるとSNSでも話題の「清津峡渓谷トンネル」のパノラマステーションは、ミラー状のトンネル内部と一面に浸された沢水に映り込んだ渓谷の風景が美しい。この絶景スポットをサトウヒロシさんは、どのようにして描いたのでしょう?動画を見ながらチェックしてみて。

写真/サトウヒロシ

写真/サトウヒロシ

▶︎をクリックすると、絵の制作動画が再生されます

「今回は新潟がテーマということで、清津峡渓谷トンネルをモチーフにしました。
トンネル内は『暗』、抜けた先は『明』とコントラストがあり、かつ景観が水面に映り込む美しい様をインクで絵に落とし込んでいます。雪彩『火焔型土器』は原液のまま使用すると、その名の通り焼けた赤肌の土器のような茶色ですが、水や紙上での滲み具合でいくつかの色に分離します。淡くなるほどに鮮やかな色が染み出す効果を利用して、明と暗のコントラストをより際立てた作品になりました。

トンネル内壁面は『色流し』という技法で、できるだけ濃くフラットな面を作ります。トンネル底面のより暗い部分はあらかじめ顔料インク(inkstand:Sand Castle)を敷いておき、その上から全面に平筆で『火焔型土器』を馴らしていきます。マスキングテープを外して希釈した『火焔型土器』で上下線対称になるように風景を描き込み、岩肌と空のグラデーションで奥行きを出します。仕上げにホワイトで水面の光をアクセントに入れて完成」とサトウヒロシさん。

色ムラや質感で遊ぶ「文具館タキザワ」のご当地インク。サトウヒロシさんのインクレビューとともにお届け

写真左・<a href=https://bungukan-takizawa.com/2020/09/04/%e9%9b%aa%e5%bd%a9%e3%80%90%e7%81%ab%e7%84%94%e5%9e%8b%e5%9c%9f%e5%99%a8%e3%80%91/ target='_blank'>火焔型土器</a>(かえんがたどき)[50ml]¥2,750(税込)、右・<a href=https://bungukan-takizawa.com/2020/09/04/%e9%9b%aa%e5%bd%a9%e3%80%90%e7%b3%b8%e9%ad%9a%e5%b7%9d%e7%bf%a1%e7%bf%a0%e3%80%91/ target='_blank'>糸魚川翡翠</a>(いといがわひすい)[50ml]¥2,750(税込)/<a href=https://bungukan-takizawa.com/ target='_blank'>文具館タキザワ</a>

写真左・火焔型土器(かえんがたどき)[50ml]¥2,750(税込)、右・糸魚川翡翠(いといがわひすい)[50ml]¥2,750(税込)/文具館タキザワ

サトウヒロシさんのインクレビュー▶︎雪彩「火焔型土器」

MuuseoSquareイメージ

「雪彩『火焔型土器』は、遊色(分離色)が楽しめるインクです。水に溶け出したインクが赤や緑に分離し、ひとつのインクで様々な表情をみせてくれます。一方で、原色のままベタ塗りにすると皮のスウェード地のようなマット感、程よい色ムラを残すインクでもあります。着彩した面にもう一度水を置いて色を抜くと、赤味が残ります。作中では空の部分がわかりやすいですね。コントロールの難しい遊色もある程度は狙って表現することもできるのです」

火焔型土器は、信濃川流域に点在する縄文時代の遺跡から発掘された土器。燃え上がるような炎をかたどった造形が名前の由来となっており、インクのカラーは土器の土の色がイメージされている。

MuuseoSquareイメージ

「濃淡によってまったく違った色になる『火焔型土器』は、水との薄め具合で楽しみ方が変わります。
今回はパレットとして、DRILLOGのカラーパドルを使用してみました。本来は金属製のつけペンであるDRILLOG専用のパレットとして設計されていますが、1、2滴ほどの少量のインクと水で濃度をコントロールできるので、濃度を変えたインクを複数使用する場合にもとても便利です。洗浄も、綿棒で一拭き。『火焔型土器』をより楽しめる道具ですね。透明水彩用のパレットや絵の具皿を使用するよりもインクを無駄にせず、計算した濃度にできるところが魅力です。また、そのままDRILLOGで使用すれば『お好みの薄い線』で文字や線画を描くこともできます」

文具の奥深さを伝える新潟県「文具館タキザワ」

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文具館タキザワ長岡店

文房具好きのスタッフが揃い、お客様と語り合いながら文具の奥深さや面白さを伝えることを大切にしている「文具館タキザワ」。サイトではスタッフのブログや文具の豆知識などの記事が掲載されており、文具ひとつひとつを掘り下げて紹介している。

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最後に文具館タキザワ長岡店のPR佐藤さんよりコメントをいただきました!

「多種多様な各ご当地インクが発売されている中、文具館タキザワでも『新潟らしいインクを作りたい』とスタッフの想いを募らせ誕生した“雪彩”。真っ白な雪国の中を新潟の色で染めていく。そんなイメージで選ばれた色は昨年2021年秋の新色3色を加え、全13色のカラーが揃いました。

開発当初は『新潟と言えばお米!』というストレートな想いをカタチにパッケージは米袋に。箱の用意も出来ましたが、インク瓶を小さな米袋の中から取り出すワクワク感をどうしても取り入れたく、スタッフでお米サイズの袋を道の駅やお米屋さんで視察したり、米袋の種類を聞いたりして今の雪彩パッケージとなりました。

雪彩のロゴも弊社のデザイナーに『新潟の形をロゴにして下さい!』とお願いし、佐渡などの地域も小さく入れてもらったお気に入りのロゴ。直接店頭やイベントで販売する際にこの話をお伝えしたお客様から『そんな秘話があったなんて!ロゴの由来を知るとまたマークをじっくり見たくなるね!』と嬉しいお言葉も。
たくさんの想いが詰まったインクも文字を書くだけではなく絵や染め物と、お客様によって色々な使い方をお店で見せて頂いたり聞かせて頂く機会もあり、皆様に愛されて育ってきた“雪彩インク”となりました。

今回サトウヒロシ様に描いて頂いた絵も、新潟の風すらも感じてくるような素敵な作品で感激しております。
これからも“新潟らしさ、文具館タキザワらしさ”溢れるインクや文具を皆様にお届けし楽しんで頂けるよう今も動いておりますので、是非お好きなお話ししに遊びに来てください。スタッフ一同お会いできるのを楽しみにしております。

この度素敵な企画に参加させて頂きありがとうございました!」
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文具館タキザワ

新潟県に6店舗を構える文房具専門店「文具館タキザワ」。学校や職場で使う便利な文房具を始め、万年筆やボールペン、革小物など男性の方のビジネスシーンで使う文房具を取り揃えている。同店オリジナルインクシリーズ「雪彩(せっさい)」は、新潟のご当地インクとしても好評。

文具館タキザワのサイト内ブログやSNSでは、最新文具情報や文具の豆知識など、生活をより豊かにする文具の魅力を伝えている。

ーおわりー

万年筆画家・サトウヒロシさんの著書をご紹介

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万年筆ラクガキ講座

安価で書きやすい万年筆と多彩なインクが数多く登場している今、本誌では基本的な万年筆の使い方や道具の知識、ラクガキの表現方法、上達の快楽を150点以上の図版を交えながら紹介しています。
さらに、万年筆インクカタログ全113色や作品(解説付き)約20点を盛り込んでいます。誰でも描けるシンプルな線や丸がちょっとした技法を加えるだけでユニークな表現になり、そして楽しい作品にもなる。
そんな「万年筆ラクガキ」の楽しい世界にあなたもどうぞ踏み込んでみてください!

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公開日:2022年1月26日

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ミューゼオ・スクエア編集部

モノが大好きなミューゼオ・スクエア編集部。革靴を300足所有する編集長を筆頭に、それぞれがモノへのこだわりを強く持っています。趣味の扉を開ける足がかりとなる初級者向けの記事から、「誰が読むの?」というようなマニアックな記事まで。好奇心をもとに、モノが持つ魅力を余すところなく伝えられるような記事を作成していきます。

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