宮本さんがあつらえる銘木コースター「Legna bianco」
上からLegna nero、Legna bianco
ローズウッド
科目:マメ科
主産地:東インド、ブラジル、マダガスカルなど
日本では紫檀(シタン)とも呼ばれている辺材は白っぽい淡色、心材は赤紫色です。新鮮な木材にはバラのような香りをもつものもあり、ローズウッドの名の由来となりました。産地によっては様々なローズウッドがありますが、中でもインドローズは最も希少価値の高い木材です。インドローズは加工性、接着性もよく、弾性に富み装飾性もあり椅子づくりには最も適した材です。チェスの黒い駒によく使われる木でもあります。
リグナムバイタ
科目:ハマビシ科
主産地:カリブ海沿岸
流通している木材の中で最も重い材です。極めて重硬で、古くから滑車や船舶のスクューシャフトの受け軸(ベアリング材)として有名です。金属との摩擦熱で材に含まれている「ガヤック」樹脂が潤滑剤の働きをすると言われています。また、中世ヨーロッパでは樹液が万病に効く貴重な薬樹木として、売買されていたと言われています。育っていくと、青く錆びた銅ような雰囲気になります。
コクタン
科目:カキノキ科
主産地:インド、タイ、ミャンマー
紫檀、タガヤサン(鉄刀木)と併せて「唐木三大銘木」とされます。多くの種類がありますが成長が遅く20cmの太さになるのに200年の年月を要すると言われています。高さ10m、腰高0.5mあれば大きな方だと言われます。木肌は滑らかでしっとりとしていて、重くて硬く重量感があります。切削、加工は困難で油を多く含み、磨けば磨くほど金属的な光沢を発します。市場に残っている材は縞コクと言われる、縞模様のある材だけとなっています。一般に流通している木材の中では、最高峰の強度と重さを誇る銘木材です。家具や仏壇・仏具、建材、楽器、特にピアノの黒鍵などに使用されています。
クロガキ
科目カキ科
主産地 日本、中国
主にまめがき(別名しまがき)の幹の心材部から得られる珍材です。自然に現れた黒い紋様は孔雀杢、網目杢、縞目杢等様々な模様で目を楽しませます。この黒い紋様が現れる事自体1万本に1本と言われており、大変貴重です。クロガキにはただ黒いだけで白黒の不明確なものもありますが、黒い縞に沿ってみどり色の縞が見えるものが最高のものと言われ、黒檀、紫檀より上位であると言われています。正倉院の木工品、三渓園臨春閣の住ノ江の間の框、東宮御所の「クロガキの間」などに貴重な材を見ることができます。
ウエンジ
科目マメ科
主産地:アフリカ中央部ザイール、カメルーン、ガボン
高さ18m腰高で1m径ほどと大きく成長し、枝下が長く、きちんと乾燥をすれば良質の木材となります。耐久性が高く、突板として装飾的な使い方をされることが多く無垢で使うことはほとんどありません。原産地がフランス領であった関係から、いまでもフランスに多く輸出されています。ヨーロッパのデザイナーが注目して家具に使用したことから人気が沸騰し、今ではシンプルでモダンな雰囲気を醸し出すインテリア材として、家具や、内装材、楽器などに幅広く使われるようになりました。柾目と板目で目が違うので、どのようにカットをするか見極めることが職人の技術となります。
パープルハート
科目:マメ科
主産地:メキシコからブラジル南部の熱帯
木質は重硬で加工は難しい樹種です。光沢があり、耐久性や防虫性に優れ寸法の安定性もあります。パープルハートは、なんと言っても木材の持つ色が最大の特徴です。古くからろくろ細工や寄木細工、インテリア装飾として使用されてきました。伐採直後は褐色ですが、大気にさらされ30分も経つと紫色に変化します。さらに時を経ると茶色になります。
宮本茂紀さんが手掛けた銘木コースターを販売しています
マカバ
科目:カバノキ科
主産地:日本
マカバは樹高30m、胸高直径が1mほどになる大きな木です。別名であるウダイカンバは漢字で「鵜松明樺」と書き、鵜飼が松明(たいまつ)として好んで使っていた事が名前の由来とされています。ミズナラと並び日本の内装、家具材として多く使われてきました。心材の赤身は美しく経年変化します。緻密な肌目に光沢があり、硬くて強く、加工性、着色性もよく狂いも少ないです。私の好きな木のひとつです。京都迎賓館の家具の多くはマカバで製作しました。
ケヤキ
科目:ニレ科
主産地:日本
本州、四国、九州に自生し、日本を代表する落葉広葉樹です。古くから建築、家具、建具材として人々の生活の中で広く利用され親まれています。北海道を除き日本全国に分布しており、木の寿命も長く巨木、銘木があり天然記念物に指定されている木も多いです。山形の東根小学校の校庭には樹齢 1000年以上という直径 4m(芯は腐って空洞になっている)の古木があります。牡丹杢、縮み杢,珠杢は装飾的に珍重されています。牡丹杢の座卓は、戦前の日本人の生活の中心に収まっており、日本人の心を思い出させてくれる木です。
オリーブ
科目:モクセイ科
主産地:西アジア、地中海地域
古代エジプト、エーゲ海文明の栄えた BC3千年ころには、果肉から油を採取するために栽培されていたと言われています。旧約聖書由来で平和を象徴するハトが咥えている枝はオリーブの葉です。常緑樹として生命の樹の一つであり、人々から「祝福された樹」でもあります。大きく育たないので家具には使用いたしませんが、青味のあるマーブル模様の独特な木目柄が大変美しい木材です。昔、ヨーロッパにいってオリーブを探して回って、イタリアのジェノバで知り合いにゆずってもらいました。
トチ
科目:トチノキ科
主産地:日本
北海道、本州、四国、九州に自生しています。辺材は白色調で、心材は金色がかった黄色です。トチノキは内装材として床柱、落掛などに使われ、家具類の抽斗(ひきだし)の側板にも使用されます。バイオリンの胴裏板などにも使用しますが、シカモアが一級品でトチは普及品とされています。大径木である栃の一枚板は、美しいリップルマーク(縮み杢)が現れることがあります。キラキラとした波のような美しさ、見る角度によって表情が変化するその紋様は時間が作り出した素晴らしい自然の造形です。中でも、岐阜のトチが一番きれいだと言われています。
エヨング
科目:アオギリ科
主産地:ナイジェリア、カメルーン、ガボンなど
東南アジア産のタガヤサン(鉄刀木)を白くした雰囲気があるので、「シロタガヤ」と呼ばれることもあり、装飾に使われます。板目には網目の美しい模様が現れます。弾性に富み衝撃に強い一方、裂けやすい樹種です。乾燥が非常に難しく長時間を要します。伐採してなるべくはやいうちに加工をしないとと青(黴)が入りやすく、収縮率も大きいため上手に乾燥しないと割れてしまいます。そのため無垢で扱うことはほとんどありません。
バーズアイメープル
科目:カエデ科
主産地:北半球及び北米ヨーロッパ中部アジアなど
ハードメープルの中に発生するもので白く美しく、粘りと弾力性があり、縮み杢や珠杢は内装や家具、楽器の装飾材として珍重されています。個体によってふしの形が違うため、コースターのように加工をするためには木を見る目を求められる樹種です。若いころから丸太を買って乾燥させてきたので、丸太の中の木目がどうなっているか想像が出来ます。カエデ属の落葉広葉時は約300種あるといわれています。日本にはイタヤカエデという種類がありますが、それにもバーズアイがでる事はあります。ヨーロッパや北米材より色が濃く硬い傾向があります。
—おわり—