デザインが目を引くイタリア製のアイロン。季節の変わり目に活躍する相棒

取材/廣瀬 文

衣替えのシーズンに活躍する相棒、アイロン。今回はイタリアンデザインが目を引くアリエテ社の業務アイロンを紹介します。シーズンの礼を込めてスチームをふりかけると、洋服も喜んでいるように見えます。

ジューキのハイパースチームアイロン

MuuseoSquareイメージ
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冬から春へ移りゆく季節の変わり目、自分の中で恒例になっている儀式のようなものがある。
冬の間この身を包んでくれたスーツやジャケット、コート。衣替えをしてクローゼットの奥へと収納するこのタイミングに一斉にアイロンがけをする。

その儀式という手入れの相棒がジューキのベビーロック ボイラーセパレート型ハイパワースチームアイロン(AR20型)。

◆ジューキとは◆

家庭用および業務用のアイロンをはじめ生活関連機器を取り扱う日本の専門商社。主力ブランドに「baby lock(ベビーロック)」(登録商標)シリーズがある。

出合いは20年ほど前。ジャケットやスーツをオーダーメイドで作るようになって、自分専用のアイロンを探していたときだ。

生活用品を扱う店舗でぱっと目に止まった2台のアイロンがあった。1台は白いボディのアリエテ社プロフェッショナルプラス(6299/2)、そしてもう一台がイエローの差し色が効いたジューキ社ベビーロックハイパースチームアイロン(AR20型)。AR20型は異様な雰囲気を放つほど大きく存在感があった。心は大きく揺さぶられた。しかし、結局そのときは、自宅で取扱いやすい6299/2型を選んだ。

もちろんその選択には満足したのだが、常に頭のどこかでAR20型がちらついていた。10年ほどの月日を経ても思いは廃れず、ついにこのAR20型を手にした。

ちなみに、私が手に入れたAR20型は、もともとはイタリアのアリエテ社でつくられていたものと推測される

通常のアイロンとは比較にならない大きさに派手なカラー。まるで宇宙船のようなフォルムに初めて出合ったそのときから心を奪われていた。

◆アリエテとは◆

イタリアの家電メーカー・デロンギグループに属する、家電ブランド。
日本では以前、ジューキ株式会社と提携し販売されていた。現在は一部モデルがデロンギから販売されている。

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第一印象は見た目だが、もちろん機能面でも大きく惹かれたポイントがある。
スチームの威力である。
セパレート式の加圧ボイラーで水を沸騰させてから蒸気を発生させる構造で、強力スチームを連続噴出することができる。またタンクの水量が大きいためスチームの噴出時間も非常に長い。それこそ波動砲を発射する宇宙戦艦のようでもある。シューと威勢の良い音を出しながら、頑固なシワや衣類に潜む虫の卵を駆逐する。

恒例の儀式では、一枚一枚洋服を手に取りながら、そのシーズンの礼をする。

感謝をこめながら強力スチームを吹きかける。クッタリとしていたツイードやカシミアの毛足の繊維もふっくらと蘇る。心なしか洋服も喜んでいるように思えて、この手入れが結構好きだ。

今では衣替えの時期や、結婚式などのハレの日の前日にこのアイロンを使うのが習慣になっている。毎日使うものではないからこそ時折握るアイロンは「さぁやるぞ!」と気持ちを高めてくれるものが良い。私にとってこのAR20は、まさにそうした相棒と言ってよい。

写真左/最初に買ったボイラー内蔵型のアイロン・アリエテ社6299/2型。現在はデロンギから6299/2N型として販売されている。AR20と並べてみると大きさに随分違いがあることがわかる。

写真左/最初に買ったボイラー内蔵型のアイロン・アリエテ社6299/2型。現在はデロンギから6299/2N型として販売されている。AR20と並べてみると大きさに随分違いがあることがわかる。

ーおわりー

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イタリアのナポリを舞台に、若き天才仕立て職人が腕を振るう人気漫画。

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仕立て職人が主人公という一風変わった漫画で、さまざまな依頼人からの難しい注文をこなしつつ、依頼人の抱える問題をも解決していくというストーリー。1巻ではマフィアの時期ボスを決めるためにスーツのオーダーの依頼を受けるが、スーツに関する解説は端的でとてもわかりやすい。まさに気軽にスーツや仕立てに関して学びたい人にはぴったりの漫画である。28巻では丸々一冊がマフィアの後継に関わるスーツのオーダー依頼に関する話である、スーツに関する知識はももちろん、マフィアの抗争という緊張感のあるストーリー展開を楽しむことができる。

紳士服を極めるために是非読みたい! 服飾ジャーナリスト・飯野高広氏の渾身の1冊。

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紳士服を嗜む 身体と心に合う一着を選ぶ

服飾ジャーナリスト・飯野高広氏の著書、第二弾。飯野氏が6年もの歳月をかけて完成させたという本作は、スーツスタイルをはじめとしたフォーマルな装いについて、基本編から応用編に至るまで飯野氏の膨大な知識がギュギュギュっと凝縮された読み応えのある一冊。まずは自分の体(骨格)を知るところに始まり、スーツを更生するパーツ名称、素材、出来上がるまでの製法、スーツの歴史やお手入れの方法まで。文化的な内容から実用的な内容まで幅広く網羅しながらも、どのページも飯野氏による深い知識と見解が感じられる濃度の濃い仕上がり。紳士の装いを極めたいならば是非持っておきたい一冊だ。

公開日:2016年5月15日

更新日:2022年5月2日

Contributor Profile

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廣瀬 文

オトナかわいい女性に憧れるアラサー編集部員。憧れの女史は、石田ゆり子さまと本上まなみさま。ずぼら脱却にお茶か日舞を習ってみようかと思案中。最近気になる被写体の組み合わせは「おじさんと犬」。

終わりに

廣瀬 文_image

私も実物を触らせてもらいましたが、「確かにでっかい! (そして重い!)」の一言につきる第一印象。スチームもこれで戦えるんではないかというほどの威力。このパワーならアイロンでシャツやTシャツのシワをピシィと一発で伸ばせそう。その爽快なイメージは容易に浮かびましたよ!
絶対、置く場所に困るでしょうけどね(笑)

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