寒さが一層厳しくなる時期になると思う。「そろそろガムシューズの季節だな」と。
年に数回と着用頻度は低いが、ダナースラッシャーはしっかりと我が家の靴箱にメンバー入りしている。豪雪豪雨を相手にしてもへこたれない実用的な一足。悪天候でグラつく足元をしっかりと支えてくれる私の頼もしい助っ人なのだ。
今年に入って訪れた積雪の日も、オフィスへ向かう足取りは重たくなく、むしろ軽快だった。1日履いて家路に着いた際も足が冷えていなくて快適。装備するアイテムで気分もずいぶん違ってくるものだ。
ダナースラッシャーはもともと湿地帯や水辺を歩く目的のために作られたハンティングブーツ。昆虫や動物が大好きだった幼少期からいつも野山を歩いていた大学生時代まで、比較的山に入る機会が多く、アウトドア用品も身近な存在だった。(周囲からは意外と言われるが……)
大学生の当時はいくつかのアウトドアシューズを愛用し、アウトドアと縁遠くなったその後もダナーのマウンテンライトを街中で愛用するほどアウトドアシューズが好きだった。
雑誌のアウトドアシューズ特集でガムシューズの存在を初めて知り、いつか履いてみたいと憧れるように。もともと好きだった革素材に、テイスト違いのゴムを組み合わせたデザイン。水陸両用で活動するカモノハシを彷彿とさせるユーモラスな形に心惹かれたのだ。
月日が経つなかでしばしその憧れは眠っていた。しかし、ある豪雪の日に革靴を濡らしてしまったタイミングでハッと目を覚ました。「ガムシューズがあるじゃないか!」と。
そんな時選択したのがダナー。ダナーブランドのアイテムは質実剛健。そしてクラッシックな容姿と常に時代の新素材を取り入れた機能、その新旧の掛け合わせにグッときた。
普段は仕事着と相性の良い革靴を愛用しているため、着用頻度こそ少ないが、カントリーテイスト漂うダナーの靴には「いつかこんな暮らしをしてみたい」という私なりのロマンがある。
ダナーは米国ブランドなのだが、私なりにイメージする、履くに相応しいと思う場所は、大好きで時々訪問するイギリス・デボン州南部にあるダートムア。荒地という意味をもち、コナン・ドイルの小説「バスカヴィル家の犬」の舞台にもなった場所だ。ダートムアの沼地をこのダナーブーツで散策してみる。花崗岩がごろごろとしている小高い丘に登り、広々と続く地を眺めながらコーヒーを飲む。そして、いつかジビエ料理をこしらえてみたい……。
そんなイギリスの片田舎でカントリーライフをおくる自分の姿を想像してみるのも面白い。
いつかその時がきたら、このダナースラッシャーには茶ツイードジャケットを合わせて過ごしたいものだ。
終わりに
編集長記事の動画は毎回編集長(ときどき廣瀬)が撮っています。今回ダナーブーツを取り上げるにあたって「雪の上を歩く画を撮りたい!」ともくろんでいたそうですが、今年は暖冬……。先日訪れた貴重な雪の日、編集長はカメラ片手に「今だ!今しかない!」とダナーで飛び出していったそうです。(笑)すいません、あわてて走り出す成松さんを容易にイメージできてしまいました。 そんな裏話でした。春はまだか〜。