ポケモンカード・コレクター、サトヒノ×ソラ対談「僕らがポケモンカードを集める理由」

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文/佐々木健人 写真/新澤遥
取材協力/SPORTS&CARD GAME BAR MINT SHIBUYA

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2019年で登場から23周年を迎える「ポケモンカードゲーム」。2018年3月時点で累計出荷枚数は全世界で257億枚以上。日本を代表するトレーディングカードゲームだ。

近頃、ポケモンカードの人気が爆発している。2018年12月7日に発売された拡張パック「タッグボルト」においても、初回入荷分は購入制限をかけたり、予約販売で対応するカードショップが相次いだ。

今回はコレクションに焦点をあて、未所持カードは全シリーズ合わせて約130種類というコレクターのサトヒノさんと、伝説のポケモン「ルギア」を愛しルギアのカードやグッズを無限収集(上限を決めずに収集すること)しているソラさんの対談をお届けする。

ポケモンカードをコレクションする楽しさはどこにあるのだろう?

対談では、初期のめずらしいカードから、SNSを通じたコレクター同士のつながりまで、ポケモンカードをコレクションするリアルが飛び出した。

サトヒノさんのポケモンカード・コレクション。コレクター垂涎のお宝カードをお持ちいただいた。

サトヒノさんのポケモンカード・コレクション。コレクター垂涎のお宝カードをお持ちいただいた。

「今日もコレクターさんたちと交流して来ました」

ーー「コレクションをお持ちください」とお願いしていて恐縮なのですが……。お二人ともすごい荷物ですね。

ソラ:だいぶ抑えたつもりだったんですけどね(笑)。

ソラさん(<a href="https://twitter.com/s_o_resistance">@s_o_resistance</a>)。大阪府在住のポケモンカード・コレクター/プレイヤー。現役旧裏面(裏面が世界共通デザインに変わる前のカードのこと)ポケモンカードプレイヤー。1996年のポケモンカード発売当初よりプレイをはじめる。ルギアのカードやグッズを無限収集している。

ソラさん(@s_o_resistance)。大阪府在住のポケモンカード・コレクター/プレイヤー。現役旧裏面(裏面が世界共通デザインに変わる前のカードのこと)ポケモンカードプレイヤー。1996年のポケモンカード発売当初よりプレイをはじめる。ルギアのカードやグッズを無限収集している。

ーー三泊四日くらいできそうなスーツケースです。

ソラ:日帰りで関西から東京に来たので、着替えも入っていません(笑)。コレクションのみです。でも、ポケモンカードのオフ会にいく時も、このサイズのカバンで行くことは多いです。

サトヒノさんの荷物は、さっきちらっと見せてもらったんですけど、想像以上に物量がすごくて。

サトヒノ:ファイル3つとストレージボックスと、コインのケースを持って来ました。

サトヒノさん(<a href="https://twitter.com/satohino0155">@satohino0155</a>)。宮崎県在住のポケモンカード・コレクター/プレイヤー。小学生のころからポケモンカードにのめり込む。未所持カードは総シリーズ合わせて約130種類のポケモンカードガチコレクター。親子ガルーラやタマムシコイキング、白Rパソコン大暴走など、いまでは入手が難しいレアカードも所有している。

サトヒノさん(@satohino0155)。宮崎県在住のポケモンカード・コレクター/プレイヤー。小学生のころからポケモンカードにのめり込む。未所持カードは総シリーズ合わせて約130種類のポケモンカードガチコレクター。親子ガルーラやタマムシコイキング、白Rパソコン大暴走など、いまでは入手が難しいレアカードも所有している。

ーー今日は一緒に(取材場所に)いらっしゃいましたが、お二人は以前からお知り合いだったのでしょうか?

サトヒノ:ポケモンカードの公式大会で1度、あとオフ会で2回会っています。

ソラ:お互いのコレクションを見せ合ったり、カードを交換したり、海外で買ってきた珍しいパックをみんなでワイワイ言いながら開封して楽しむオフ会で、たまたま顔を合わせたんですよね。

サトヒノ:ソラさんと一緒に、さっきまで関東のコレクターさんたちと交流していました(笑)。

ソラさんのルギア・コレクション。一匹のポケモンをとっても、これだけさまざまなイラストのカードが存在する。

ソラさんのルギア・コレクション。一匹のポケモンをとっても、これだけさまざまなイラストのカードが存在する。

CMをみて一言「ああ!素手で触っちゃだめ!」

ーーお二人は、ポケモンカードをいつごろから遊びはじめましたか?

サトヒノ:ポケモンカードが発売された1996年からです。

ソラ:僕も発売された時から。当時は小学生でした。

サトヒノ:ゲームのポケモン図鑑を埋めるのが楽しかったんです。そこから、ポケモンカードも集めるようになりました。

子どものころは、おこづかいの関係でカードを買えない時もあるじゃないですか。だから、ポケモンカードGBで遊んだり。

ポケモンも最初は151匹だったけど、今は800匹以上いるんですよね。そのうちアンパンマンに追いつくんじゃないですか(笑)。(編集部注:2009年にギネス記録に登録された時点で、アンパンマンの公式キャラクターの数は1768体)

ポケモンカードGBは、1998年に発売されたゲームボーイカラー用のカードゲーム。 プレイヤーは伝説のポケモンカードを求めて、さまざまな強敵とカードで対戦する。

サトヒノ:でもね、一人で集めるのはしんどいんですよ。例えば、「ポケモンカードを1BOX買ったらプロモカードがもらえます」というキャンペーンだったら入手できる。「東京のイベントでプロモカードが配られる」。まあ大丈夫。

でも、世界限定100枚は厳しい。一番最近ではゼクロムHR・SR(ハイパーレア・スーパーレア)ですね。ロイヤルマスク(シールド戦の上位者に配布されたプレミアムキラのカード。世界限定100枚)はなんとかコレクションすることができたんです。

CMで子どもが「これ(ロイヤルマスク)100枚しかないんだよ〜」って言うシーンがあるんですけど、「ああ!素手で触っちゃだめ!」って思いましたもん。

一同:(笑)。

ソラ:入手難易度が高いものが出てしまうと、若干「やってくれたな」という気持ちは生まれますね(笑)。

サトヒノ:今はコレクションのやりがいはありますよ。(コレクションは)Excelで管理しているんですけど、1万4000種類くらいあります。対象外も含めて持っていないカードが130種類程度、その内で、コレクション対象としているカードが約30種類。その30種類の壁が分厚いんです。

ポケモンカード・コレクターたちのトレード事情

ソラ:ポケモンカードが発売された時は、カードショップ自体がなかったので、カードをシングルで買うという概念がなかったんです。だから、友達とポケモンカードを一緒に買いに行って、買ったその場で交換したりとか。

あとはポケモンカードの大会に頻繁に行って、「ほしいカードがあるんですけど、交換してもらったりできませんか?」と、初対面関係なくガンガン攻め込んで聞いたりも。カードショップで買うようになったのはここ数年です。

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サトヒノ:トレード目当てにポケモンカードの大会に行く人も多かったですよね。

ソラ:そうそう!大型大会とか行くと、レジャーシートを広げている人があちこちにいて、自然発生的にトレードしていましたよね。

サトヒノ:中学一年生くらいの時かな。子どもと一緒に来ている大人に「カード集めているんだね!これ持ってる?」って声をかけてもらって、「持っていないです!」というとトレードが始まる。

大会が人と人をつなげる場になっていましたね。「探しているカード、向こうで見かけましたよ」と声をかけてくれる人もいたり。

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ーー今でも大会でトレードすることが多いのでしょうか。

ソラ:大会に出ないけれども、トレードをしに足を運ぶコレクターさんは多いと思います。僕の場合、いまはSNSを通じてトレードすることが増えました。

Twitterの固定ツイートに「ルギアを集めてます」と載せているんです。それを見た人からDMがきて、トレードをする。

そして、交換したものをツイートすると、そのツイートを見た人が「この人、ルギアを集めてるんだ」「ネットでトレードできるんだ」ということを知って、また連絡がくる。

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サトヒノ:絶対に広まっています。ソラさんがルギアコレクターだって。

ソラ:トレードには「レートをどう調整してすり合わせるか」という問題があるんです。ルギア以外のカードも混ぜてもらわないとバランスとれない時は、他のコレクターさんが集めていたカードを混ぜてもらって、一緒にトレードする。

例えば、ピカチュウとルギアを混ぜてもらって、一緒に交換する。僕の手元にきたピカチュウは、ピカチュウを探している人と交換して、ルギアをまたトレードしてもらう。そうやって輪が広がっていくんです。

ーーキャラクターに特化して集めている人は他にもいらっしゃいますか?

サトヒノ:たくさんいますよね。ピカチュウに、ホウオウ、リザードン、フシギダネ。

ソラ:フシギダネ、フシギソウ、フシギバナのような進化ラインで集めている人は多いです。それと、海外の人から「ルギア集めているんですね、交換しませんか」とDMが来ることもあります。

サトヒノ:英語でね。

スペイン語のルギア。ポケモンカードは2018年3月時点で11言語、世界74の国と地域で販売されている。

スペイン語のルギア。ポケモンカードは2018年3月時点で11言語、世界74の国と地域で販売されている。

ソラ:海外版のルギアは、いろいろな国の人とトレードして集めたのでいま見返していても感慨深いです。ルギアが描かれているパックも集めているんですけど、neoシリーズの海外版パックがどこにもなくて。

サトヒノ:海外のパックはなかなか手に入らないんです。

ソラ:そうなんです。海外の方が声をかけてくれて交換した思い出のパックです。

サトヒノ:コレクター同士で、カードにサインを書くこともありますよね。このカードは、「ソラルダン」って書いてあるんですけど、こういうサインを書いて交換しあったりだとか。

サインは、エネルギーカードに書いて交換することが多いのだそう。ソラルダンとは、ソラさんのあだ名。ポケモンの映画2作目「幻のポケモン ルギア爆誕」に出てくる、ルギアを追い続けるキャラクター「ジラルダン」になぞらえてつけられた。

サインは、エネルギーカードに書いて交換することが多いのだそう。ソラルダンとは、ソラさんのあだ名。ポケモンの映画2作目「幻のポケモン ルギア爆誕」に出てくる、ルギアを追い続けるキャラクター「ジラルダン」になぞらえてつけられた。

ソラ:「何月何日、〇〇さんへ。ソラルダン」って書いて渡したりね。

面識がある場合は、その人が集めているカードを見かけたら買っておいて、今日みたいに集まった時に渡したり。向こうも僕がルギアを集めているのを知っているから、ルギアを集めて渡してくれたり。

サトヒノ:平和だ。

ーー素朴な疑問なのですが、お二人は対戦もされるんでしょうか?

サトヒノ&ソラ:(声を揃えて)します!

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サトヒノ:ただ、僕は好きなカードで戦う人です。メタグロスGXが好きなので、メタグロスGXを使います。

ソラ:僕はソルガレオGXが好きなんで、ソルガレオGXを使います。

ーールギアじゃないんですね!

ソラ:ルギアも使うんですけど、対戦は面白い効果かどうかで選んでいます。ソルガレオは一撃必殺の火力があって、「どんなGXでも絶対に一撃で落とすぞ!」と気合いが入るので使っていて楽しいんです。

サトヒノ:対戦はエンジョイ勢です。子どもたちとプレイして「うわ、負けた!」という対戦も何回か。

ソラ:僕、子どもがいるんですけど、最近ポケモンカードを覚えたので仕事から帰ったあと、一戦交えてから寝ることもあります。

サトヒノ:いいですね。子どもの頃はデッキに4枚カードを積んだりだとか、サポートのカードの必要性も知らなかった。ヒトカゲとリザードンは1枚ずつしか入っていないのに、リザードを2枚投入したり(笑)。そういう謎の構築をしていても楽しかった。

編集部注:進化するためには、場に進化前のポケモンが存在しなければならない。そのため、進化前のポケモンは進化後と同じ枚数か、それ以上デッキに入れる場合が多い

ピーキーな性能と美しいイラストで、ルギアの虜に

ーーコレクションについてお話を聞いていきます。ソラさんはルギアコレクターとのことですが、中でも収集する基準はありますか?

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ソラ:コレクションの基準は、基本的にルギアが描かれているかどうかです。あとはルギア以外にも、イラストが気に入ったカードもちょこちょこと。

(ファイルをめくりながら)このルギアは対戦では使えない、世界大会(ポケモンワールドチャンピオンシップス)の優勝者記念デッキのカードです。

サトヒノ:海外では世界大会で上位入賞した人のデッキを発売してくれるんですよ。

ソラ:記念品としてね。ウラ面が世界大会専用のデザインになっていて、公式大会では使えないことがわかるようになっているんですけども、ルギアが描かれている場合は集める対象になります。

左は通常の海外版カードの裏面。右はポケモンワールドチャンピオンシップス仕様のカードの裏面。

左は通常の海外版カードの裏面。右はポケモンワールドチャンピオンシップス仕様のカードの裏面。

ーー公式大会で使用できるかどうかは関係ないということですね。大事なことを聞いていなかったのですが、なぜルギアを収集しているのでしょうか。

ソラ:なぜか……。本格的にポケモンカードをやり始めたのは、このカスミデッキが発売されてからです。

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ソラ:『ポケットモンスター赤・緑』をやったことありますか?序盤に出てくるジムリーダーのカスミが使うスターミーは本当に強くて、バブルこうせんで倒されまくったんですよ。それなのに、カードゲームになったらなぜかすごく残念な性能になっていて……(苦笑)。

そのスターミーを使用して対戦をしていたんですけれども、しばらくしてポケモンカード★neoスターターパックが発売になり、買ったらルギアが入っていたんです。

ポケモンカード★neo 「拡張パック 第1弾 金、銀、新世界へ...」「スターターパック」に収録されたルギア

ポケモンカード★neo 「拡張パック 第1弾 金、銀、新世界へ...」「スターターパック」に収録されたルギア

ソラ:それまでのポケモンカードって、水タイプだったら水のエネルギーか無色のエネルギーを使用して技を放っていたんです。例えば水水無色とか、水水水とか。でもneo1ルギアは無色タイプなのに、炎、雷、水と3色の技を持っている。「なんなん?このルギア?」と。

サトヒノ:燃費が悪い(笑)。

ソラ:「デッキに入るわけない!」と言いたくなるような性能だったんですよ。でも、「なんとかして使ってやりたいな」という気持ちになったのと、背景の3色の色使いとイラストがかっこよくて。ピーキーな性能と相まってルギアが好きになっていったんですよね。

サトヒノ:映画(幻のポケモン ルギア爆誕)の後だから、このイラストなんですよね。

ソラ:本格的にルギアを集め始めたのは、2013年だったかと思います。とある大会に行った時に(ジムリーダーの)ナツメのカードをファイルにバサっと入れている方を見かけて「すごい人がおるな」と。

その後「昔のカードで遊ぼう!」という趣旨のオフ会を企画したときに、その人とたまたま再会したんです。

「お前、あのときの!」みたいな(笑)。話を聞いていると、同じカードをたくさん集めるのも楽しそうだったのでやってみようと。

ーーその時はneo1ルギアだけを集めていたんですか?

ソラ:そうですね。最初はneo1ルギアに絞って集めていて、他のルギアは集めていなかったんです。その後、「めざめる超王」というパックで、このルギアが登場したんです。

ポケモンカードゲームXY BREAK 拡張パック「めざめる超王」に封入されたルギア

ポケモンカードゲームXY BREAK 拡張パック「めざめる超王」に封入されたルギア

ソラ:「イラストめっっっちゃかっこいい!」と、ものすごく心に触れて。それで、「めざめる超王のルギアも集めます!」と周りの友人に言ったら、「他のルギアもいらないですか?」と声をかけてくれるようになったので、ルギアは全部引き受けようと。

ーーめざめる超王は比較的最近発売されたパック(2016年3月発売)ですよね。さかのぼってここまで集めるのは大変なような気もします。

ソラ:最初のころは大変でしたね。でも、みんな「トレードしませんか?」って声かけてくれますし、そうやって知らない人とつながるのも好きだったので、楽しんでいたらここまで集まりました(笑)。

ーー現在、ルギアのカードを何枚所有しているのでしょうか。

ソラ:1万3千枚くらいです。

ーー1万3千枚!

ソラ:ルギアという名前がついたカードだけじゃなくて、ルギアがイラストにちょこっと出演しているようなカードを含めて、1万3千枚以上あります。

サトヒノ:そこまで行くと「ルギ」っていう単位がほしいですね。

ソラ:そうですね(笑)。枚数が増えたルギアを延々と足していっているファイルがこちらです。めくってもめくってもルギアです!

サトヒノ:おかしいんですよ。この量は(笑)。

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イラストに施された遊び心

サトヒノ:このホウオウのカードなんて、ほとんどルギア描かれていませんもんね。

ソラ:左下にルギアの頭が写っているんです。

ーー本当だ!よく気づきましたね。

ポケモンカードゲーム サン&ムーン 強化拡張パック「チャンピオンロード」に収録されているホウオウ。左下に小さくルギアの頭が写っている。

ポケモンカードゲーム サン&ムーン 強化拡張パック「チャンピオンロード」に収録されているホウオウ。左下に小さくルギアの頭が写っている。

ソラ:このカードには元となった大きなイラストがあり、そこにルギアが描かれていることを知っていたので気づくことができました。

あとは、「お公家さまと舞妓はんピカチュウ」のカード。僕は最近までルギアが描かれていると知らなかったんですけど、実はイラストの中にシルエットでルギアが描かれているんです。

お公家さまと舞妓はんピカチュウ。2016年3月にポケモンセンターのキャンペーンで配布された。ピカチュウの袖の近くにルギアの影が写っている。

お公家さまと舞妓はんピカチュウ。2016年3月にポケモンセンターのキャンペーンで配布された。ピカチュウの袖の近くにルギアの影が写っている。

ーーすごい!目を凝らしても見つけるのが難しい……。一枚一枚念入りに調べるんですか?

ソラ:いえ、友達がこのデザインの湯のみをプレゼントしてくれたんです。「なんで俺、ルギアを集めているのにピカチュウなんだろ?」と思って(笑)。「湯のみありがとう!」と伝えたら、「もしかして気付いていないですか?」と言われて。

よく湯のみを見てみたら、ピカチュウの着ている服がルギアの家紋柄だったんです。「ちょっと待てよ!カードでも同じイラストがあったような気がするぞ!」と慌てて調べたら、ルギアがいたんです。「しまった!見落としていた!」と。

ーー隠しルギアですね。

サトヒノ:どこかのテーマパークですね(笑)。「幻影のゾロアーク」なんて、ミュウをコレクションしている人はいるわで取り合いですよね。

デザインコンテスト入賞した人に配布された「幻影のゾロアーク」。デザインコンテストは、2018年12月までで計2回開催されている。

デザインコンテスト入賞した人に配布された「幻影のゾロアーク」。デザインコンテストは、2018年12月までで計2回開催されている。

ソラ:そうですね。だから、デザインコンテストが開催されるという話を聞くたびに、ルギアが描かれるのかどうかヒヤッとします(笑)。

ーーポケモンカードのイラストは、色々なイラストレーターの方が描いていますよね。

サトヒノ:そうなんですよ。ポケットモンスターのキャラクターデザインを手がけた杉森建さんのイラストに限らず、立体でキャラクターを作られる森井ユカさんのような方もいらっしゃいます。

立体造形家の森井ユカさんが描いたゴチム。ポケモンカードゲーム サン&ムーン GXスタートデッキ「超ミュウツー」に収録されている。

立体造形家の森井ユカさんが描いたゴチム。ポケモンカードゲーム サン&ムーン GXスタートデッキ「超ミュウツー」に収録されている。

サトヒノ:自分が好きなのは、姫野かげまるさんです。

初期からイラストを描いている方なんですけれども、姫野さんは「ポケモンカードになったわけ」という、カードのイラストにどう至ったかを描いた漫画を描いているんです。それを読んでファンになりました。

「いつか、自分が好きなポケモンを書いてくれたらすごくうれしいな」と思っていたら、姫野かげまるさんが描いたヒノアラシが発売されたんです。

このイラストが大好きで、自分が持っているカードの中でもこのヒノアラシが一番多いです。

姫野かげまるさんが描いたヒノアラシ。ポケモンカードゲームLEGEND 拡張パック「ソウルシルバーコレクション」に収録されている。

姫野かげまるさんが描いたヒノアラシ。ポケモンカードゲームLEGEND 拡張パック「ソウルシルバーコレクション」に収録されている。

ソラ:ゲームのパッケージに描かれているポケモンや、ゲームの開始時に選べる三匹のポケモンはバリエーションが多彩ですよね。

サトヒノ:ピカチュウほどではないんですけどね(笑)。

奥深き旧裏とプロモカードの世界

ーー続いてサトヒノさんのコレクションについてお聞きできれば思います。こちらはポケモンカードの初期のカードですね。懐かしいです。

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サトヒノ:初期の初版カードの特徴として、★や●などのレアリティマークが存在しないんです。その後に印刷された初期のカードにはレアリティマークが印刷されているので、初版と第2版以降のものをそれぞれ集めています。

あと、トレーナーズのカードの中には、同じ効果なんですけどテキストが初版とそれ以降で変わっているものもあって、一枚一枚かぶりつくように読んで確認する(笑)。

ソラ:わかります、わかります。

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サトヒノ:こちらはジャンボカードです。コロコロコミックについてきたり、映画のプロモカードとして配布されたり。カードの形をしているので、集めなければいけないという変な義務感が(笑)。

ソラ:大きすぎるのでコレクションファイルに入るわけじゃないし、デッキに入るわけじゃないんですけどね。僕もルギアが描かれたジャンボカードとか、下敷きが出たりすると集めたくなっちゃう。

サトヒノ:通常のカードと異なるサイズのカードが出るとどう保管するか悩みませんか?

ソラ:そうですね。コレクター各々が工夫して整理していますね。

まだまだあるぞ、サトヒノさんのポケモンカード・コレクション

コダック

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2018年10月27日(土)から東京都美術館で開催したムンク展とコラボして作られたプロモカード。ムンクの「叫び」をモチーフ にしたカードは、一度見たら忘れられない。

ブラッキー

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「ポケモンカードゲーム プレイヤーズ」という会員制のファンクラブに入り、「けいけんち(EXP)」というポイントを貯めると入手することができたブラッキー。中でもブラッキーは大量のけいけんちを必要としており、流通している数もごくわずか。なお、「ポケモンカードゲーム プレイヤーズ」は2008年5月でサービスを終了している。

おしえテレビのおにいさん

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おしえテレビのおにいさん。Webサイト「ポケモンだいすきクラブ」のプロモカードとして配布された。「とある方に譲ってもらったんですけど、全然出回らないのでジョークカードかと思っていましたが、れっきとしたプロモカードでした。このカードを機に、働いて、カードを買って買って買うようになったんです」(サトヒノさん)

コインコレクション

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サトヒノさんのコインコレクション。「コインもカードコレクションの副産物なんですよね。集まってくると、「何を持っていないのかな?」となるんですよ。ちなみに、ケースはポケモンセンターで売っていたチャーム用のケースです」(サトヒノさん)

ポニータ石井さんの名刺

サトヒノ:ポニータ石井さんの名刺も、僕の中ではプロモカード扱いにしています。

ソラ:裏面がポケモンカード仕様なんですね!

サトヒノ:もらった時に、裏面をパッと見たら「カード仕様!プロモカードだ!」と。いただけてよかったです(笑)。

ソラ:これは凄まじいですね。

サトヒノ:ポケモン公式の遊び心ですよね。でも、コレクター的にはうれしい。

ポケモンカードの伝道師であるポニータ石井さんの名刺。裏面がポケモンカードの仕様になっている。サトヒノさんとは、「ポケモンカードキャラバン~ぐるっと九州編~」で対戦している。

ポケモンカードの伝道師であるポニータ石井さんの名刺。裏面がポケモンカードの仕様になっている。サトヒノさんとは、「ポケモンカードキャラバン~ぐるっと九州編~」で対戦している。

これからポケモンカードをはじめる人へ

ーーコレクションのやりがいがあることがよくわかりました(笑)。いまはポケモンカードをプレイする方が増えてきていると思うんですけど、これからコレクションをはじめようと考えている方向けに楽しみ方のコツがあれば教えてください。

ソラ:「自分の好きなテーマでコレクションする」ことではないでしょうか。

サトヒノ:ポケモンはやっぱり集めるのが楽しいんですよね。

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ソラ:テーマを決めたファイルがあると「こういうテーマで集めているんだけど、もってないカードがあるんだ」と話をした時に、「交換しましょう!」と広がっていくと思います。

サトヒノ:カードをコンプリートするのも一つの楽しみ方だと思うんですけど、好きなポケモンを集めて魅せるのも面白いです。対戦のルールは知らないけれども、ミミッキュが好きだから、ミミッキュを集めている人もいますし。

ソラ:僕はポケモンカード20周年を祝おうと、20周年記念の年にリリースされたカードでファイリングをしました。

あとは、カントー地方のポケモンで固めて、『ポケットモンスター赤・緑』をやっていた時のワクワク感を凝縮したファイルを作ったり、「ロケット団の逆襲」や「目覚める超王」というパックの世界観に合わせてファイリングしてみたり。

年代や言語にとらわれず、すきなカードを自分の思い描く形で並べて綴じるのも楽しいと思います。

「ロケット団の逆襲」をテーマにしたページ。4ポケットのファイルを使用している。

「ロケット団の逆襲」をテーマにしたページ。4ポケットのファイルを使用している。

ソラ:9ポケットはファイリングの一つの形になっていると思うんですけど、4ポケットや3ポケットなどすでに所有しているファイルがあるならば、その中でどう世界観を作るのかを考えるのも一つの楽しみ方です。

サトヒノ:ポケモンカードには図鑑のテキストが載っているんです。「海の中で生活している」とか。「たくさんのピカチュウを集め発電所を造る計画が最近発表された」とか。そういうテキストを元に、自分なりの世界観を作ってみる。
カードをもとに冒険していく気分を味わえるのはポケモンカードの醍醐味ですよね。

ーおわりー

※取材場所は、<a href="http://mint-web.jp/?pid=39086084">SPORTS&CARD GAME BAR MINT SHIBUYA</a>様にご協力いただきました。

※取材場所は、SPORTS&CARD GAME BAR MINT SHIBUYA様にご協力いただきました。

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サトヒノさんのコレクションを公開中!

ミューゼオにて、サトヒノさんのコレクションをミュージアムとして公開中!親子ガルーラ、タマムシコイキング、パソコン大暴走など、いまでは入手が難しいカードが展示されています。

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ソラさんのコレクションを公開中!

ミューゼオにて、ソラさんのコレクションをミュージアムとして公開中!サイン入りカードや、記事に出てこなかったルギアなどが展示されています。

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Series : 集めて楽しむTCG

公開日:2018年12月23日

更新日:2021年6月2日

Contributor Profile

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佐々木 健人

エディター、プランナー。1993年東京都生まれ。時計メーカーを経てミューゼオに入社。オンラインジャーナル「ミューゼオスクエア」のディレクション、ECサイト「ミューゼオファクトリー」の製品開発などを担当。

終わりに

佐々木 健人_image

遠方かつ仕事の合間を縫って東京に来ていただいているため、取材は約2時間半ほどで切り上げに。時間が来ても「まだしゃべれる」という雰囲気が感じられました。

「コレクションは集めて魅せてこそ」と語ったサトヒノさんと、「トレードを通し、知らない人とつながるのが楽しい」と話してくれたソラさん。コレクションは(極端に言ってしまうと)一人で完結できてしまうものですが、お二人の口から出てきたのは、「コレクター同士で交流する楽しさ」でした。

トレードなどで交流しながらコレクションを形成していくさまは、スクラムを組んで進んでいくチームのよう。大切なのは自分が好きかどうか。そこに境界や優劣がないことは対談からも伺えたのではないでしょうか。

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