革の王道のなめし方、植物タンニンなめしとクロムなめしを比較する

取材日: 2016年7月13日

文/Muuseo Square編集部
監修/飯野高広

革の王道のなめし方、植物タンニンなめしとクロムなめしを比較する_image

「なめし」とは、動物の皮から革へと変化させる工程だ。なめしの工程ではどんなことをしているのか、なめしの種類によってどう革が変化するのかを植物タンニンなめし、クロムなめし、混合なめしそれぞれ紹介していこう。

”皮”から”革”に生まれ変わる。そのために必要な「なめし」

私たちが使っている革製品が出来上がるまでには、まず動物の原皮から体毛や皮下脂肪などを取り除き、腐敗しないよう処理を施さなくてはならない。その処理を「なめし」と言い、コラーゲン繊維になめし剤を浸透させ、”皮”から乾燥しにくく、腐りにくい”革”へと変化させているのだ。

皮から毛や表皮、皮下組織も取り除き、真皮の部分だけが残る。なめされた革の表面を「銀面」、皮下組織が付いていた面を「床面(肉面)」と呼ぶ。

皮から毛や表皮、皮下組織も取り除き、真皮の部分だけが残る。なめされた革の表面を「銀面」、皮下組織が付いていた面を「床面(肉面)」と呼ぶ。

銀面(表面)

銀面(表面)

床面(裏面)

床面(裏面)

写真で見ると銀面と床面で色味や風合いが違うのがわかる。

断面図

断面図

基本のなめし3種類

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植物タンニンなめし

植物の樹皮などから抽出した“渋”成分タンニンでなめす。この手法は古代エジプト時代から行われていると言う。ピットという槽につける方法と、ドラムを使い手早く作る方法があり、完成まで数カ月はかかる。なめした後は茶色っぽい色の下地になる。写真はピット槽を使った植物タンニンなめしの様子。

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クロムなめし

1884年に実用化された比較的新しい技術で、化学薬品(塩基性硫酸クロム)を使ってなめす。皮をドラムに入れて、数時間回転させて薬品を浸透させる。革として全てを完成させるまでに数週間程度で済む。なめした後はウエットブルーとよばれる青色の下地になる。写真はドラムを使ったクロムなめしの様子。

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混合なめし

クロムなめしと植物タンニンなめしの両方のメリットを生かしたなめし方。基本はドラムを使う。

3種のなめしで出来上がる革の特徴

植物タンニンなめしの革

なめすのに数カ月かかるなど、非常に手間と時間がかかるが、その分原皮への負担が少なく皮が痛みにくい。堅牢で、可塑性(変形させると元にもどらない性質)や成形性の良い革に生まれ変わる。日光や油分によってタンニンが化学変化を起こす特製があり、日焼けによる色の変化や使うほどに味わいのでる経年変化を楽しめる。馬具、靴底、ベルト、革小物、ハンドバック、カバン等に多く使用される。革靴では主に底材などに使われる。

クロムなめしの革

柔軟性、保存性、耐久性、染色性が良く、短期間で仕上げられるので大量生産にも向いている。柔らかさや発色の良さを出すのに適しており、身にまとう衣類や革小物、ハンドバック、カバン、靴などに多く使用される。革靴では主にアッパー部分に用いられる。

混合なめしの革

クロムなめしの後に植物タンニンなどで再びなめしを施したり(コンビなめし)、逆に植物タンニンなめしの後でクロムなめしを施したり(逆コンビなめし)など、単独のなめし剤では得られない多様な特性が得られる。例えば、植物タンニンなめしほどは時間を掛けないが、クロムなめしほど皮を痛めず自然な風合いを革に残すなど、単独のなめしの欠点を補った革となる。革靴では例えば、ブラッシングだけで表面が焦げた印象に変化できるようなアッパーには、このなめしが施されている場合が多い。

※ここで言うコンビネーションなめしは混合なめしの事。

※ここで言うコンビネーションなめしは混合なめしの事。

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