日本鉄道会社線開業(上野-熊谷) 1883年7月28日<日本鉄道物語コレクション>

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 1872(明治5)年10月14日には、日本最初の鉄道である新橋-横浜間が開通しました。しかし、その後の建設計画は資金難から停滞していました。官設方式では難しいとの判断から、民間に鉄道建設を委ねる方が得策との方針を受け、岩倉具視ら華族が中心となり私設鉄道建設の動きが起こりました。岩倉は政府が中断していた路線のうち、高崎線、東北線等の鉄道建設計画を立て、1881(明治14)年、請願書を提出、敷設認可を受けています。政府計画の路線実現化ということもあり、特別な保護を受けた特殊な鉄道会社として誕生しました。

 日本鉄道会社の路線建設で最初に導入された機関車が"善光"号です。当時は新橋以北には鉄道路線がなく、機関車をはじめとする建設機材の多くは、新橋から船に積まれて墨田川を遡り、埼玉県川口市の善光寺付近に陸揚げされました。日本鉄道会社の1号機関車は、この地に近い寺院の名に因み"善光"と命名されました。善光、1881(明治14)年にイギリスのマニング・ワールド社で製造された機関車で、半円状の煙室扉、ボイラーに跨ったサドル型タンク、インサイド・シリンダー式等々その構造や形状は大変珍しいものです。1882(明治15)年6月5日、川口での起工式では12両のトロッコ列車を牽引し、参列者には工事状況を見学させたといわれています。善光号は資材運搬等で活躍しましたが、1906(明治39)年の鉄道国有化後は№1292(1290形)と改称され、大正末期まで田端駅などで入替用として使用されました。

 1883(明治16)年7月28日、上野-熊谷間完成し、上野、王子、浦和、上尾、巣鴨、熊谷間で仮営業を開始しました。翌年5月1日には高崎まで開通、6月25日に上野駅において明治天皇ご臨席のもとに開業式が挙行されました。

 その後、国有化されるまでには、高崎線、山手線(当時品川線)、東北本線、常磐線等の営業路線を経営する、当時としてはわが国最大規模の私鉄になっていました。
(解説:肥沼恵一)

※善光号機関車は鉄道記念物に指定され、「交通博物館」で保存展示されていましやが、2007年10月14日にさいたま市にオープン予定の「鉄道博物館(仮称)」に展示される予定です。(2007年1月現在)

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