新シリーズとなる今回は、2017年から始まった「ECM SA-CD HYBRID SELECTION」に続き、ジョン・コルトレーンのインパルス時代の傑作5タイトルを一挙リリースするもので、不朽の名盤が高音質で蘇えります。本作は今回の発売のために、世界で初めて本国アナログ・マスターからダイレクトにDSD(※SA-CD が採用する変換方式)化を行いました。
なお、シリーズ総監修は「ECM SA-CD HYBRID SELECTION」と同じくオーディオ評論/音楽評論において第一線で活躍している和田博巳氏、作品解説はライター/ジャーナリストの原田和典氏が担当します。
■JOHN COLTRANE IMPULSE SA-CD HYBRID SELECTIONラインナップ
*「バラード」PROZ-1106 4988031289204
*「至上の愛」PROZ-1107 4988031289211
*「ジョン・コルトレーン・アンド・ジョニー・ハートマン」PROZ-1108 4988031289228
*「デューク・エリントン&ジョン・コルトレーン」PROZ-1109 4988031289235
*「コルトレーン」PROZ-1110 4988031289242
『バラード』 PROZ-1106 4988031289204
『至上の愛』 PROZ-1107 4988031289211
『ジョン・コルトレーン・アンド・ジョニー・ハートマン』PROZ-1108 4988031289228
■JOHN COLTRANE IMPULSE SA-CD HYBRID SELECTIONの特徴
本リリース最大の特徴:
* ジョン・コルトレーンのインパルス名盤5タイトルを一挙SA-CDハイブリッド化
* “現存する最良のコンディションの本国アナログ・マスターテープから、今回の発売のために世界で初めてダイレクトDSD化を行い制作した2018年新DSDマスター”を使用し、NYのスタジオにて新マスタリング
* 新マスタリングを担当したのはケヴィン・リーヴス(Universal Music Mastering, New York, NY)
※ケヴィン・リーヴスによるジョン・コルトレーン関連のマスタリング・ワークス:
『Chasing Trane : The John Coltrane Documentary』(2017)、『至上の愛 ザ・コンプリート・マスターズ』(2015)、『サン・シップ ザ・コンプリート・セッション』(2013)etc.
* オリジナル録音エンジニアは名匠ルディ・ヴァン・ゲルダ―
■シリーズ監修者、ライナー執筆者紹介
*監修、試聴ポイント解説・・・和田博巳氏(オーディオ評論家)
主な執筆媒体:Stereo Sound、HiVi、Digi Fi、Bestsound等
*作品解説・・・原田和典氏(ライター/ジャーナリスト)
主な執筆媒体:JAZZ JAPAN、ミュージック・マガジン等
■JOHN COLTRANE IMPULSE SA-CD HYBRID SELECTION 作品について
*『バラード』
ジョン・コルトレーンのテナー・サックスが奏でる最高のバラード・アルバムであり、1963年リリースの不滅のロングセラー盤。収録されているナンバーは超ロマンティックなメロディを持ったスタンダード曲ばかりだが、リリース後にコルトレーン自身が演奏する機会はほとんどなかったという。それゆえ、ここで聴けるどの曲も貴重なセッションと言ってよい。1曲目“セイ・イット”での最初の1音の穏やかなテナー・サックスのトーンが、心の中に燻っている“すべて”を開放してゆく。“ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ”、“トゥー・ヤング・トゥ・ゴー・ステディ”・・・時にエモーショナルで時にジェントルな空気感が漂い、最後の2曲“イッツ・イージー・トゥ・リメンバー”、“ナンシー”で、まるで黄昏て一日が終わるようにアルバムも終わってゆく。何度聴いても、優しく、温かい。
*『至上の愛』
インパクトのある邦題、4つのパートからなる大曲、神がかり的なプレイとジャズを超越したポリリズム・・・。すべてが異端ながら、ジョン・コルトレーンがその後向かうべき方向性をしっかり見据えている、1965年リリースの大ベスト・セラー盤。パート1“承認”は、どこか呪術的でエスニックな雰囲気を漂わせるリフレインとともに大河のような流れで引っ張ってゆく。エルヴィン・ジョーンズのドラミングの凄さを実感。パート2“決意”は、躍動的なリズムの上をエキサイティングなメロディラインがはじける印象的なナンバー。パート3“追求”は、エルヴィン・ジョーンズの鬼気迫るドラム・ソロに扇動されて勢いづき、コルトレーンの強力なブロウも展開。そして切れ目なく突入する終曲のパート4“賛美”では、スピリチュアルで静かに燃える炎のような演奏が続く。
*『ジョン・コルトレーン・アンド・ジョニー・ハートマン』
名作『バラード』のヴォーカル版と言ってよい、ジョン・コルトレーンのディスコグラフィ上ではウォーム&テンダーなもう一つのバラード・アルバム。ソフトな中低域のトーンのヴォイスが魅力のジョニー・ハートマンと、温もりのあるテナー・サックスを奏でるコルトレーンの静かなる邂逅。ロマンティックなスタンダード曲を取り上げ、居心地のよい空間を演出する。名曲“マイ・ワン・アンド・オンリー・ラヴ”は同曲屈指の名演として名高い。“ユー・アー・トゥー・ビューティフル”は携帯電話のCMで使われ、話題になった1曲。
*『デューク・エリントン&ジョン・コルトレーン』
デューク・エリントンは1899年生まれ、ジョン・コルトレーンは1929年生まれと、親子ほど歳が違う。その二人が初めて顔を合わせ、1962年9月にレコーディングしたのが本作。それまでコルトレーンは曲を完璧に録音できても、なかなか満足せず何度もテイクを重ねるのが常だったが、エリントンと出会ってワン・テイクの重要性に開眼。ここに収録されたエリントンの超名曲“イン・ア・センチメンタル・ムード”は、たった一度きりのテイクでレコーディングされ、ジャズ史上同曲の名演として語り継がれている。
*『コルトレーン』
同名の’57年録音のプレスティッジ盤もあるが、こちらは’62年録音のインパルス盤。コルトレーンの最強カルテット“黄金のカルテット”でのモード・ジャズのアプローチが全開の1作で、スタンダード・ナンバーがモーダルなプレイと自在なリズムによりまったく別世界に変化。14分にわたる熱演“アウト・オブ・ディス・ワールド”、静謐で情感豊かなテナー・サックスのプレイが光る名スタンダード“ソウル・アイズ”、一方ソプラノ・サックスが光る“ジ・インチ・ワーム”、そして2曲のコルトレーン・オリジナル作品である“トゥンジ”、“マイルス・モード”も秀逸。
■レーベル概要
1961年、ABCパラマウントのジャズ専門レーベルとして産声をあげたインパルス・レーベル。“ニュー・ウェイヴ・イン・ジャズ”というキャッチ・フレーズのごとく、それまでの数々のジャズ・レーベルとは違った、“新しいジャズ”の世界観を追求。初代の専属プロデューサーは創設者のクリード・テイラー、そして専属アーティスト第1号はジョン・コルトレーンであった。まもなくしてプロデューサーはボブ・シールに交代。シールは数々の傑作を生みだし、60年代はインパルスの最盛期であった。その後、70年代にレーベルは新録音を休止するも、’87に復活を遂げ、現在に至っている。