表現したかったのは、挑戦の歴史。イタリア・ボローニャ生まれの革靴メーカー「a.testoni」2020SS 新製品発表会レポート

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2019年12月6日。a.testoni銀座本店にて、同ブランド2020SSシリーズの発表会が開催された。当日は今季の新製品の他、貴重なアーカイブモデルの展示も行われた。イタリアの革靴ブランドの礎を作った名門中の名門、a.testoni。創業当時から現在まで貫かれる、挑戦・冒険の姿勢が表現された、発表会の様子をレポートする。

取材・文 / ゴトーアツシ

挑戦の歴史を示すアーカイブ

1929年、イタリア北部の工業都市、ボローニャ。一人の男が、イタリア革靴ブランドの夜明けと評されるビスポーク・ブランドを立ち上げた。男の名前は、アメデオ・テストーニ。90年の歴史を刻む名門ブランド「a.testoni」の誕生である。

MuuseoSquareイメージ

「1920年代当時、イタリアの革靴工房は、その多くがギルド(中世から近世にかけて、ヨーロッパ諸都市において、商工業者の間で結成された組合組織)に属しており、自分のブランドを立ち上げるという意識はほとんどありませんでした。そんな中、a.testoniはイタリア国内における革靴ブランドの先駆け的存在だったと記録されています」

詳しく説明してくれたのは、ア・テストーニ ジャパンの加藤さん。

「今回の展示会では、a.testoni ブランドが示してきた、挑戦・冒険の姿勢を表現したいと思いました。イタリア本国からこの日の為に取り寄せた過去のアーカイブ作品も、このテーマを体現する物を展示しています」

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こちらは1950年代に製造されたメンズシューズのアーカイブ。教会の床に使われていたタイルや、ステンドグラスの模様に着想を得て作られたという。70年近く前のモデルとは思えない、先進的なデザインだ。

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それぞれ微妙に異なる色に染め上げ、細く切った革素材を、非常に細かく丁寧なステッチで、少しの歪みもなく縫い合わせて作られている。

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こちらは1960年代のメンズシューズのアーカイブ。アッパー全面が、縄状に加工された革素材を結い合わせて作られている斬新な造り。

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気の遠くなる様な手作業の連続で作り上げられたアッパーは圧巻だ。

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1970年代のレディースブーツのアーカイブ。使われている素材は薄いスエードで、上層の褐色のスエードを動物の体柄をモチーフに切り抜き、下層の濃茶色のスエードに抜い合わせることで、エキゾチックレザーの様に見せている。

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1枚の大きなスエードの生地全面を文様柄に切り抜いて作られた、ある意味「ホールカット」な逸品だ。写真だと伝わり難いが、上層と下層のスエード生地同士は模様を縁取りする様に、非常に細かなステッチで縫い合わされている。

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ア・テストーニ ジャパンの加藤さんから解説を頂いた。

「イタリアの革靴作りは、英国などに比べて、アッパーの作り込みに多くの時間を掛けるのが昔からの特徴です。新しい素材の組み合わせや、新たな製法が思いついたら、手間や時間が掛かろうが、とりあえず試してみてしまう。伝統的な製法を守りながらも、新たな技術にはどんどんトライしていく。そんな挑戦・冒険の姿勢がa.testoniのブランドにも、間違いなく息づいています」

a.testoniの代名詞「ボロネーゼ製法」

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こちらは1940年代のメンズシューズのアーカイブだが、2枚目の写真のインソールに施された縫い目に違和感を感じる読者もいるのではないだろうか。マッケイ製法で施された縫い目の内側に、もう一筋の縫い目が見える。これがa.testoniブランドの代名詞でもあり、ボローニャ地方で古くから行われてきた製法、ボロネーゼ製法が使われている印である。

左からアッパー、ソール、裏張り

左からアッパー、ソール、裏張り

完成までに177もの工程を要するこの製法は、革靴の中にもう一層、柔らかい羊の革で袋状に作られた裏張りが内包される構造を取っている。先ほどの写真のインソールにあった内側の縫い目は、裏張りをソールに縫い付けた縫い目だったのだ。

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上の写真の様に、裏張り全体をアッパーで包み込む様にして作られるボロネーゼ製法。実際に履いてみないと分からない、足全体を優しく包み込まれる様な、何とも形容し難いフィット感がある。

ブランドの創業者であるアメデオ・テストーニが第二次世界大戦中、その制作方法を確立されたと言われるボロネーゼ製法は、今日もa.testoniの代名詞として受け継がれている。

革靴で養った技術を活用したスニーカー・コレクション

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2020SSコレクションでは、スニーカーの新製品ラインも大きくフューチャーされていた。ラインネームは「Pop evolution」。その名の通りポップカルチャーからインスピレーションを受けたというスニーカーには、サンシャインイエロー、ターコイズ、ブライトブルーと様々なカラーを使用したカーフスキンが使われていた。

製品名:MS70487AVZ 
価格:68,000円(税別)

製品名:MS70487AVZ
価格:68,000円(税別)

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異素材の貼り合わせや細かいブローク、ステッチの技術など、革靴制作で養われた技術がふんだんに用いられたブランドライン。ポップなカラーリングに騙されそうだが、どっしりと腰を据えて作られた、真面目なプロダクトという印象を受けた。

踵を踏むというタブーへの挑戦。イタリアのリアルを伝える、スリッポン・コレクション

製品名:MS47616POG
価格:76,000円(税別)

製品名:MS47616POG
価格:76,000円(税別)

イタリアの夏の過ごし方で大切なことは「エレガント」かつ「カジュアル」であること。

イタリアのファッションと言うとバッチリと決めた格好をイメージしてしまう方も多いかもしれないが、実施はラフな中に洒落っ気を感じさせる、そんな格好で過ごしているんだよ、というリアルなイタリアを伝える本コレクションは「Italian summer & Urban Innovation」と名付けられた。

製品名:WS48013ST
価格:60,000円(税別)

製品名:WS48013ST
価格:60,000円(税別)

そのコンセプトを表現するために選ばれたのは、革靴界隈ではタブーとされることも多い「踵を踏む」行為を肯定する、エスパドリューのラインナップ。

ムラ染めを施したラムスキンモカシンと織り革で作られた本品は、踵の部分を寝かせることで快適なミュールスタイルにフォルムチェンジできる。「このぐらいカジュアルに、でもエレガントに過ごして、イタリアの夏の空気を感じて欲しい」という想いが込められたコレクションだ。

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a.testoni(ア・テストーニ)銀座本店

1929年、イタリア・ボローニャでアメデオ・テストーニに生み出された高級紳士靴ブランド、a.testoni(ア・テストーニ)の銀座本店は2003年6月に日本の旗艦店としてオープン。ボロネーゼ製法に代表される、伝統的かつ手間暇の掛かる製法を続けながらも、素材やディティールにこだわった挑戦的な製品を生み出し続ける同ブランドの最新コレクションを展開する。紳士靴に加え、ベルトやバッグ、婦人服に革小物など、幅広いラインナップも魅力。

東京都中央区銀座8丁目9−12 銀座リヨンビル1F・2F

03-3575-8025

11:00-20:00

*お店に足を運ぶ前に、HomePageで最新の情報を確認することをお勧めします。

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