ニューヨーク在住のアートユニット「エキソニモ」の個展『LO』。東京のWAITINGROOMにて開催

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東京のギャラリー「WAITINGROOM」にて、2019年2月23日(土)から3月24日(日)まで、エキソニモの個展『LO』が開催されます。

エキソニモは、千房けん輔と赤岩やえにより1996年に結成されたニューヨーク在住のアートユニットです。インターネット上での作品発表を皮切りに、独自の手法とハッキングを思わせる感覚でインスタレーションやパフォーマンス、イベントオーガナイズなど、多岐にわたる活動を行い、日本のインターネットアートを20年に渡り牽引してきました。

国内では実に6年ぶりの個展となる本展は、「不完全なメッセージ」をテーマに新旧作織り交ぜた作品群で構成されます。

昨年水戸芸術館でのグループ展『ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて』で展示された2台のモニター作品《I randomly love you / hate you》の他に、本展のテーマに基づいて制作される新作、また過去作品からリミックスし直した作品などが展示されます。

リリース配信元:WAITINGROOM
リリース配信日時:2019年1月11日

《I randomly love you / hate you》2018年、LCDモニター2台、シングルボードコンピューター(アンドロイド)、サイズ可変

《I randomly love you / hate you》2018年、LCDモニター2台、シングルボードコンピューター(アンドロイド)、サイズ可変

情報空間と感情空間の間を様々なメッセージが行き来する場所

スマートフォンが震え、画面を見ると「新着メッセージがあります。」というような光景は、今やあまりに日常的な風景です。誰かから誰かへのメッセージがどこかの場所を中継することなく、情報空間のみを伝わって本人の手元に届く。

郵便が主な通信手段であった以前は、郵便局という「場所」が大量の誰かから誰かへのメッセージの中継地点でした。
今回、エキソニモが「不完全なメッセージ」というテーマを選んだのは、ギャラリーの場所が元郵便局跡地だということにも興味を持ったからかもしれません。

Windows95が発売されたばかりの1996年にインターネット上でソフトウェアを発表し活動を開始、その後現実世界でのインスタレーションやイベントオーガナイズへと活動を広げたエキソニモの近作は、必ずしもインターネットに同期していたりテクノロジカルな要素のみで構成されているわけではありません。

2012年に結成したIDPW(アイパス)は、現実世界に「インターネット的」なものを持ち込み、ネットショッピングがこれほど日常的になった現代で、足を使って赴く必要のあるマーケット「インターネットヤミ市」を世界各地で開催しています。

さらに、2018年には水戸芸術館で開催された展覧会『ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて』で発表した、モニター2台に映し出された約20種の顔がまるでキスをしているかのように合わさって設置されている《キス、または二台のモニタ》や、2台のモニターの中でLoveとHateがついたメッセージが会話し合う《I randomly love you / hate you》を制作。

これまではメディアそのものへの関心に基づき制作をしてきた彼らですが、近作には「メッセージ」や「エモーショナル」なものへ関心が移行してきていることが表れています。

例えばSNS上のフォロワー数やそのコメントの数々に私たちは気持ちを左右されてしまう、つまりはネットとは感情を増幅する装置なのだと彼らは言います。

情報と感情は直結しているため、テクノロジーや情報空間の進化の加速に伴い、人間の感情の形は今後どのように変化していくのでしょうか。

実世界とは別にこういったバーチャルな空間が広がれば広がるほど、実際の場所で起こっていること、実際の人間の感情に触れることが、より一層重要な時代になっていくのではないでしょうか。

デジタルとアナログ、ネットワーク世界と実世界を柔軟に横断しながら、テクノロジーとユーザーの関係性を露にし、ユーモアのある切り口と新しい視点を携えた実験的なプロジェクトを数多く手がけてきたエキソニモだからこそ作れる、情報空間と感情空間の間を様々なメッセージが行き来する場所を、かつて大量な誰かから誰かへのメッセージの中継地点だった郵便局跡地のギャラリー・WAITINGROOMに作り上げています。

「ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて」展覧会風景 (水戸芸術館現代美術ギャラリー、茨城、2018年)

「ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて」展覧会風景 (水戸芸術館現代美術ギャラリー、茨城、2018年)

エキソニモ『LO』

会期:2019年2月23日(土)~3月24日(日)
時間:水・木・金・土 12:00~19:00、日曜 12:00~17:00
定休日:月火祝
会場:WAITINGROOM
住所:文京区水道2-14-2長島ビル1F
オープニングレセプション:2月23日(土)18:00~20:00

同時開催

『オープン・スペース2018 イン・トランジション』
会期:~2019年3月10日
会場:NTT インターコミュニケーション・センター[ICC]
詳細:http://www.ntticc.or.jp/ja/
*2004年制作の《Natural Process》が展示中。

『光るグラフィック展2』
会期:2019年2月22日(金)~3月28日(木)
会場:クリエイションギャラリー G8(東京)
詳細:http://rcc.recruit.co.jp/g8/exhibition/201902/201902.html
*2017年制作の《キス、または二台のモニタ》を展示予定。

アートフェア東京2019
会期:2018年3月7日(木)- 10日(日)
会場:東京国際フォーラム(東京)
WAITINGROOMブース:#G13
詳細:https://artfairtokyo.com
*2018年制作の《Live Streams》を展示予定。

エキソニモ(exonemo)

千房けん輔と赤岩やえによるアートユニット。1996年にインターネット上で活動を開始し、2000年から実空間でのインスタレーションやパフォーマンス、イベントオーガナイズ等へ活動を広げています。

2006年、世界的なメディアアート・フェスティバルであるアルス・エレクトロニカのネット・ヴィジョン部門でゴールデン・ニカ賞(大賞)を受賞。2012年には10数名のメンバーと共にIDPW(アイパス)を組織し、「インターネットヤミ市」をはじめとするイベントを国内外で開催。2015年からはニューヨークを拠点に活動中。近年の展覧会として、2018年グループ展『メディアアートの輪廻転生』(山口情報芸術センター[YCAM]/山口)、『ハ
ロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて』(水戸芸術館/茨城)、2018年個展『The Life-Cycle of Interfaces』(New Media Artspace gallery, Baruch College Library/ニューヨーク・アメリカ)、2016年グループ展『Spirit and Digit』(Electro Museum/モスクワ・ロシア)、2013年個展『TO THE APES』(三菱地所アルティアム/福岡)などが挙げられ、開催中の『オープン・スペース2018 イン・トランジション』(NTT インターコミュニケーション・センター[ICC]/東京)では、3月10日までGoogle社が所蔵している作品《Natural Process(2004年制作)》が約14年ぶりに公開されています。

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