Gerastos tuberculatus marocensis

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ゲラストス・トゥバキュラトゥス・マロチェンシス (Gerastos tuberculatus marocensis) です。もっともポピュラーなモロッコの三葉虫のうちの一つですが、正式な学名が長らく付いておらず、かつては、ゲラストスの一種 (Gerastos sp.) や、ゲラストス・グラニュロスス (Gerastos granulosus) など適当に呼ばれていた種です。ここ近年のモロッコ三葉虫の記載ラッシュにより、ようやく2006年に正式名称が与えられたようです。

本種の特徴としては、記載論文 (Chatterton et al., 2006) の説明によると、
✔︎ 頭鞍に尖った目立つ荒い顆粒を持ち、顆粒は胸尾部の細かな顆粒より大粒
✔︎ 頬棘は短いながらも、その先端は尖っている
などでしょうか。特に、頭鞍の顆粒の大きさは分かりやすく、上写真でも頭鞍の顆粒が胸尾部のそれに比べて大きい事がわかるかと思います。

最近の論文では、モロッコの微妙な差異のあるゲラストスが10種類以上に分類されております。(G. hammi、G. ainrasifus、G. aintawilusなど) ただ、本種以外は比較的レアであり、中々市場で見かけないですし、そもそもゲラストスの見分けは大きな違いがあるわけではないので難しいです。

安価で今一つ軽視されがちな種でありますが、小柄な体格にぷっくりした複眼や、とても可愛らしい種でもあります。

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  • 1. 魅惑の三葉虫 2020年06月12日 21:46
    モロッコのファコプスは、苦労しながらも集められましたが、Gerastosは本種のような代表種こそ手に入りますが、その他は注視してても収集の道のりは険しそうです。保存の良いモロッコ産といえど、細かい種の判別はHammiクラスの標本に限られてしまう印象もあります。掲載論文は、「Palaeontographica Canadiana No.25」でもありますが、「Palaeontographica Canadiana No.30」のがGerastosに絞って書かれているので、比較はしやすいです。最初の標本、保存も剖出も素晴らしい事が幸いしてか背軸の顆粒が目立つので、G.aintawilusにも見えてしましますね。頭鞍の顆粒の大きさで考えれば、G.tuberculatus marocensisで間違いないとは思いますが。

    2. orm 2020年06月12日 22:17
    >>魅惑の三葉虫さん
    まさにおっしゃる通りで、ひたすら他のGerastosを探していますが(といえど、特に興味を持ったのはここ最近なので、せいぜい一ヶ月足らずですが)、この種以外は全く見つかりません。trilobite design italiaなどに良い標本があるも、既にsold outなど、質の良い標本はめっきりなしですね。何とか1つ、やや質は疑問も、これG. tuberculatus marocensisでない別のGerastosじゃないか?と写真からは判断できる標本を、あるショップで確保しました。輸入中ですが、実物をみないと判断出来ない部分もあり、さてどうなる事でしょうか。また取り上げる価値があれば、紹介しようかと思います。

    mixiの方でも紹介頂いていましたが、Palaeontographica Canadiana No.30がないと Gerastos比較はやはり難しいですかね。No.25はオープンアクセスで良かったのですが、No.30を取り寄せてみようかと思います。

    この種、G.aintawilusが似ているのですね。とG. tuberculatus marocensis、G. hammiとG.ainrasifusあたりは大体認識出来る様になったのですが、G.aintawilusや残りのゲラストスの種は今一つものに出来ていません。またNo.30で勉強しておこうと思います。

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