Damesella paronai

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中国産三葉虫の独特さを体現するかのような種、ダメセラ・パロナイ (Damesella paronai) です。

大きく見れば、一応リカスの仲間 (Lichida) ではあるものの、ダメセラ上科 (Dameselloidea) に分類され、その見た目は、俗に言うリカスとは程遠い存在です。むしろ、同じ累層 (Kushan fm) で産出する蝙蝠石 (Neodrepanura premesnili, Blackwelderia sp. ) のうち、特に後者が、本種に似通っているように思えます (後者は、完全体が未だ見つかっていないので、あくまで尾部のみの比較ですが)。実際、分類上も、蝙蝠石は、同じダメセラ上科/科に属す近縁種であります。

ダメセラはフォルムが魅力的で、サイズも大きく見栄えが良く、蒐集初期からかなり気になる存在でした。しかし、当時は滅多に出回らなかった上、僅かに見かける標本は、非常にクリーニングの質が悪くその割にやたら高価という事で、敬遠しておりました。近年欧米の工房でクリーニングが為され、全体像がようやくはっきりすると同時に、それがきっかけになってか、多数の標本が市場に出回る様になりました。ただ、中国三葉虫の常として、遅かれ早かれ市場から姿を消すのではないかと予想しています。

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    Trilobites

    2023/08/03 - 編集済み

    いつの間にか入手されてたんですね。本種の魅力は何だろうと見ていくと、立体的な棘は無いのですが、側葉から尾部の荒々しい棘と、全身にある顆粒、それと大きさなんですよね。あとは希少な分類から、他に似た様な形状の種類が少ない事もありますね。今の状況が何時まで続くか分かりませんが、幻種時代を知っている私はこの種を入手できるようになり、嬉しかったです。

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    • これはカナダのH氏から最近購入した標本です。あともう少し大丈夫な気もしつつも、そろそろ良標本は枯渇しつつあるかなとも感じ、今回焦り気味に確保しました。
      おっしゃる通り、サイズ、全身の顆粒、力強い棘は大きなポイントだと思いますね。全体的な形状は、なんと表現するかが難しいですが、頭でっかち (に私には見えます) な、ユニークな体型にも惹かれますね。蒐集歴の長いコレクターには特に、幻種だった頃の憧れも、スパイスになってそうです。
      いずれにせよ、奇妙かつ格好いいので、愛好家なら誰もが気になる種じゃないかなと思いますね。

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    ktr

    2023/08/05 - 編集済み

    中国産では特異な位置を占めている種類ですよね。
    いっときはこれでもかとばかりに出品ラッシュが続いていましたが、たしかに最近では下火になっているような……
    私は本種に関しては、美麗個体よりも朽ち果てたような、シャビーなものが好みで、手ごろなのがあれば手に入れたいと思っていましたが、そういうものすら見かけなくなりました。

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    • 最近は頭部の無い標本だとか、胸部がぐちゃっとなった標本、あと裏ぼりなどは残りますが、全体が分かる標本がかなり少なくなりましたね。
      ほんの少し前こそ、お望みのようなやや古錆びた、それでいて全体が保存された標本もあった気がしますが、この頃はパタっと見かけなくなりました。中国産は読めないので、また怒涛のごとく出品される可能性も否定出来ませんが…

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