Neltneria termieri

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カンブリア紀のモロッコの海を生きた大型三葉虫。同時代に生息していたカンブロパラス等と比較すると、本種は些か小型の部類に入りますが、それでも人の好奇心を掻き立てるに十分な大きさであり、身体の側面から生え出た棘という棘がより存在感を醸し出しています

その平たい身体から見るに、ほとんどの三葉虫と同じく砂の上を這い生活していたのでしょう。複眼は少し大きめといった感じで、初期の三葉虫ながら複眼の性能はかなり高度だったのかもしれません。大きめのサイズというのもあり、かなりベテランの個体だったのではないでしょうか。サイズから移動速度は遅めだった可能性があると思われますが、それを解決したのが側面のトゲなのだと個人的に思います

本種はカンブリア紀。カンブリア紀は5億年前。つまりこれは5億年ものという事になりますが、特筆すべきはその保存状態。死して約5億年もの時が流れ、人間の手によって発掘された状態はご覧の通り。全身が完璧に残っているという奇跡的なものでした。母岩の硬さに恵まれた事もあるかもしれませんが、化石が作られるのに最適な環境で死んだのが一番大きかったのかもしれません。最近化石になった生き物ですらバラバラなのが大半なのに、気が遠くなる程過去の地球で生きた本種が完全体として残っているのは、正にアンビリーバボーであると言わざるを得ません

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