モナコ/フランス画家アンリ・ルソー誕生150年 1994.10.17【World Topics Stamp Collection】

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『ル・ドゥアニェ(税関吏)・ルソー』

 画家アン・リ・ルソー(1844-1910)は、フランス北西部のマイエンヌ県ラバルに生まれた。ラバルは、市の中心部をマイエンヌ川が流れ、河畔の丘には古い城や15世紀に建てられたラバル大聖堂がそびえる美しい街だ。ルソーの父はブリキ職人、母は陸軍大尉の娘だったが、ルソーが7歳になる頃、父は仕事に失敗し借金を背負う。それでもルソーは寄宿生として学校に通ったが、1860年にはとうとう中退。その後、兵隊生活、法律事務所の見習いを経て、1871年、パリ市の入市税関収税吏の職につき、かたわら趣味として絵を描き始めた。このため、彼は"ル・ドゥアニェ(税関吏)・ルソー"などと呼ばれる。1884年にルーブル美術館の模写許可証を得、この頃から本格的に絵に取り組み、86年以降はほぼ定期的にアンデパンダン展に出品。93年に入市税関を退職し、制作に没頭するようになるが、生活は苦しく、画材屋の借金に追われ。絵や彼が得意とする音楽を教えて生活費を稼いだ。

 1906年頃から、同郷の詩人アルフレッド・ジャリを通じて、さまざまな詩人、文学者、画家と知り合うなど、身辺は少しずつにぎわい、絵が多少売れはじめてきた。ピカソが1908年、ブラック、アポリネール、ローランサンなど若い芸術家たちを集めて、ルソーのために宴会を開いたという話もある。65歳を過ぎて、ルソーは54歳の未亡人との恋愛に破れた。そして1910年、悲嘆のうちにこの世を去ったという。

 ルソーの誕生150年を記念する切手が、モナコから発行された。図案は、ルソーの代表作「ヘビ使いの女」(1907)。これは、画家ロベート・ドローネの母親の注文によって描かれたもので、この夫人はインド旅行の話をルソーに聞かせており、その話が彼を刺激したらしい。また、女のヘビ使いは、当時パリで人気のあったモリエ・サーカス呼び物でもあった。作品の中に、ルソーの独特の神秘的な世界が広がる。

#切手

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