旧岩崎家住宅「近代洋風建築シリーズ初日カバー」

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1982年6月12日発行

 明治29年(1896)施工。地下室付き木造2階建て、ペンキ塗りスレート葺き。イギリス人建築家コンドルの設計で、さすがに現存する明治の木造洋風邸宅建築としては最高の作である。そのデザインの構想はイギリスやアメリカで住宅建築がもっとも多彩な展開を示した19世紀後半のありさまを忠実に反映し、シャコビアンという様式を中心にしている。それにアメリカ風やサラセン風まで加味されていて、内部もまた素晴らしい充実をみせている。明治の木造洋館としては、最大限の外部装飾をつけた建物だが、どっしりとして、栄華を誇った大三菱の岩崎一族の邸宅にふさわしい。建築主の男爵・岩崎久彌は、、三菱第3代目の当主で、エリザベス・サンダーズ・ホームを経営された沢田美喜さんのお父さんに当たる。

 敷地内に、この建物に隣り合わせて、同じくコンドル設計の撞球室の建物があり、ともに国の重要文化財に指定されている。これは木造平屋でスイスの山小屋風の建築。いかにも軽やかで楽しく、この邸宅とよい対象を示している。

 コンドル(Josian Conder.1852~1920)は、明治10年日本政府の招きで来日したお雇い外国人建築家。いまの東大工学部の前身に当たる虎の門の工部大学校で日本人建築家の育成にあたるとともに、もとの上野の博物館をはじめ、丸の内の三菱赤レンガ街の建物など、沢山の建築を設計して大正9年東京で亡くなった。日本建築界最大の恩人として尊敬されている。東京神田駿河台のニコライ堂の設計にも関与しているが、これを除けば70棟近いといわれた彼の作品の中でも、この旧岩崎家住宅が現存最古のものになってしまった。
(重要文化財、東京都大東区池之端)

※1982当初の説明です

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