米信託統治領パラオ/日本統治下のパラオ(2) 1987.10.16【World Topics Stamp Collection】

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『世界平和の願いを小型シートに』

 1981年1月、アメリカ信託統治領からの独立を前提に、パラオ諸島は自治政権を発足させた。このとき制定した「非核憲法」は、世界中から注目を浴びている。「非核」を宣言した背景には、核戦争への脅威とともに、日本統治時代のパラオが日米間の大激戦地になったという事実がある。島民たちは、島々が永遠に"南海の楽園"であることを祈っているのだ。

 第一次世界大戦の1919年から第二次世界大戦終戦まで日本の委任統治下にあったパラオ諸島は、太平洋戦争中、太平洋の軍事拠点としての道を歩まざるを得なかった。なかでも一番激しい戦火を受けたペリリュー島は、数多くの犠牲者を出している。日本統治下のパラオを描く切手4種とともに発行された、この小型シートは、いまもこの島に眠る人たちへの追悼の小型シートと言える。

 戦争をテーマにした、このような切手が発行されたことは、かつての暗い戦争体験を教訓にして、世界平和を希望するパラオの願いのあらわれで、ペリリュー島にある日本人墓地で戦没者の墓参りをする遺族が描かれている。シートの右肩には、当時の帝国主義を象徴する、真珠湾攻撃を描いた「大東亜戦争1年記念」切手(1942)と当時のパラオの風景印が描かれ、これとは対照に。左肩には、「平和条約調印記念」(1951)が並べられていえ、美しい島々を。再び戦火に巻き込むことのないようにという、世界共通の願いがこめられている。

#切手

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