第3集 一位一刀彫(1) (伝統的工芸品シリーズ切手 初日カバー)

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 飛騨の国では、大化の改新(645)で、労役として都へ送った大工は、その技術の優秀さから「飛騨の匠」とよばれ、奈良、室町時代の神社、仏閣にその技が残されている。その一人松田亮長(1800~71)が、イチイ材による一刀彫を創したのが始まりである。

 飛騨地方で産出するイチイ(別名アララギ、ノンコ)材を、ノミだけで彫り上げ、一切着色しない。木目の美しさ、白太、赤身の色合い、大胆な彫り味、時が経過するにしたがって自然にでるつや等が特色である。

 岐阜県の高山市を中心に、益田群の下呂町、大野郡の丹生川村、吉城郡の古河町で生産しており、製品は置物(観音像、七福神、高砂、十二支、動物等)、壁掛け(能面、土俗面塔)、茶道具(茶杓、香合等)等である。イチイは、笏に用いる材料でもあり、木目は細かくて、硬からず軟らかからず、油が多くて彫りやすい木である。「一位」の宇を用いるが、二條天皇が即位の折、飛騨からこの木で作った笏を謙譲したところ、他の材より優れていたので、位階の正一位にちなんで賜わったと伝えられている。

 伝統的な一位一刀彫は、紙型、鋸、突きノミ等を用いて木取り粗彫りするが、木目模様や白太(辺材部)・赤身(心材部)部分の色合いを製品の外形が鋭利または簡潔になるようにノミで彫る。彫りは粗彫りから仕上げ彫りまですべて手彫りである。伝統的工芸士は現在5名(彫刻)がしる。

※1985年当初の説明です。

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