東ドイツ/建国40年 1989.10.3【World Topics Stamp Collection】

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『市民の大量脱出で揺らぐ体制』

 東ドイツといえば、社会主義国のなかではソ連に次いで経済の豊かな国。その国章は、切手の図案にあるとおり、国の柱となる農民、労働者、知識人を象徴する「麦の穂」、「ハンマー」、「コンパス」をデザインしたもので、これらを軸にして東ドイツは、1949年の建国以来、40年間着実に国家発展の道を歩んできた。

 ところが、今年8月に、社会主義改革に進むハンガリーを経由し、東ドイツ市民が西ドイツへ移住を求めて大量脱出した。今年5月に、ハンガリーが対オーストリア国境に張りめぐらせていた高圧電線の撤去を始めてから、東ドイツ市民の流出が増え始め、7月末までに、すでに約240人が越境に成功。その後も、西側に脱出する"ゲルマン民族の大移動"は後を絶たず、9月末で脱出者はついに2万人を超え、現在でもなお、1日500~800人のペースで市民の脱出が続いているという。

 そんな中で迎えた建国40周年。-10月6日、東ベルリンの共和宮殿で開かれた東ドイツ建国40年記念式典で、ホーネッカー議長は。社会主義40年の成果を強調し、「重要なことは、発展した社会主義社会の、より一層の建設である」と述べ、ハンガリーや、"ペレストロイカ"のソ連などの社会主義改革には追随しないという東ドイツ独自の道を明確にした。しかし、その直後に、13年間東ドイツを指導してきたホーネッカー議長が辞任。上の切手の図案には、平和のハトと国旗、国章をバックに。▷自動、▷農民、▷知識人、▷労働者が描かれているが、果たしてこの体制がどうなるか、その成りゆきが注目されている。

※1989年当初の説明です。

#切手

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