中国/孔子生誕2540年 1989.9.28【World Topics Stamp Collection】

0

『中国切手に初登場の孔子』

 上の切手は、孔子の生地である山東省曲阜県と南京の紫金山天文台が共同で調査し、孔子の新暦による誕生日を9月28日と確定したことを記念して発行されたもので、図案は

▷8分=門弟の教育
▷1.60元=諸国遊節
▷小型シート=全身像

である。

 孔子が中国切手の図案となるのは、この切手が初めてというと意外に思う人は少なくないだろう。孔子といえば、中国春秋時代の思想家で、儒教の始祖。中国伝統の道徳政治中心の立場から「仁」を説き、その教えは彼とその弟子たちによる問答集「論語」によって広く知られている。漢の武帝の時代には儒教が国教として指定され、以来清代末期に至るまで、約2000年間、歴代の学識者の必須教養となった。日本に及ぼした影響も大きく、江戸時代には儒教が官学として受け入れられ、数多くの優れた儒学者を輩出している。このように、孔子はまぎれもなく東洋を代表する思想家であるが、本国の中国では、かつて孔子が切手の図案に描かれたことはなかった。

 というのは、中華民国の革命後、五四運動(1919)により啓蒙主義的立場から、儒教の封健的な性格が攻撃されたからである。されに、中華人民共和国の成立後は、唯物史観により、孔子の階級的立場を焦点に論争が起こり、孔子は奴隷主貴族の反動的思想を説くものと論ぜられてきた。しかし今回の切手の登場で、孔子は復権を果たしたわけで、その思想も普遍の真理として見直されるるあると言えるかもそれない。

※1989年当初の説明です。

#切手

Default