イギリス/「無額面」普通切手 1989.8.22【World Topics Stamp Collection】

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『現代版「ペニーブラック」の登場』

 1989年10月2日からイギリスの郵便料金改正に向けて、4種類の新普通切手が発行された。図案は従来と同じく、エリザベス女王の横顔だが、この切手には「1級」と「2級」の区別が記されているだけで、額面は表示されていない。イギリスの書状料金は、取扱いの速さで2段階に分けられていて、優先して扱われ、速く配達されるのが1級便で、優先されないかわりに料金が安いのが2級便である。

 イギリスでは、来年、世界最初の切手「ぺ二-ブラック」の発行から150周年を迎え、上の切手は、これに向けたイベントのひとつとして発行されるもの。そのため切手の刷色は、「ペニーブラック」と「ペンスブルー」を意識し、「1級」用が黒(=ペニーブラックと同色)、「2級」用が青(=ペンスブルーと同色)となった。そして、英国郵政はそのときの料金で発売し、「1級」、「2級」の郵便物に永久的に使用できるという、ユニークな"永久保証"をしている。

 「無額面」切手といえば、アメリカの<A>~<E>切手もように、料金改正時期に暫定的に使われるのが一般的で、最近では、インフレの進行で郵便料金が目まぐるしく変わるブラジルやアルゼンチンなどでも無額面切手が発売されている。上の切手は、こうした事情とはちょっと違うが、基本的には、各国の無額面切手と同じ使い方ができるわけで、今後郵便料金の改正があるときには、値上げ前の料金で購入し、値上げ後に使用すれば、その差額分だけ得する計算になる。しかし、今回はあくまでも、ペニーブラックにちなむ発行といういきさつがあるため、今後も引き続いて無額面切手が発行される可能性はあまりなさそうだ。

 今回の切手は、すべて切手帳で発売されえ、「1級」「2級」ともに、ウォルソース社製造の平版印刷とハリソン社製造のグラビア印刷の2種ずつある。

※1989年当初の説明です。

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