香港「長洲フェスティバル」1989.5.4【World Topics Stamp Collection】

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『美味しい中華まんじゅうが魔よけ』

 中国の政情不安定で、1997年の中国返還に暗い影を落としている香港。その中心を成す、香港島の南西に位置する人口約20,000人の小さな島、長洲(チャンチャウ)島に古くから伝わる独特のお祭りが長州太平清醮(チャンチャウタイピンチンチャオ)。この祭りは、病気や海賊のために命を落とした人々の霊を供養する宗教行事で、長州に100年以上も前から伝わるものだ。毎年、祭りの日時については、旧暦4月に7日間行われることが決まっているが、具体的には「北帝」と呼ばれる神の前での占いを持って決まる。祭りでは、神話や伝説上の人物に扮した子供の行列が、色とりどりの旗や幟を高く揚げ、北帝廟前の広場を出発する。島中を練り歩き、メインストリートに達する頃がピークだ。そして行列は、カラフルな旗や灯籠に飾られた家々の沿道を過ぎて、再び北帝廟に戻ってゆく。

 このお祭りでユニークなのは、北帝廟前の広場に、魔よけの包子(中華まんじゅう)が約2万個、高さ15メートルにも積み上げられていることだ。広場に集まった人々は、紙でできた大士王像を焼いて死者の霊を祀り、祭主のかけ声とともに包子を奪い合い、島から妖怪を一掃して、祭りの幕を閉じる。ただし1979年以降は、危険防止のため、包子は「分配制」となった。

 切手の各図案は、▷60セント=扮装した子供、▷1.40ドル=行列に参加した少女の踊り、▷1.80ドル=大士王像、▷5ドル=花のゲート。いずれも包子の山が印面左端に見える。

※1989年当初の説明です。

#切手

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