旧ハンター住宅「近代洋風建築シリーズ初日カバー」

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1984年2月16日発行

 明治40年(1907)に生田区北野町に建てられたが、昭和39年現在地に移築保存されている。木骨煉瓦造2階建て、石綿スレート瓦葺き、南および東側にベランダが付いた建物で、神戸の異人館の中でも最大の規模のもの。幾何学模様のベランダの窓が外観をもっと強く印象づけていて、華やかな中にも端正な風格がある。幕末、明治の初期に居留地に建てられた西洋館には、ベランダを吹きは放しにしたものが多かったが、雨風の多い日本では不向きだったようで、やがてこのようにガラス窓を入れるものが多くなった。

 ハンターは慶応3年(1867)の兵庫開港以来神戸にあって、精米・製粉・大阪鉄工所(後の日立造船所)などの事業を手広く経営して成功したアイルランド出身の英国人である。夫人は大阪の薬種問屋の娘さん。

 一階には南面していて控室・応接室・食堂があり玄関につづいた小ホールには張出し窓がついている。二階は寝室や婦人の居間からなり、各部屋にはそれぞれの暖炉があり、また一階の応接室と食堂には創建当初のシャンデリアがある。設計者は不明だが、施行は棟梁の芝島吉の棟札が発見されている。

 神戸にはこの他に旧ハッサム住宅(生田区北野町、明治35年)・旧トーマス住宅(同、明治42年)・旧シャープ邸(同、明治36年)・旧ハンセル邸(生田区山本通、明治29年)などのすぐれた洋館建築がたくさん保存されており、北野山本地区には昭和55年4月に国の重要伝統的建造物群保存地区(いわゆる伝建地区、町並み指定)に指定され、異人館の街として人気を集めている、官・民地元関係者の熱意と努力の成果である。

(重要文化財、神戸市)

※1984当初の説明です

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