第1集「行春や鳥啼魚の目は泪」① 奥の細道シリーズ切手限定コレクション

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『奥の細道』に

千住といふ所にて船をあがれば、前途三千里のおもひにふさがりて、幻のちまたに離別の涙をそそぐ。

 行(ゆく)春や鳥啼(なき)魚の目は泪(なみだ)

これを矢立の初として、行く道なほ進まず。

と記される句で、矢立初めの句と称される。

 芭蕉と會良が細道行脚に出立したのは、元禄二年三月二十七日(陽暦五月十六日)であったが、この句は、たぶん、後年に「奥の細道」を執筆する際に案ぜられたものであろう。
 前文の「離別の泪」をうけて「・・・啼・・・泪」としたものだが、鳥が啼くのも魚の目が泪を流しているように潤んでいるのも、自然の姿である。それを、行く春を惜しむ哀感の句とし、同時に、おのずと別れの悲しい気持ちが感ぜられようにした。

【句意】
私は、この江戸の地および親しい人々と別れるに際して、それらが幻のようなものだと思いながらも、別れの泪がとめどもなく流れてくる。折から春が去ろうとするころで、鳥も啼き、魚も泪を流している。彼らもまた、私と同じように、別れ去るものへ泪しているのである。
季語・「行春」(春)

 芭蕉たちが船から陸に上がったのが足立区側か荒川区側かであらそいがあるようだが、足立区大橋公園内と荒川区素戔雄神社内(近くに千住大橋局がある)に句碑が建っている。

吟詠地 東京都・千住(足立区)

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