第1集(1)春・芥子(四季の花シリーズ切手コレクション)

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 芥子(罌粟)はケシ科の越年草で春から夏にかけて白・紅・紫などの花を咲かせる。離弁花類に分類され、実際は花びらが四弁に分かれているのだが、本作品では絵具が平塗にされ、細い茎がまっすぐに伸び上がって大きな花冠をかざすこの花の形の面白みを際立たせている。また茎や葉は「たらし込み」という水気の多い筆のむらむらをきかせた技法を用い、全体にほのぼのとした味わい豊かな画面にまとめ上げられている。

 中村芳中は江戸時代中ごろ大阪で活躍した画人で、尾形光琳に私淑し、琳派の画風を受け継いだことで知られている。プロの画家というよりも船場の富裕な商人で、手すさびに絵筆を執っていたものと考えられており、この種の扇面画が多数残っている。どれも身近な草花や鳥を主題にしたものが多く、本図も六曲一双の屏風に同様の扇面が24面貼り交ぜられているものの一図である。

 萬野美術館は大阪の実業家萬野裕昭のコレクションを公開展示するため昭和63年大阪西心斎橋に開館した。国宝、重要文化財を含む東洋の古美術が中心で、琳派をはじめとする江戸絵画、中国陶磁、茶道具に名品を蔵している。毎年春と秋に企画展を開催している。
解説:萬野美術館学芸員 田中 英二
初日カバーカシェ原画:有藤 寛一郎

※1993年当初の説明です。

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