天を斬る

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時代劇というと、戦国モノか幕末モノが人気ですね。幕末と言えば特に(腐?)女子に人気があるのが新選組。今までも大河ドラマを始めに何度も映像化されています。

ところが近年の「新選組ドラマ」は“これぞ決定版”というものがないように感じられます。それというのも昔々、決定版ともいえるドラマが存在していて、その呪縛から解放されていないのではないか、そう考えます。

そのドラマは司馬遼太郎原作の「新選組血風録」ともう一作「燃えよ剣」です。特に土方歳三役で主演した栗塚旭氏が土方にぴったりで、原作の司馬氏も認めたキャスティングでありました。

その栗塚氏が二作のドラマの間に演じたのが「用心棒シリーズ」での氏名不詳の自称野良犬という浪人と、この「天を斬る」での公儀取締役牟礼重蔵です。両方ともクールでニヒルな土方のイメージを引きずってはおりますが、無口な男前という設定が正にヒーローという感じで、男も惚れる役ではないでしょうか。

ドラマの内容はというと、幕末の京都を舞台に密命を帯びて奉行所から不逞浪士取締りを任された二人の与力と、江戸から呼ばれて任に就いた元江戸講武所頭取の牟礼重蔵の活躍を描く物語です。

お年寄りに人気のある分かり易い勧善懲悪な物語ではなく、幕末という時代に翻弄される人々を描く内容なので、事件に巻き込まれた人々が助かることなく、あっけなく死んだり殺されたりするという思いっきりの“欝展開”が毎週続くことになってしまいます。それが今改めて見ると新鮮で、斬新な印象を受けます。

このドラマが放送されていた昭和40年代というと、見終ってスッキリするのではなく、どんよりと考えさせられるようなドラマが数多くありました。今ではもうそんなドラマは企画段階で通らないかも知れませんね。

脚本を書いた結束信二氏、音楽の(ガンダムも担当した)渡辺岳夫氏も欠かせない存在でありますが、語り尽くせないので今回はこの辺で。

 #懐かしドラマ #時代劇

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