DVD「市民ケーン」

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 映像ソフトの展示をする際の紹介文を作成するのに、少なくともその収録作品に関する基本的データの記載に間違いがあってはならないので、一応ネット検索などを駆使して確認作業をしています。この事前作業を本アイテムに関しても行うべく「市民ケーン」という語を検索エンジンに入力してみると、いくつか表示されたセカンドワードのなかに「つまらない」という語がありました。つまり、『市民ケーン』をつまらないと思っている人が一定程度以上は存在しているのか思いながら、「市民ケーン つまらない」をクリックして、いくつかのサイトに訪れてみました。
 それらのサイトに記されている「つまらない」理由などについてはいちいち紹介はしませんが、要するに現代の映画に多少馴染んだそのノリで臨んだものの、派手なストーリー展開であるわけでもないし、最後に何らかのカタルシスを感じ取ることもなかった、などが主な理由ですかね。何か漱石や鴎外の小説を多少は我慢強くかじり読みして観たものの、結局性に合わなくて放り出し、その理由として「だいたい小説がつまらないからだ」と言い放っているのに似ていますかね。ただ、だからと言って『市民ケーン』をつまらないと思う人のことを非難しているわけではありません。そもそも映画は娯楽ですから、お金を払って観に来てくれたお客を楽しませるのが主目的なわけで、その要件を満たせなかったならば「つまらない」という評価を下されても仕方がないからです。ですが、個人的には残念ながら「料簡が狭い」としか言いようがないかな。
 では、「そういうお前はどうなのだ?」と問われると、私も料簡が狭かったですね。本作を最初に観たのは1980年代後半のリバイバル上映で、その頃には「映画史上の名作」だとか「パンフォーカス」を活用した撮影などの情報も踏まえてスクリーンと対峙したのですが、何かピンとは来ませんでした。ただ、その数年後くらいにBSで放映された際に録画したものや本展示アイテムに収録されたものを何度となく観て、ようやく本作が非常に味わい深い作品であることを実感できました。
https://www.youtube.com/watch?v=8dxh3lwdOFw
#DVD #市民ケーン #オーソン・ウェルズ #ハーマン・J・マンキーウィッツ #グレッグ・トーランド #バーナード・ハーマン #ロバート・ワイズ #ジョセフ・コットン #ドロシー・カミンゴア #レイ・コリンズ #ポール・スチュアート #ルース・ウォリック #ウィリアム・アランド #アグネス・ムーアヘッド #アラン・ラッド #アーサー・オコンネル 

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    woodstein

    2020/04/13

     この作品を理解するのに手助けとなるであろう、映画評論家町山智浩氏の解説動画の前半です。
    https://www.youtube.com/watch?v=BQeCgUiBKus

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    woodstein

    2020/04/13

     (full movie) 字幕はありません。
    https://www.youtube.com/watch?v=WiHSE1q10p4 

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    woodstein

    2020/04/13

     町山智浩氏の解説動画の後半です。
    https://www.youtube.com/watch?v=J6lmwG4cdnQ

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    オマハルゲ

    2020/04/13

    「映画史に残る名作」みたいな評価をされてるとバイアスがかかってしまい、つまらないと感じる自分に非があるような気がする事がありますね。自分の場合、我がミュージアムに展示した安売り吹き替え版しか見ておりませんが、「どういう部分がそれだけ評価されたんだろう」と気になってしまい単純に楽しめませんでした。もう一度見直さねばw
    毎回こればっかりで恐縮の吹き替えですが、ウエルズ=小松方正、コットン=島宇志夫、だったそうですね。NHKでの放送なのかも知れません。両名とも合ってると思いますが、特に「特別機動捜査隊」のナレーションや「黄金バット」のナゾ―役で有名な島氏は「第三の男」の江守氏より適役じゃないかと感じました。見てみたいものです。

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      woodstein

      2020/04/14

       omaharuge102さん、コメント有難うございます。私自身も、映画専門誌で評価の高い作品をいざ劇場で観てみたものの、その良さがわからず、落ち込んだなんてことは多々ありました。以前、モノ日記で1981年の正月興行に触れたことがあり、そこではアラン・パーカー監督の『フェーム』が最も印象的だった旨を示しましたが、裏を返せばその時期に公開されていたフェデリコ・フェリーニ監督の『カサノバ』、極めつけとしてルキノ・ヴィスコンティ監督の『ルードウィヒ/神々の黄昏』などは観てもよくわからず、その時は正直つまらなかったわけです。結局、『カサノバ』はともかくとして『ルードウィヒ/神々の黄昏』は後年、劇場公開版より長い版がWOWOWで放映された際に録画して、それを少しずつ何回も観て、何となくその良さが分かった気になれました。この手の作品は、このような手段を用いれば克服できる場合もある、というのが、私の場合の結論です。
       あと吹替の件ですが、島宇志夫氏については、とりみき氏の『吹替映画大辞典』でマーティン・バルサムのフィックスだったというのは字面で知ってはいたものの、実際の声が想像できないので何とも言えません。多分、どこかで聞いたことはあるのでしょうが…。小松方正氏もアンソニー・クインのフィックスというのは有名ですが、実際にその吹き替えられたものを観たという記憶はなく、またその他の吹替についてもあまり見た覚えがありません。ただ、名バイプレイヤーとしての氏の演技は幾度となく観ているので、確かに氏によるオーソン・ウェルズの吹替は私も聴いてみたいと思います。

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      オマハルゲ

      2020/04/14

      小松クインの吹き替えは若干ソフト化されてますが、「炎の人ゴッホ」はレンタルで見かけましたので比較的視聴しやすいかも。
      実は購入したその作品を展示しようと考えてましたが行方不明、断念。

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      オマハルゲ

      2020/04/14

      島宇志夫氏のナレーションです。(後半部分)

      https://youtu.be/780Qt9O62hw

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    45rpm

    2020/04/13

    私も1980年代半ばにリバイバル上映で観ました、「つまらない」と感じましたが、作品ではなく自分が未熟で、時代背景等分かっていないからだと思っていました。[名作]に期待し過ぎていたのかもしれません。料簡が狭かったですね。
    いつかこの映画の良さが分かる大人になりたい!?・・。

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      woodstein

      2020/04/14

       45rpmさん、コメント有難うございます。80年代半ばの私と同じ頃の鑑賞ということですか。ちなみに私は有楽シネマという劇場で観ました。おそらく、まだそれほど人生経験のないお若い頃にこの作品を御覧になったわけで、その時はつまらなかったという感想をお持ちになったのも、仕方がない側面もあると思います。あれから30年以上が経過し、45rpmさんも様々な人生経験を積まれたでしょうから、今改めて御覧になられれば、きっと沁みてわかる、ということもあると思います。

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      45rpm

      2020/04/14

      ありがとうございます😊

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  • Animals 16

    Jason1208

    2020/04/13

    「バラのつぼみ」というキーワードは、S・スピルバーグ監督の映画『レディ・プレイヤーワン』でも、ジェームズ・ハリデーの残した遺産を得るためのヒントの中で登場します。

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      woodstein

      2020/04/14

       Jason1208さん、コメント有難うございます。昔、米国のあるテレビ番組にスピルバーグ監督がゲスト出演した際、司会者が「父親が電気技師、母親がピアニストというのはオーソン・ウェルズと同じだ」と紹介したのに対し、「嬉しい共通点だ」と返していたことがありました。スピルバーグのオーソン・ウェルズへのリスペクトの表れの一端でしたが、映画『レディ・プレイヤー1』での『市民ケーン』のクロスオーバー採用はその具現化だと思われました。「因みに原作のバラの蕾の正体だったそりはスピルバーグが所有している」そうです(Wikipediaより)。

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  • Lion

    toy ambulance

    2020/04/14

     町山氏の解説を聞いたら、もう一度本編が見たくなりました。巣ごもりの時間を活かして、字幕無しのフルバージョンを観てみようと思います。
     とりあえず冒頭だけ観てみましたが、やはり「ローズバッド」の言葉は誰が聞いていたのか謎ですね。看護師さんの聴覚が抜群なのかな?(^_^)
     あと、アグネス・ムーアヘッドの若いときの顔も確認したいと思います。
     ところで、町山さんの顔とWOODさんのアイコンが似ているように見えるのは考えすぎでしょうか?

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      woodstein

      2020/04/14

       toy ambulanceさん、コメント有難うございます。町山氏は「バラの蕾」を看護師の証言ということでその解釈についてユニークな自説を唱えていますが、これについては私自身は懐疑的でやはり素直に「そり」そのものだろうと思っています。また、アグネス・ムーアヘッドは、パンフォーカスが効果的だった窓越しに幼少期のチャールズ・フォスター・ケーンがそりで遊んでいるのが見えるシーンに登場しているのですぐわかると思います。
       ところで、私の使用しているアイコンですが、「初老の男でメガネをかけている」という私自身の境遇をもとに見つけ出したもので、それが町山氏に似ているというのは、要するに50歳代の初老男は多かれ少なかれ、こんなものなのでしょうね。

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    • Lion

      toy ambulance

      2020/04/14

      m(_ _)m 眼鏡をかけて小太りの人が、大抵、近藤春菜のネタになるようなものですね。

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