ウルトラセブン〈1999 FINAL CHAPTER〉わたしは地球人

　「ウルトラセブン1999最終章6部作」の第6作目にして最終作。「チャイナ奥地から発掘されたオーパーツの内容は、一般人には知らせない情報“オメガファイル”として封印されるというのが地球防衛軍の方針なのだが、カザモリの前に現れた謎の女性は、そのオメガファイルに隠された地球人にとって不都合な真実を解放するように扇動した。その真実を探ろうとし、保管施設に侵入したカザモリは逮捕され、正体がウルトラセブンであることが暴かれる。カジ参謀は、秘密を知ったウルトラセブンの処刑を決定する。」というのがあらすじで、この後も様々な出来事が起こるのですが、とにかく話が壮大なのにもかかわらず、ビデオドラマの悲しさで、何かせせこましい環境で人類の運命に関わることが進行することに、フィクションであるとはいえ、リアリティーの無さは拭えませんでした。もっとも、それは無い物強請りではあるのですが…。
　内容自体は非常に見所の多い作品で、渡辺典子のキャスティングの是非はともかく、シラガネ隊長が下手な声色を使ってその場をやり過ごそうとする細かいところから始まって、キリヤマ元ウルトラ警備隊隊長の実体なき平成ウルトラセブンの世界観への登場、警備隊隊員によるカザモリ救出劇、カジ参謀の命令による発砲を受けつつ前進するセブンの雄姿、オメガファイル開示へのタケナカ長官の決断とルミ隊員の奮闘、そしてカプセル怪獣ウインダムとミクラスのツーショットとノンマルトが操る怪獣ザバンキとの死闘、さらには繰り返されるフルハシ参謀とモロボシ・ダンの再会と別れ、などなど。シリーズのフィナーレを飾るにはふさわしい盛沢山の見せ場が設定されています。
　ところで、前段中の「キリヤマ元ウルトラ警備隊隊長」についての項目の表現はわかりにくいですよね。実は、当初、このシリーズの最終作である本作に中山昭二氏がキリヤマの役で出演する予定だったのですが、残念ながら収録の前に逝去され、出演は叶いませんでした。ですが、その当初の構想だけは形に残そう、ということで「キリヤマ」の名前だけでも出るような配慮をなしたわけで、そのことを前段のように表記しました。
　ということで、最後にこの「ウルトラセブン1999最終章6部作」全体についてですが、この6作に通底するテーマ、人類が地球人であることの正当性の是非と、そのことに異星人であるウルトラセブンが関わることの是非の決着のついては賛否の分かれるところですが、オリジナルの第41話『ノンマルトの使者』をさらに発展させて、ストーリーをイマジネーション豊かに展開していこうという神澤信一、武上純希を初めとした製作者側の意図は十分に伝わってきましたし、そういう意味では意欲的なシリーズだったといえるでしょう。
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