普通の人々

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 言うまでもなく、ロバート・レッドフォード第1回監督作品にして、作品、監督賞を含むアカデミー賞4部門受賞作品という誠に誉れ高い作品で、このときは今後のレッドフォードの監督としてのキャリアに大いに期待がかけられたのですが、その後の結果を見ると、失敗と言えないまでも成功とは言い辛いですね。比較するのが適当かどうかはわかりませんが、例えばクリント・イーストウッドの監督作は質・量ともにレッドフォードを凌駕しているのは疑いようもないことですから。
 作品の内容やアカデミー賞受賞の背景などについては様々に語りたいことがあるのですが、それらについては別の機会に譲ることにして、ここでは本アイテムに収録の吹替について触れます。
・ドナルド・サザーランド:金尾哲夫
・メリー・タイラー・ムーア:小宮和枝
・ティモシー・ハットン;浪川大輔
・ジャド・ハーシュ:安原義人
・エリザベス・マクガヴァン:大野エリ
という吹替配役が添付のリーフレット記載ですが、テレビ放映時の配役は順に前田昌明、野沢雅子、神谷明、坂口芳貞、佐々木るん、で、普通の吹替ファンならば後者の配役に軍配を上げるでしょう。要するに、テレビ放映時は放送枠に合わせて本編がカットされるので吹替が収録されていない部分があり、その部分だけ字幕になってしまうのは良くないので、新たな吹替を収録しよう、という意図なのでしょうが、どうですかね。そういうコンセプトの賛成の方もおられるかもしれませんが、少なくとも私個人はこの考えかたには与しません。というのも、これが一期一会の鑑賞の機会であり、作品内容を理解するために字幕の煩わしさを避けて吹き替えたものを楽しみたい、というのであるならば、そうかな、とも思うのですが、この種のDVDは手元に置いて複数回の鑑賞をしたいと思って入手するわけですから、作品内容の理解のための新録吹替を従来存在するものを押しのけてまで収録するほどの価値があるとは思えません。それに新録を制作するのは、それなりに経費もかかりますしね。
 もっとも、昨今のBlu-rayには、その作品に関して制作された複数種の吹替バージョンを収録する、というアイテムも登場してきており、そのことが一般化すれば、前段の主張などどうでもいい話になりますがね。
https://www.youtube.com/watch?v=mKkcyK1VpGY
#DVD #ロバート・レッドフォード #普通の人々 #ドナルド・サザーランド #メリー・タイラー・ムーア #ティモシー・ハットン #ジャド・ハーシュ #エリザベス・マクガヴァン #吹替 

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    woodstein

    2019/08/14

     本作放映時の日曜洋画劇場の淀川長治氏の解説の動画もありましたので、補足しておきます。
    https://www.youtube.com/watch?v=rpvyAxswnLg

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  • Lion

    toy ambulance

    2019/08/21 - 編集済み

    「普通の人々」は観たはずなのですが、ストーリーも含め、あまり印象に残っていません。ただ、癖の強い役の多かったサザランドが普通の人役?と思った程度です。 エルマンノ・オルミの「木靴の樹」やヴィスコンティの「イノセント」でも寝てしまったことがあるので、コンディションか相性か何かが悪かったのかも知れません。

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      woodstein

      2019/08/28

       toy ambulanceさん、コメント有難うございます。返事が遅くなり申し訳ありませんでした。というのも、正直なところ、この件に何を認めようか悩んだからで、toy ambulanceさんのコメントにまともに答えると、別の項で述べる予定の内容に踏み込むことになってしまうので、そうではない話をどのようにするかを考えあぐねて今日に至ってしまいました。
       私がこの作品を最初に観たのは学校の期末試験の最終日で、終了した解放感からか、普段は高額な入場料のために行くことのできないロードショーに行きました。劇場は日比谷みゆき座で、昼間だったので比較的すいていました。ただ、定期試験期間中は一夜漬けの連続でしたから、上映が始まってしばらくして熟睡してしまい、気が付いたらドナルド・サザーランドとティモシー・ハットンが抱き合っていました。もっとも、当時は入替制などではありませんでしたから、眠った分を取り返すべく、もう一回、今度は眠ることなく全編を観ました。そして、このときはまだ1980年度のアカデミー賞の授賞式の前でしたので、他の候補作と比較してしまったのですが、その盛り上がりに欠けたように感じられるレッドフォードの演出を観て、私は最優秀作品賞は『レイジング・ブル』になるだろうというのが実感でしたので、鑑賞日から10日余り後に発表された最優秀作品賞と同監督賞の受賞はかなり意外でしたね。まあ、受賞発表直後は観客も増加し、みゆき座も混雑したようですから、早めに観たのは正解でした。
       あと、上映中の睡魔との闘いでいうと、『イノセント』『木靴の樹』には打ち勝ちましたが、(ts-r32さんにも申し上げましたが、)テオ・アンゲオプロス監督作品には連戦連敗でした。
       以上、あまりtoy ambulanceさんのコメントの沿うような返答はできませんでした。作品の内容に踏み込むと、時代背景の話などもしなければならなくなり、止めどもなくなりますので、申し訳ないですが別の機会にさせて下さい。

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    • Lion

      toy ambulance

      2019/08/28

       私の、取るに足らないようなコメントに、これほど真摯に、またポイントを的確に押さえてご返信をいただき恐縮です。
       私としてはwoodsteinさんでも睡魔に負ける「名作」があることにある意味安堵しています。
       世間や専門家の評価と自らの身体生理の齟齬をどう捉えるか、それこそ何度も見直すことができない場合に、その時のコンディションも条件に加えると、映画の評価など客観的に下すのは、なかなか難しいなあと言う思いです。
       と言うことで、私程度の映画ファンは、自らのエモーションと好みで、この映画は好き、この映画は、私には合わなかったと言うことぐらししか出来ません。
       そんな状態なので、woodさんへのコメントも、稚拙なものが多くなってしまうと思いますが、どうかご容赦ください。
       あと、自己弁護になるかも知れませんが、私が好きな映画がアップテンポな娯楽的要素の多い作品ばかりではなく、静謐な時間を与えてくれるそれらにも多くのフェヴォライトシングがあること付言しておきます。

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    Shining KazutaZ

    2019/08/28

    中学生時代、もっとも影響を受けた映画の一つです。

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      woodstein

      2019/08/28

       Shining KazutaZさん、コメント有難うございます。中学生という多感な時期にこの作品に出会って影響を受けた、というのはとても理解できます。その影響がどのように結実したのかは想像の及ぶところではありませんが、おそらくShining KazutaZさんのものの見方に、何らかの形での一部になっているのかもしれませんね。

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      Shining KazutaZ

      2019/08/29

      確かに!
      予告にもあるクライマックスのセリフを聞くと、辛い時
      も前に進まねばと思いますね。
      今の仕事を目指したきっかけもこの映画です。
      カノン知ったのも(笑)

      Blu-rayが発売されたのは知らなかったので、久々に鑑賞して子供達にも見せようかと。
      まぁ今の子供たちはわからないかなぁ。

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