Pricyclopyge sp.

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遊泳三葉虫として知られるキクロピゲ類の複眼だけの部分化石です。全三葉虫の中でも視力に関しては、最も進化させたグループと考えられます。この標本はノジュールを割って表れており、脱皮の際に分離した可能性が高いです。近年は、モロッコで立体的に頭部が残されたキクロピゲ類が見つかり、どの様な姿の三葉虫なのか理解できますが、一昔前までキクロピゲ類の実物の頭部化石は、図版の世界だけで実物を手にする事は難しい貴重な標本でした。この複眼の部分化石を見るとまるで現生のハエやトンボといった昆虫類と同様の非常に広い視野角を持っていたことが良く分かります。

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