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Tretaspis sortita
地味に思われがちなTrinucleidae(科)の仲間ですが、頭部の鰐の規則正しい粒々と長い頬棘など小さいから目立たないだけで、実は派手な装飾のある三葉虫なんだと思います。化石では茶色ですが、実際は分からないだけでカラフルな配色だったかもしれません。この標本はスコットランドの閉鎖された著名産地からで、現代の剖出がされた貴重な標本です。この種の特徴の頭部鰐の粒々と長い頬棘が立体的に残されています。
Ordovician Trinucleidae,Trinucleoidea,Asaphida TRI-690 South ThreaveTrilobites
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Amphilichas subpuntatus
Amphilichasという種類は極めて珍しく、オクラホマのこの地での完全体は出ていないのでないかと思われます。三葉虫コレクターならオハイオ州Arnheim FormationからA.halliが知られていますが、どの程度の価値になるか分かるかと思います。頭部だけのこの標本も産出した事自体が驚くレベルであり、部分化石とはいえ、数がある訳ではありません。剖出もあのBob Carroll氏が自ら担当したとの話です。拡大してみるとリカス(Lichida)らしい細かい顆粒が残されており、この産地の細部の保存の良さが分かります。
Ordovician Lichidae,Lichioidea,Lichida TRI-263 BromideTrilobites
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Asaphellus desideratus
Asaphellusというと同定が曖昧であったり、未記載のモロッコ産のAsaphida(目)に付けられる仮称のイメージがありますが、チェコ産の本種は古くから知られた種類です。Negativeだけの標本ですが、ノジュール状の産状でポジ側は崩壊してしまったと思われます。またノジュールという産状もあり、現地でも殆どが部分化石での産出であり、小型とはいえ全身の姿が残っているのは貴重です。
Ordovician Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-305 ŠárkaTrilobites
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Plesiomegalaspis sp.
モロッコでは数少ないノジュールから産出する種類です。2009年頃から市場に現れ、当時、価格的にはそれ程高い訳でもありませんでしたが、モロッコ産ではよくあるように、僅かなロットだけで市場から消えてしまった様に思います。ぱっと見、一般的に産出しそうなAsaphusに見えますが、中レベルの大きさで、太くて長めの頬棘、意外と同じ種類がいない事に後から気が付きます。
Ordovician Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-369 -Trilobites
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Bettonolithus chamberlaini
Walesのオルドビス紀の代表的な産地であるPowysから産出した種類です。数多くのTrinucleoidea(超科)が産出しますが、英国産は記載が古くからされており、さすがは古生物学の発祥の地だけあります。この標本は、頭部の規則正しい孔状の模様が分かります。周辺にこの個体のものかは定かではありませんが、右頬棘を含んだ頭部の縁取りが残されており、脱皮殻の可能性があります。
Ordovician Trinucleidae,Trinucleoidea,Asaphida TRI-123 -Trilobites
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Foulonia sp.
Cheiruroidea(超科)の仲間において珍しく幅広な体形をしています。圧縮されている訳ではありませんが、扁平に近い平坦な体形をしていて、頭部の膨らみがあります。バランスの取れたデザインで、見た目が美しい種類だと思います。群れで暮らしていた様で、しばしば複数の個体が載ったプレートやAsaphellusなど他種とも共生していたのか、異種共生プレートも見かけます。
Ordovician Cheiruridae,Cheirurina,Phacopida TRI-65 Upper FezouataTrilobites
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Euloma sp.
この種類は、大型種が多いFezouata系の中でも小さく平坦で地味な存在です。小さな頬棘こそありますが、目立った特徴も挙げられません。ただ状態の良い標本が滅多になく、風化が進んだ標本であれば入手は容易ですが、この標本の様な綺麗な状態は少ないです。一見すると扁平なカリメネの様に見えてしまいますが、分類上はまるで別物であり、単独の科が宛がわれる位、特殊な種類であったりします。
Ordovician Eulomidae,Ptychoparioidea,Ptychopariida TRI-100 Upper FezouataTrilobites
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Ectillaenus katzeri
ポルトガル産とほぼ同じ種類が産出するスペインですが、代表種で大型のEctillaenus giganteusではない、小型種のEctillaenusも産出する様です。E.katzeriといえばチェコ産の産出種に命名された名前ですので、実際のところ本当なのかは、分りませんが供給元のデータを元にしています。小型のEctillaenusは、チェコが代表的産地ですが、英国、フランス、ポルトガル、モロッコで産出が確認できます。 [Left side:Positive,Right side:Negative]
Ordovician Illaenidae,Illaenina,Corynexochida TRI-371 -Trilobites
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Degamella princeps
チェコ産のキクロピゲです。遊泳三葉虫であるキクロピゲは、通常の底棲の三葉虫と異なり、泥に埋まり化石化する確率が極めて低く、化石化しても広範囲に渡り点在する事になるため、通常の底棲の三葉虫と同じ数だけ棲息していたとしても実際に化石化するのは、確率論からいっても奇跡的と言えます。キクロピゲの多くは、モロッコ産や英国産に限られますので、チェコ産の本種は、市場でお目にかかる機会は無いのではと思います。この標本には、複眼は確認できないのですが、それ以外は完全に残っています。
Ordovician Cyclopygidae,Cyclopygoidea,Asaphida TRI-220 DobrotovaTrilobites
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Symphysops stevaninae
Symphysops subarmatusの名称でも見かけますが、2012年にS.stevaninaeにて記載されました。元々単独で遊泳生活しているキクロピゲ類は化石化し難く、産出が極めて少ないのですが、本種はモロッコ産の中でも特に入手が難しいです。その中でも本標本の様に複眼付は、世界的にも数個体しか発見されていないのではと推定します。特徴的な頭部先端に突き出た角は、後から補正で追加されたような標本も偶に見かけます。本来は一対の棘が第1胸節後方に生えておりますが、この標本は少し前かがみのため、剖出時に失っています。第3胸節に2つの穴がありますが、これは感覚毛説や単眼説などありますが、本種の特徴の一つとなっています。 【標本リンク】ふぉっしる http://www.palaeoshop-fossil.com/catalogue/trilobite/Morocco/SymphysopsT04.html
Ordovician Cyclopygidae,Cyclopygoidea,Asaphida TRI-516 Lower KtaouaTrilobites
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Meadowtownella (Primaspis) crosotus
ケンタッキー州産のPrimaspisという種類を入手したくて10年くらい探してやっと手に入れることが出来た標本です。オハイオ州でも同種の産出はあります。Meadowtownellaの属名が正式ですが、長年知っていたPrimaspisという属名の方が慣れています。3体の内1体だけ裏面になっています。私の数あるコレクションの中でも気に行っている標本の一つです。 【標本リンク】Extinctions.inc http://www.trilobites.com/site_arc/index.cfm?action=item&prod_id=4542&
Ordovician Odontopleuridae,Lichida TRI-339 LatoniaTrilobites
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Pricyclopyge binodosa
この標本は見た目はパッとしないかもしれませんが、Cyclopygeの重要な特徴が残されています。先ず複眼の一部(水色マーカー)が残されています。更に胸節に面白い痕跡(緑色マーカー)があります。少し分かり難いかもしれませんが一対の窪みがあると思います。これは本来は棘が生えていた説、単眼があった説、感覚毛があった説など様々な説が唱えられています。背面泳ぎで遊泳生活を送っていたとされるキクロピゲ類ですが、棘が生えていた説では、舵とりや安定を保つのに必要だったのかもしれません。 [Left side:Positive,Right side:Negative]
Ordovician Cyclopygidae,Cyclopygoidea,Asaphida TRI-223 -Trilobites
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Cnemidopyge nuda
種類が多い英国のTrinucleoidea(超科)の中では一般種であり、比較的大型化した種であります。この仲間は、本来は長い頬棘があると考えますが、そこまで残っている標本は滅多にありません。古くから研究が進む英国では、この様な地味な種類でも記載が進んでおり、微妙な違いを楽しみ収集するにも役立ちます。
Ordovician Raphiophoridae,Trinucleoidea,Asaphida TRI-112 Llanfawr MudstoneTrilobites
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Megalaspis sp.
オルドビス紀フランス産の小さなアサフスの仲間です。1cm程度しかありませんが、頬棘は比較的長く発達していました。Asapusの仲間である事は間違いありませんが、正式に記載が無い様で、仮称でMegistaspidellaなどとされるケースもあります。フランス産の三葉虫は市場に出てくる事が少なく、更に状態が余り良くないので、種類で収集するコレクターなどでなければ、普通は触手が伸びる事は少ない分野と言えます。
Ordovician Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-306 TraveusotTrilobites
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Isabelinia glabrata
ポルトガルやスペインといった欧州各地のオルドビス紀の地層から見つかる種類です。フランス産としては、これでの最上の保存状態と言えます。陽の光で煌く母岩に渋い色合いですが、化石らしい風合いが気に入っている産地です。ブルターニュ地方からはオルドビス紀の化石が見つかるのですが、比較的多産するNeseuretus tristani以外の種類を入手する事は、難しい産地です。
Ordovician Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-138 TraveusotTrilobites