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Morocops ovatus
最も一般的なファコプスであり、モロッコ産に限らず、ザ・ファコプスといえます。2000年代始めくらいまでは、Phacops speculatorと称され、その後、Barrandeopsという属名に変わり、現在はMoroccopsで落ち着きました。モロッコ産のファコプスは、細かい所まで見ていくと多種多様な種類が現在では提唱されています。本種と比較して複眼や顆粒、体形などがどう様に違うかという基準になる種類に思えます。
Devonian Phacopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-23 -Trilobites
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Amecephalus piochensis
Chisholm Shale累層では、三葉虫自体の産出が少ない事もあり、一般種などと言えるような種類が存在しません。本種は、Amecephalusの仲間では地味な存在ですが、全体像が分かる個体が殆どであり、この個体でも尾部は完全ではありません。まるでハルぺスの仲間の様な頭部を持っていて、この個体では欠損していますが、長めの頬棘もあります。
Middle Cambrian Alokistocaridae,Ptychoparioidea,Ptychopariina,Ptychopariida TRI-504 Chisholm ShaleTrilobites
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Pseudophillipsia sp.
イタリア北東部、フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア自治州は、東アルプス山脈を隔て北にオーストリア、東にスロベニアに国境を接します。この辺りのアルプス山脈は、石炭紀からぺルム紀の石灰岩が広がり、少数ながら三葉虫も産出する事が知られます。メキシコPest Museumの図鑑が数少ない情報ですが、P.elegans(GEMMELLARO)やP.gemmellaroi(GRECO)などが産出する事にはなっています。購入時は石炭紀となっていて事実、後期石炭紀の地層もあるのですが、Pest Museumの図鑑に合わせペルム紀で登録しています。私の所有する全三葉虫コレクションの中でも、最も入手困難な標本の一つでないかと思っています。
Lower Permian Phillipsiidae,Proetoidea,Proetina,Proetida TRI-757 Val DolceTrilobites
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Nyterops yetieifliensis
頭部だけの部分化石ですが、モロッコ産とは違う頭鞍のブツブツの病的な異様さに惹かれ、購入した標本です。比率的に大き目で不揃いのブツブツは、見方を変えれば気持ち悪くも見えます。ファコプスが好みの収集家でも、この種類が好みであるとする収集家は少ないかもしれません。
Lower Devonian(Eifelian) Phacopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-751 FreilingenTrilobites
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Asaphus punctatus
ロシア産アサフスの防御姿勢の個体には傾向があり、幼体での産出が殆どであります。この標本も成体の半分ほどの大きさしかない幼体です。推測するのに、まだ体の小さい幼体では、身を守る時に防御姿勢を取る方が有効であったと思われます。生息環境に幼体の大きさでは脅威になり、生体の大きさに成長すると太刀打ちが出来なくなる天敵がいた可能性はあり得ると思います。
Middle Ordovician Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-38-2 Asery levelTrilobites
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Dalmanites limuloides
まだRochester Shaleが閉鎖されていなかった頃は、本種はシルル紀の一般種として軽視される存在でした。当時でも群衆化石はそれなりの高額の標本もありましたが、単一個体の標本は入門種だと私も思っていました。ただ他の産地を見てみれば、ダルマニテスは、同じアメリカ産でもWaldron ShaleやHenryhouseでも結構な希少種ですし、英国産も簡単に入手できるような供給量はありません。現在も状態の良い標本が市場に出てくると直ぐに売りけれる様な人気種であります。
Middle Silurian (Ludfordian) Dalmanitidae,Dalmanitoidea,Phacopina,Phacopida TRI-14 Rochester ShaleTrilobites
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Dolerolenus zoppii
イタリアの三葉虫などコレクターでも知名度が低いですが、コレクターのバイブルといえる「The Back to the Past Museum Guide to Trilobites/TRILOBITI - Guida essenziale al riconoscimento e classificazione」では、複数ページを割いて載っているのは思い出せると思います。地中海に浮かぶサルデーニャ島、その南西部に古いカンブリア紀の地層があり、本種が代表種として産出します。数少ない同種の標本を参照すると平坦で派手さは無いですが、大き目のフリル状の胸部などの特徴はあります。
Lower Cambrian (Stage 3, Series 2) Dolerolenidae,Redlichioidea,Redlichiina,Redlichiida TRI-754 Nebida(Punta Manna Member)Trilobites
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Symphysurus sp.
近年、軟体部が保存された化石が多く発見され注目を集めるFezouata層、何と言っても特徴なのは大型の三葉虫でも軟体部が保存されている事です。拡大しなくても大きな組織の構造が分かるのは、三葉虫の構造を知り得る画期的な産状といえます。この標本は、それでも小さい方ですが、触覚の節構造、頭部から胸部にかけてのグチャグチャに見える部分も内蔵の保存が化石化しているものです。
Lowor Ordovician (Floian) Nileidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-725 FezouataTrilobites
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Cybantyx(Illaenus) insignis
Rochester ShaleのIllaenusといえば比較的多産したBumastus ioxus(Hall, 1865)と本種がありますが、見分けはBumastusの尾部が半円を縁取っているのに対し、本種は粗円形を縁取っているのが分かりやすいです。また大きさも本種のが大きくなる個体が多かったと感じます。属名については、最新の情報ですとCybantyxが用いられますが、Illaenusで馴染みがあり過ぎて、ついて行けてません。
Middle Silurian (Ludfordian) Illaenidae,Illaenoidea,Illaenina,Corynexochida TRI-728 Rochester ShaleTrilobites
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Dolerobasilicus yokusensis
中国を除けばアジアの三葉虫は、極めて入手が難しい事に気が付きます。朝鮮半島では、カンブリア紀やオルドビス紀の地層があるのが日本と違います。本種は、尾部だけとか部分化石は見かけますが、中々全体像が分かる実物を見にする事は少ないです。Dolerobasilicusは、Basilicus (Basiliella)の属名で昔から知られている種類ではありますが、その姿は本当にアサフスの仲間だろうかという姿です。(5枚目:一番小型の共産した個体は、別種のアサフス)節が非常に多い気がしますが、大きな尾板が胸部の様に見え、その尾部も縦長に尖っています。
Middle Ordovician(Dariwilian) Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-308 JigunsanTrilobites
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Salterocoryphe salteri
ポルトガル産では珍しく圧縮が無い標本です。見た目が近いColpocoryphe rouaulti(HENRY,1970)とは、尾部の畝があるか無いかで識別されますが、本標本は分かり難いですが尾部に畝が確認できるため、Salterocorypheに同定されています。 どちらの種もスペインやフランスなど近郊の地層からも産出されます。 【標本リンク】Pangaea Fossils http://www.fossilscapes.com/fossils-cat1/world-trilobites-for-sale/wtfs1/worldwide-trilobite-for-sale-1.htm
Middle Ordovician (Dariwilian) Calymenidae,Calymenoidea,Calymenina,Phacopida TRI-752 ValongoTrilobites
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Selenopeltis gallicus
S.gallicaという小種名でもみかけますが、シノニム(Synonym)で同一種と見なしています。S.gallicusといえば、モロッコ産の頭部から棘が1対あるタイプでも散見されますが、ポルトガル産は残り難いだけで、同様の棘があった可能性は高く、この標本にも右側の棘があるのは確認できます。Selenopeltisは、モロッコ産の大型種で棘が太いタイプのS.buchiiが有名ですが、ポルトガルでもS.buchiiは産出します。Selenopeltis自体は、英国、フランス、チェコなど欧州各地でも産出しますが、欧州では希産種であり、ポルトガル産も簡単に入手できるような種類ではありません。見た目はどちらかというとグロテスクなので、好き嫌いははっきりしそうな種類だと思います。
Middle Ordovician(Dariwilian) Odontopleuridae,Odontopleuridae,Lichida TRI-749 ValongoTrilobites
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Paradoxides gracilis
仏人地質学者Joachim Barrande(1799-1883)により研究され、著書[Systeme silurien du centre de la Boheme](1852)にて詳細な図版が描かれている本種は、三葉虫の研究史に足跡を残している重要な種類として知られます。世界のカンブリア紀の地層で見つかるParadoxidesの中でも収集家に知られる存在です。当時からの産地だったVinice Hillは、長年の採掘により枯渇しており、焦茶で艶のある本標本の様な質感があり、10cmを超える標本は、世界の収集家が放出しない限り市場に出来て来る事はありません。特に大型で頬棘が残る個体は希少価値が高いです。
Middle Cambrian(Drumian) Paradoxididae,Paradoxidoidea,Redlichiina,Redlichiida TRI-307 JinceTrilobites
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Deiphon fleur
Deiphon、それは世界の三葉虫を収集しているコレクターの中では特別な存在であり、文面が長くなりすぎて、語り尽くせない存在といえます。英国産のD.barrandei(Whittard, 1934)は殿堂的な存在ですが、チェコ産であれば頭鞍だけの標本が入手可能です。特徴的な頬棘があれば確信が持てるのですが、丸いコブだけでは全体像が掴みにくいのは事実です。完全体の収集は不可能と言って良いDeiphonですので、頭鞍だけで三葉虫なの?という状態であっても特別な存在なのは言うまでもありません。
Silurian(Homerian) Cheiruridae,Cheiruroidea,Cheirurina,Phacopida TRI-232 MotelTrilobites
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Sphaerexochus latifrons
Sphaerexochusの仲間は、日本の横倉山など世界中のシルル紀産地でも産出するのですが、基本的に部分化石のみで、数も多くは産出しません。ゴットランド産も同様に完全体では産出はありません。サンゴなどの一緒に生息していた生物の破片が無数に重なる産状で、見た目以上に硬質の石灰岩から構成されています。
Silurian(Ludlow) Encrinuridae,Cheiruroidea,Cheirurina,Phacopida TRI-750 Hemse MarlTrilobites