Viaphacops claviger

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ネヴァダ州というと、基本的には三葉虫関連ではカンブリア紀の層が大半を占めております。そんな中でこちらウェンバン累層 (Wenban fm) は、ネヴァダ州でも中央に位置するSimpson Park Mountainにある地層で、同州にしては珍しいデヴォン紀の層が広がっております。

そんなマニアックな産地で産するこの種は、ヴィアファコプス・クラヴィゲル (Viaphacops claviger) 。異色の産地の異色の巨大なファコプス類であります。ウェンバン累層は地層の変形が激しく、押しつぶされたように圧がかかった標本が多いです。本標本もプレスされたように押しつぶされております。

特筆すべきはその特異な風貌。全長100mmオーバーと、ファコプスの仲間ではモロッコの巨大種ドロトプス (Drotops) に匹敵する巨体を有し、髭のような自由頬から伸びる棘や、軸葉から垂直に伸びる棘(本標本では残念ながら摩耗しております) を持つなど、相当な変わり種のファコプスであります。サイズ感の比較用に写真8枚目で、一般サイズのファコプス (NY州のEldredgeops rana) と並べております。

ファコプスにもこんな種がいるのかと、認識を改めてくれる種です。

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  • 1. hdo 2019年02月17日 22:43
    リンクに誘われてお邪魔しました。素晴らしい標本群ですね。私には目新しい欧米産の三葉虫が多くて興味深いです。読み応えのある内容ですぐには見切れませんが今後も楽しまさせていただきます。

    このファコプスも立派で良いですね。ファコプスらしからぬ頬棘が恰好の良い種類だと思っていましたが、頭部のブツブツにも特徴があるとは知りませんでした。拡大写真はウニ化石のようにも見えますね。

    2. orm 2019年02月17日 23:14
    hdoさん。
    ご訪問ありがとうございます。
    英国産が好きで当初中心に集めており、ドイツやフランス、ポルトガルなどその他地域は多くないですが、結果的に、欧州産が多くなってしまいました。モロッコ刺々種など殆ど持っていませんので、その辺りにも手を広げていきたいと思っています。
    本種の頭部のぶつぶつのパターンに関しては、ルーペで観察している際に気づいて驚きました。ただacademicな要素のない所詮素人所見なので、他の同種標本でも再現性があるか怪しい所です。話半分に捉えておいて頂けますと助かります。もし、今後何か似たような報告を知り得ましたら、宜しければお教え下さい。

    3. 魅惑の三葉虫 2019年02月18日 21:14
    比較に出ているD.armatusを除けばファコプスの装飾系は貴重で、この大きさ、気になる種類ですが市場に出ても金額が凄すぎて私には手を出さない状態です。この種類をを所有できているのは世界でも数えるほどのコレクター・研究者しかいませんので、羨ましい限りです。次にお会いする機会があれば是非拝見させてほしい標本ですね。背中にも太い棘が疎らにある標本もありますが、変に補修(追加)したりせずにナチュラルなままなのもプレパラーターの正しい判断だと思います。この産地の情報は乏しく、知る限り有望な書籍も無く、どれほど多様性のある産地なのか全貌が分からないんですよね。

    4. orm 2019年02月18日 22:56
    >魅惑の三葉虫さん
    軸葉の先端の棘一本だけでも残っていればなあ、と少々残念でしたが、残っていたら残っていたで、市場でみかける凄まじい価格だったと思いますので、これでよかったのかなと思います。下手に補修せずというのが潔く自然で気に入りました。またお会いする機会があると思いますので、タイミングを合わせて持っていきますね。
    Wenban formationというのは、おっしゃるように調べても大した情報が出てこず、Back to the の産地viewerである、このページ(→https://www.arcgis.com/apps/MapJournal/index.html?appid=621ca59bf5444d3d8d444638e61c1d1f)がまだ一番詳しいと思います。一応Kettneraspisや、他にも聞いた事のないNevadaprusiaだとかが産出するようですが、如何せん情報が乏しいですね。あと、本文中にCortez Mountainsで産出と誤って記載してしまいました。Skabelund氏に詳細産地を聞いた所、ちょうど先程、この種は全てCortez Mountainsから、真南のSimpson park mountainsで産出するんだよ、との情報を頂きました。すいません、訂正しておきます。

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